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アブルッツオのまちめぐり 
15 Novembre 2021

第10回
テーラモ、そして絶景の要塞都市へ 

  
文:保坂優子 

まち歩きの最後はアブルッツォ州の北部、マルケ州と隣接するテーラモ県の県庁所在地テーラモと、そこからバスでアクセスできる要塞都市チヴィテッラ・デル・トロントをご案内します。それぞれに個性のある2つの旧市街を楽しみながら、アペニン山脈の最高峰、コルノグランデを称える荘厳なグランサッソの山並みを間近に見る、迫力満点の景観も堪能できます。

トップ写真:@要塞都市チヴィテッラ・デル・トロント全景

●異なる時代の遺跡が混在するテーラモ旧市街
人口約53,000人、アブルッツォ州第3の都市テーラモへは、ペスカーラ中央駅から列車に揺られて1時間ちょっと。2つの川に挟まれた小高い丘に立つ旧市街へは、駅前の通りから真っ直ぐに伸びるサン・フェルディナンド橋を渡ればすぐそこです。旧市街の入り口、マドンナ門からまちの中心である聖堂を目指します。

写真下左:Aテーラモ旧市街ポルティコのある建物   写真下右:Bまちの目抜き通りにはカフェや商店が集まる

テーラモは古代ローマ以前からの歴史を持ち、まちの中には古代ローマ時代の円形劇場の遺跡や中世のポルティコ(柱廊の歩道)のある建物など、時代の異なる建築が混在しながら、落ち着いた町並みとして調和しています。まちは東西に緩やかな格子状に広がり、大聖堂と広場、カフェや商業施設が並ぶ目貫通りのサン・ジョルジョ通りを中心に、地図がなくても十分にそぞろ歩きが楽しめます。

写真下:C奥にはサンタ・マリア・アッスンタ聖堂の鐘楼

●時代と様式が混在する面白さ、聖マリア・アッスンタ聖堂
時代や様式が混在するテーラモを象徴する建築と言えば、まちのシンボルでもある聖マリア・アッスンタ聖堂です。ローマ時代の遺跡の上に建てられたとされる建物は、12世紀にロマネスク様式の聖堂として建設され、その後14世紀に増築された建物後方部にはゴシック様式が採用されています。また、建設時に、隣接するローマ劇場の石材などが持ち出されており、それらの一部は現在、教会の外壁に埋め込まれています。

写真下左:Dサンタ・マリア・アッスンタ聖堂      写真下右:E聖堂内部

さらに、聖堂の背面はまるでファサードの様にバラ窓や偽の扉が存在し、一見すると2つの教会が背中合わせに建っているかの様な不思議な感覚を与えます。50mの高さを誇る鐘楼も、聖堂と同様に長い年月を経て完成し、今ではまちのランドマークとして存在感を発揮しています。

  写真下:Fサンタ・マリア・アッスンタ聖堂の背面と鐘楼

●チヴィテッラ・デル・トロントへ
「イタリアの最も美しい村」のひとつでもある、チヴィテッラ・デル・トロントへはテーラモのガブリエーレ広場に発着するバスで向かいます。テーラモから約30分、美しい丘陵地帯を縫いながらバスに揺られていると、突如目の前に巨大な艦船の様なまちが姿を現します。チヴィテッラ・デル・トロントです。

写真下:Gバスが集まるテーラモのガブリエーレ広場

バス停から少し急な階段を上がり、旧市街の入り口ナポリ門を抜けると、一気に視界が開けます。南に開放された真っ直ぐに伸びる広場からは、幾重にも連なるなだらかな丘陵地が広がり、遠くにはグランサッソの山並みが控え、その迫力と美しさに思わず息を呑みます。広場の突き当たりには大きなアーチを持つテラス付きの建物があり、アーチに縁取られた山並みの風景はまるで絵画を見ているようです。

写真下:H旧市街の入り口ナポリ門

写真下左:I美しいパノラマが広がる広場  写真下右:Jアーチに切り取られた風景

●要塞を目指し、迷路のようなまち歩く
丘の尾根に横たわる要塞を上に見て、斜面に沿って細長く発展した旧市街は、至るところに絶景ポイントがあり、少し歩く度に歩みを止めては美しい風景に見とれてしまいます。要塞へは、まちの随所に設置された標識を頼りに上を目指せばたどり着くことができます。途中、ちょっと寄り道してルエッタ通りにある「世界で最も細い」と書かれた幅40センチほどの路地に行ってみるのもお勧めです。
写真下:KL世界で最も細い路地  

チヴィテッラ・デル・トロントの要塞は、海抜600m、全長約500m、敷地面積約25,000uを誇るヨーロッパでも最大級の要塞建築。16世紀にスペイン王フィリップ2世の命で建てられて以来、没落することなく1861年のイタリア統一を迎え、一度は破壊されますが、20世紀にその建築的価値が再評価され1985年に修復されました。現在は一般開放され、要塞での往時の暮らしぶりを感じながら、併設された武器博物館で貴重な歴史資料に触れる事ができます。もちろん360度のパノラマも見逃せません。

写真下:M要塞からのパノラマ  

●テーラモの小さな村に伝わる伝統料理
最後はグランサッソの麓にある、小さな村アルシータArsitaの郷土料理「コアット coatto」の話で締めくくります。テーラモと聞くと食べたくなるお料理で、羊の肉をたっぷりの香草や野菜、ワイン、トマトソースでコトコト煮込んだもの。元々は羊飼いの料理で、冬を越すために暖かい地方へと移動する際、役目を終えた羊を調理したのが始まりとされています。山のハーブやワインでしっかり煮込むことで肉の臭みを消し、一皿で完結するシンプルさに羊飼いの知恵が詰まっています。スッキリとした地元のロゼワイン、チェラスオーロとの相性も抜群です。

写真下左:Nアルシータ村とグランサッソ       写真下右:O郷土料理「コアット」と地元ロゼワイン

筆者プロフィール
保坂優子(ほさかゆうこ)
大阪在住の都市計画コンサルタント。2002年、イタリアの暮らしにどっぷり浸りたいとアブルッツォ州に1年間留学。以降、毎年アブルッツォで休暇を過ごしている。2009年のラクイラ地震を機にアブルッツォ州紹介サイト「Abruzzo piu’」 http://abruzzo.jp/index.htmlを立ち上げる。2016年4月から「アブルッツォ通信」の共同発行者として、独自イベントの開催やPRツールの作成、コラムの寄稿などアブルッツォ州のプロモーションにも携わる。
http://abruzzo-news.blog.jp/

アブルッツオのまちめぐり データ  
 

■テーラモ Teramo  (テーラモ県 Provincia di Teramo)      
■テーラモへの交通アクセス
<鉄道>
アンコーナ駅から約2時間半(途中ジュリアノーヴァで乗り換え、乗り継ぎ時間含む)
ペスカーラ中央駅から約1時間10分
https://www.trenitalia.com/

<バス>
ローマより約2時間30分
https://www.tuabruzzo.it/

※鉄道駅から旧市街まで徒歩20分程度。路線バスあり

●サンタ・マリア・アッスンタ聖堂 Basilica cattedrale di Santa Maria Assunta
住所:Piazza Orsini, 64100 Teramo (TE)
見学可能時間:9:00-19:00
TEL:+39 0861 2426211

■チヴィテッラ・デル・トロント Civitella del Tronto  
(テーラモ県 Provincia di Teramo) 

●チヴィテッラ・デル・トロント(旧市街)へのアクセス
テーラモ・ガリバルディ広場から バスで約30分(平日7-8本/日)

●要塞&武器博物館 Fortezza Museo delle Armi
住所:Via Roma, 64010 Civitella del Tronto (TE)
電話:+39 320 8424540
開館時間:11-2月10:00-16:00(土日祝日は-17:00)、3月・10月10:00-17:00(土日祝日は-18:00)、
4-5月・9月10:00-19:00、6-8月10:00-20:00
※閉館30分前までに入館のこと
休館日:12月25日
入館料:6ユーロ
http://www.fortezzadicivitella.it/

画像提供:画像@ Dreamstime.com  画像N Gianluca Liberati
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