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アブルッツオのまちめぐり 
15 Luglio 2018

第2回
芸術家たちに愛された
山間の町「スカンノ」

  
文:保坂優子 

2018年夏、東京ではオランダ人アーティストM.C.エッシャー(1898-1972)の展覧会が話題を呼んでいます。実はエッシャーの初期の作品の中にはアブルッツォの風景を描いたものがいくつか残っています。今回は彼が魅了され、その後の作品にも大きく影響を与えたと言われるアブルッツォの小さな町のひとつ「スカンノ」を紹介します。

●アブルッツォ州屈指の風光明媚な観光地
ラクイラ県にあるスカンノは「イタリアの最も小さな村」のひとつで、人口2,000人弱、標高約1,000mの山間に佇む中世の町です。山の斜面に張り付くように並ぶ住居が独特の景観を作り出し印象的です。

トップ写真:@スカンノ旧市街  写真下左:Aスカンノの町並み 写真下右Bスカンノ旧市街

また、スカンノは優良なビーチだけに贈られる「Bandiera blue」にも認定されたスカンノ湖を有しており、州内でも有数の人気スポットとして夏は避暑、冬はウィンタースポーツを楽しむ人々が国内外から集まります。

写真下:Cスカンノ湖 

●ハートの形をした美しい「スカンノ湖」
スカンノへはローマやペスカーラとのアクセスも良いスルモーナからが往復の路線バスもありお勧めです。対向車が来ないようにと願わずにはいられない細い山道を走り続けると、突如視界が開け、目の前に湖が広がります。最初に迎えてくれるのはサン・ドメニコ湖。

写真下左:Dスカンノ湖   写真下右:E湖畔で過ごす人々

一服しているライダー達につられて立ち寄りたくなる衝動を抑えさらに進むと、緑の木々に縁取られた青い湖、スカンノ湖が現れます。湖畔では芝生に寝転がりのんびり過ごす人やピクニックをしている人、ボート遊びに興じている人たちもいます。水際に建つ小さな教会のシルエットが青く澄んだ水面に映える様子が絵になります。

スカンノ湖は、ハートの形をしていることでも有名です。実際はハート型ではないのですが、適切なポイントに立つとハートの形が浮かび上がることから、ロマンチックな場所のひとつとしても知られるようになりました。

● 芸術家たちを魅了した美しいまちなみ
湖を後にスカンノの町を目指しましょう。山の斜面に沿って広がった旧市街は、その高低差や家と家を支え合うアーチ、外階段などが立体感と陰影を作り出し、細い路地をそぞろ歩くだけで変化に富んだ町並みを楽しむことができます。

写真下:FGHスカンノの町旧市街の細い路地

エッシャーがローマを拠点にアブルッツォの小さな山村を巡っていたのは1928-1930年頃で、山岳地に発達した特徴的な建築や、迷路の様な町並みに惹かれ、カメラや自らのスケッチで記録して回ったと言われます。

写真下左:Iエッシャーが描いた町並み (c)Antonio Bini  写真下中:J実際にエッシャーが描いた作品 (c)Antonio Bini   写真下右:Kブレッソンが作品を撮った同じ場所から

また、この町は多くの写真家たちも虜にしてきました。フランス人写真家、アンリ・カルティエ・ブレッソン(1908-2004)もその1人で、彼がスカンノで撮った作品はニューヨークの近代美術館(MOMA)に飾られています。 こうした古い町の最大の魅力は、往年の芸術家たちが見てきた風景と同じ風景を現代に生きる私たちも目の当たりにできることです。

●伝統衣装とジュエリー「プレゼントーサ」
撥水性を高める染料に由来する黒を基調とした女性の伝統衣装も、スカンノ独自の文化を象徴するものとして大切に受け継がれています。毎年4月25日から5月1日と8月14日には、町の人達が伝統衣装で当時の暮らしを再現する催しも開かれています。

写真上左:L伝統衣装(普段着から冠婚葬祭まで) (c)Hidden Italia Tours   
写真上右:Mスカンノジュエリーの代表「プレゼントーサ」  

スカンノの町を歩いていて気づくのは、ジュエリー店の多さです。中央にハートが施された「プレゼントーサ」は、花嫁の胸元を飾る金細工のひとつで、婚約者の母から新婦へ歓迎の意を込めて贈られるものでした。今でも愛情や友情の証として贈られるアブルッツォを代表するジュエリーでです。

●スカンノの伝統菓子「モスタッチョロ」と「クマのパン」
「モスタッチョロMostacciolo」は砂糖やチョコレートでコーティングされた丸く平べったいお菓子で、中にチョコやアーモンド、モストコット(煮詰めたブドウ)が入った家庭的なお菓子です。

写真上左:N家庭的なお菓子「モスタッチョロ」  写真上右:O「Pan dell’Orso(クマのパン)」

また、アーモンドとハチミツが入った生地にチョコがかかった「Pan dell’Orso(クマのパン)」は、クマが美味しくて平らげてしまったという言い伝えからその名が付きました。いずれも独自の伝統菓子なので、まち歩きのお供やお土産にぴったりです。


筆者プロフィール
保坂優子(ほさかゆうこ)
大阪在住の都市計画コンサルタント。2002年、イタリアの暮らしにどっぷり浸りたいとアブルッツォ州に1年間留学。以降、毎年アブルッツォで休暇を過ごしている。2009年のラクイラ地震を機にアブルッツォ州紹介サイト「Abruzzo piu’」 http://abruzzo.jp/index.html を立ち上げる。2016年4月から「アブルッツォ通信」の共同発行者として、独自イベントの開催やPRツールの作成、コラムの寄稿などアブルッツォ州のプロモーションにも携わる。http://abruzzo-news.blog.jp/ http://abruzzo-news.blog.jp/

写真・資料提供: Antonella, Francesca Cichella/Hidden Italy Tours,Antonio Bini


アブルッツオのまちめぐり データ  
 

■「スカンノ」  (ラクイラ県 Comune di scanno)   
   

■交通アクセス
<バス>
スルモーナ-スカンノ 所要時間約1時間-1時間半 1日3-6本
TUA社 (http://www.tuabruzzo.it/)

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