JAPAN-ITALY Travel On-Line

イタリア旅行情報サイトJAPAN-ITALY Travel On-line
アブルッツオのまちめぐり 
15 Marzo 2018

第1回
松並木の海岸「ピネート」と古代都市「アトリ」

  
文:阿左美 綾 

アブルッツォは、アペニン山脈からアドリア海に向かって広がるイタリア中部の自然豊かな州です。山から海まで車で1時間ほどの距離に、様々な絶景や地方色豊かな食文化がせめぎ合います。交通の不便さだけが泣き所のアブルッツォですが、今回は比較的アクセスの良いピネートPinetoとアトリAtriをご紹介したいと思います。 

1)アドリア海と松の町ピネート
アドリア海に沿って走る鉄道の「Pineto-Atri駅」を降りるとすぐ目に入るのが松並木、そして樹々の間からブルーフラッグ認定を誇るピネートの美しいビーチが広がります。ここは1930年以降、新たなコムーネとして独立するまでは古代都市アトリの一部でしたが、1900年代初めに植えられた松(pino)に由来してピネートと名付けられました。

トップ写真:@『アブルッツォのシスティーナ』といわれる、アトリの「サンタ・マリア・アッスンタ聖堂」   写真下左:Aピネートの松並木 写真下右Bピネートの日没

私は6月の終わりに地元で旅行業を営む友人フランチェスカの紹介で海岸沿いのアパートを10日ほど借りました。ビーチは水着のまま行ったり来たりできる近さ、手前の遊歩道にはサイクリングやジョギングを楽しむ人々が行き交います。木陰はひんやり涼しく松の濃密な香りが漂っています。日が沈む頃、ビーチに戻って空が淡いピンクから金色に変わり暗くなるのを眺め、朝は日の出を待ちながらチェラーノ塔を目指して砂浜を歩きます。

●古代アトリの玄関チェラーノ塔
アドリア海に面した古代要塞チェラーノ塔は古代港があったと言われる場所で、塔の正面の水中で古代港の遺跡が発見されています。チェラーノCerranoの名は豊穣神ケレス(Ceres)に由来し、古代はここからアンフォラに入れたアトリ産ワインを輸出したり、食料や燃料、石材などの水上輸送の拠点だったと言われます。

写真下左:Cチェラーノ塔   写真下右:Dチェラーノ塔から

フランチェスカと塔の見学ツアーに参加しました。穏やかなアドリア海を見下ろし、昔ここでトルコ人やサラセン人の侵略に備えて見張りに立っていた兵士たちや食料を乗せて行き交う小船に思いを馳せると不思議な気分になります。

2)ハドリアヌス帝ゆかりのアトリ
ピネートとアトリの旧市街の間はバスが運行しています。3000年もの歴史を持つアトリ(旧名Hatria及びHadria)は古代ローマ皇帝ハドリアヌス帝の先祖アエリ家発祥の地として古代より栄え、歴史上初めて独自の貨幣を持つ都市のひとつでした。14世紀にはアクアヴィーヴァ公国の首都となっています。

写真下左:Eハドリアヌス帝の胸像   写真下右:Fサンタ・マリア・アッスンタ聖堂

フランチェスカが定期的に開催するアトリの半日ツアーに参加してみました。ハドリアヌス帝の胸像前で集合し、向かいのサンタ・マリア・アッスンタ聖堂から始まります。

●『アブルッツォのシスティーナ』サンタ・マリア・アッスンタ聖堂
サンタ・マリア・アッスンタ聖堂は、見渡す限りに描かれた『聖母マリアのストーリー』や足元の精緻なモザイク画が見事で、ガラス張りになった地下には貯水槽の遺跡も見られます。古代ローマ時代、ここはカラカラ浴場のような貯水槽があり、その瓦礫は聖堂の建設にも使われています。

数分離れたドゥオーモ広場には市立劇場があります。天井にはミューズたち、ステージの幕にはハドリアヌス帝が地方の負債を燃やしたエピソードが描かれています。

写真上左:G市立劇場の幕  写真上右:H高台からの眺め

古代の競技場後を見た後は花々が彩る石造りの町並みを抜け、高台からアドリア海へと下る丘を見晴らす高台に出ます。

●『地獄の溝』カランキ
遠くにカランキも見えます。WWF/OASIの保護区域に指定されているカランキはダンテの神曲『地獄篇』の地獄の溝のモデルにもなったそうで、西部劇のロケにも使われています。満月の夜は土壌に含まれたアルミニウム粒子が反射して輝くので夜のツアーも催行しています。

写真下:Iカランキ

●アクアヴィーヴァ公国は『ドン・ キホーテ』発祥の地?
ドゥカーレ宮殿はアトリがアクアヴィーヴァ公国の首都となった14世紀より建設されました。地元でもまだあまり知られていない話ですが、あの有名な「ドン・キホーテ」はここで生まれたという説があります。スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスはアクアヴィーヴァ家の執事として働いており、いつも膨らんだ赤いパンツ(キホーテ)を履いていたジューリオ・アクアヴィーヴァ公爵をモデルに物語を書いたというのです。

ツアーの締めくくりはドゥカーレ宮殿の中や聖堂近くのリストランテで、地元ワインやオイルを試飲しながらの食事です。

写真下左:Jドゥカーレ宮殿での食事会   写真下右:Kリストランテでの食事会  

様々な魅力がぎっしり詰まったアトリとピネート、ぜひ遊びに来てください。 アトリ情報はこちらにも掲載しています。
https://abruzzo-info.jimdo.com/   見どころ-楽しみ方/地域ごとに見る/アトリ/ 


筆者プロフィール
阿左美 綾 (Asami Aya)
東京都在住。英語専門学校卒業後15年間のホテル勤務を経て元F1パイロット ヤルノ・トゥルーリ氏の日本公式ファンクラブ運営参加をきっかけに2004年以来アブルッツォ州再訪を重ねる。
2015年より同州の情報案内、文化交流支援など開始。現在、福島県須賀川市・Fara F.P.都市間交流及び2019年ラクイラ震災後10年に向けたプロジェクトを中心に活動中。
アブルッツォ州の魅力を様々な角度から紹介するため2016年3月ニュースレター『Abruzzo通信』創刊、vol.2より保坂優子氏と共同発行。『アブルッツォ通信』として州の特産物・観光促進のため広報ツール作成及びイベント企画・運営にも携わり、2017年5月アブルッツォ商工会議所主催ワインプロモーションイベント「Words of Wines」受賞。
http://abruzzo-news.blog.jp  

写真・資料提供: Francesca Cichella/Hidden Italy Tours, Maria Cristina Mancinelli/Riserva Naturale Regionale Oasi WWF Calanchi di Atri


アブルッツオのまちめぐり データ  
 

■「ピネート」  (テーラモ県 Comune di Pineto)   
   「アトリ」  (テーラモ県 Comune di Atri)

■交通アクセス
ピネート Pineto
<列車> Pescara Centraleから各駅停車(Regionale)で「Pineto-Atri」駅下車。所要時間約15分。

アトリ Atri
<バス> 「Pineto-Atri」駅付近から所要時間20-25分程度。

http://www.japanitalytravel.com
© JAPAN PLUS ITALY - MILANO 2013 All rights reserved