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アブルッツオのまちめぐり 
15 Luglio 2019

第5回
歴史が息づく芸術都市
スルモーナ

  
文:阿左美 綾 

ローマから2時間程のラクイラ県スルモーナは、様々な時代の名残やエピソードに溢れています。
旧市街の中心ガリバルディ広場から、鉄道駅まで徒歩20分ほどのサン・パンフィロ聖堂まで、中央通りコルソ・オヴィディオ沿いにご案内しましょう。

●ガルバルディア広場では二つの伝統行事
週に2回市場の立つガリバルディ広場は、年に2度大きな催しの舞台になります。 7月から8月にかけて繰り広げられる『ジョストラ・カヴァッレレスカLa Giostra Cavalleresca』は、広場を馬場に設え、スルモーナの6地区が対抗戦で「中世の馬上競技」を再現します。競技前にはルネッサンス期の貴族や騎士たちの衣装をまとった人々が中央通りコルソ・オヴィディオをパレードします。

トップ写真:@中世の馬上競技を再現する「ジョストラ・カヴァッレレスカ」  写真下:Aイースターに行われる「広場を駆けるマドンナ」

一方、イースターに行われる『広場を駆けるマドンナ Madonna che scappa in piazza』は、復活した息子の姿を見て喜び駆け寄る聖母を演出します。聖母像を広場まで運んだ担ぎ手達が、広場の水道橋の下に現れるイエス像に向かって全速力で駆け出す姿を見ようと観客達が押し寄せます。

●この町を支配した三つの王朝の名残を一望に
ガリバルディ広場の入り口近くに立つと、スルモーナを支配した3つの王朝の名残を一度に見渡すことができます。 13世紀のシチリア王国ホーエンシュタウフェン朝時代の水道橋、その端のスペイン・アラゴン王家に捧げられた古い噴水には、スルモーナの神話的創設者ソリモの彫刻があしらわれています。
そして、通りの反対側には、アンジュー朝ナポリ王の勅令で1290年に建てられたサン・フランチェスコ・デッラ・スカルパ教会の側門が見通せます。

写真下左:B水道橋脇の噴水  写真下右:Cサン・フランチェスコ・デッラ・スカルパ教会の側門  

●サン・フランチェスコ・デッラ・スカルパ教会の「マグダラの聖マリア」
サン・フランチェスコ・デッラ・スカルパ教会は1706年の震災後に再建されましたが、震災前はマグダラの聖マリアを祀った礼拝堂もあり、ヨーロッパでも稀有な存在だったと言います。現在は、幼子イエスを抱く聖母マリアの両脇にアッシジの聖フランチェスコとマグダラの聖マリアが描かれた側門上部に、その名残りを留めています。

門の右手前のジェラート店は、なめらかな口当たりが評判です。

●謎を秘めた古代詩人オヴィディオ像
広場中央にそびえ立つ像は、紀元前43年スルモーナ生まれの古代ラテン文学巨匠オヴィディオ(プーブリウス・オヴィディウス・ナーソー)です。

写真上:D古代詩人オヴィディオ像   

恋歌、変身物語、哀歌など数々の名作を生み出し、皇帝アウグストゥスやローマ帝国の政治家達に高く評価されました。キャリアのピークに皇帝アウグストゥスその人によってトミス(現在のルーマニア・コンスタンツァ)に追放された理由は、皇帝の近親者と秘めた関係を持った、皇帝の秘密を知っていた、作品がエロティックすぎたなど様々な憶測がありますが謎のままです。

●詩人レオパルディも愛した名菓コンフェッティ
コンフェッティとはアーモンドをシュガーコーティングしたお菓子で、イタリアでは結婚式、卒業式など祝い事で配られます。1798年マルケ州生まれの詩人ジャコモ・レオパルディもスルモーナ産コンフェッティが大好物で常に持ち歩いていたとか。

白いコンフェッティをセロファンやチュールでひとつずつ包んで作る花やブドウの房は、15世紀にスルモーナのサンタ・キアラ修道院が始まりだと言われます。コルソ・オヴィディオにはコンフェッティ専門店が軒を連ね、旧市街を鮮やかに彩ります

写真上左:E旧市街地を華やかに彩る名菓コンフェッティ   
写真上右:F「カフェ・コンフェッティ」もおすすめ

●建築に300年かけた「SS.アヌンツィアータ教会」
宮殿や教会からなるSS.アヌンツィアータは1290年から1595年にかけて建築が続けられ、その間4度の震災に見舞われました。時代の影響を受け、外側はアブルッツォ独特のバロック様式、内側はロマネスク様式に仕上がっています。

写真上左:GSS.アヌンツィアータ教会 外観    写真上右:HSS.アヌンツィアータ教会内部

ここには観光案内所も併設され、市内や近隣の地図やガイドなどが入手できます。

●ご当地ドリンク「「カフェ・コンフェッティ」
筋向いのカフェ・オヴィディオの名物はコンフェッティをクリーム状にした甘い飲み物。
クリームだけのクレーマ・ディ・コンフェッティやエスプレッソコーヒーと2層にした「カフェ・コンフェッティ」はお試しの価値ありです。(写真F) そのままコルソ・オヴィディオを進み、細長い公園ヴィッラ・コムナーレを抜けるとサン・パンフィロ聖堂に突き当たります。

●サン・パンフィロ聖堂と教皇チェレステイーノ5世
外観は簡素ながら、サン・パンフィロ聖堂地下には第192代ローマ教皇ケレスティヌス5世の遺品や心臓組織などが祀られる非常に重要な場所です。

写真下:Iサン・パンフィロ聖堂外観  
写真上左:Jサン・パンフィロ聖堂内部   写真上右:Kサン・パンフィロ聖堂地下の教皇ケレスティヌス5世ゆかりの品  

なお、ケレスティヌス5世は、県内ラクイラ市のサンタ・マリア・ディ・コッレマッジョ聖堂に祀られていますが、元々スルモーナのモローネ山に篭る修行僧でした。ローマ教皇に就任する前の名ピエトロ・ダ・モローネは、ここからきています。市内から、「モローネ山の祈祷場サントノフリオの麓Eremo di Sant'Onofrio al Morrone」までバスが出ており、予め管理人に連絡すると見学可能。市内の観光案内所でお問い合わせください。

写真下:LMモローネ山の隠者祈祷所「サントノフリオの麓」

今年2019年のスルモーナの『ジョストラ・カヴァッレレスカ』は7月27・28日と8月3日です。 この時期イタリアにいらっしゃる方、スルモーナまで足をのばしてみませんか。
スルモーナ情報はこちらにも掲載しています。
https://abruzzo-info.jimdo.com/見どころ-楽しみ方/地域ごとに見る/スルモーナ/


筆者プロフィール
阿左美 綾 (Asami Aya)
東京都在住。英語専門学校卒業後、15年間ホテルに勤務。その後派遣社員として働きながらF1パイロット ヤルノ・トゥルーリ氏の日本公式ファンクラブ運営参加をきっかけに2004年以来アブルッツォ州再訪を重ねる。
2015年より東京とアブルッツォを往復しながら Facebookページ『アブルッツォに行こう Andiamo in Abruzzo』などで情報発信を開始。
2016年3月ニュースレター『Abruzzo通信』創刊、vol.2より保坂優子氏と共同発行。
現在、福島県須賀川市・アブルッツォ州キエーティ県ファーラ・フィリオールム・ペトリ都市間交流及びラクイラ県・福島県交流プロジェクトを中心に活動中。

<写真クレジット>
写真@A: Umberto D'Eramo
写真BC: Gilda Loznar Molinaro
その他は筆者撮影



アブルッツオのまちめぐり データ  
 

■「スルモーナ Sulmona」  (ラクイラ県 Provincia dell'Aquila)       

■交通アクセス
<バス>
ローマ・ティブルティーナより約2時間  
http://www.tuabruzzo.it

<列車>
ローマより約2時間30分
ペスカーラ、ラクイラよりそれぞれ約1時間
http://www.trenitalia.com

※鉄道駅から旧市街まで徒歩20分程度。路線バスあり

■ジョストラ・カヴァッレレスカ La Giostra Cavalleresca
https://www.giostrasulmona.it/

■広場を駆けるマドンナ Madonna che scappa in piazza
http://www.madonnachescappainpiazza.it/

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