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自然と歴史を誇り「今」を見据えるアマルフィ
15 Settembre 2019

第2回 
「ビザンツ帝国の新年の祭典2019」
陣内教授の功績を讃え「マジステル」に



 
竹澤由美



先日8月31日から9月2日まで、7月15日号でご紹介させていただいたアマルフィ市主催「ビザンツ帝国の新年の祭典」が行われました。中世のアマルフィ共和国が1年の始まりを9月1日としていたビザンティン暦を使用していたことから、隣接するアトラーニ市とアマルフィ文化歴史センターと共に2000年から豪華な時代祭りを再現しているのがこの祭典です。そして前号でお知らせしたように、本年、メインイベントの一つである「アマルフィの歴史文化に関する分野で際立った功績を挙げている人物へのマジステルの称号授与式」でマジステルに就任されたのが、イタリア建築・都市史の第一人者である法政大学特任教授陣内秀信氏です。

トップ写真:@アマフフィ大聖堂での陣内秀信教授、市民へのマジステルお披露目  写真下:Aマジステルお披露目直前の大聖堂の様子 

●人々の固定観念を変えた陣内教授のフィールド調査
陣内教授は1998年から、20年間に渡りアマルフィの歴史家であるガルガーノ教授とアマルフィ文化歴史センター所長のコバルト教授の協力のもと、多くの住宅を実際に訪問し、実測だけでなく住民にインタビューもされるというフィールド調査をされておりますが、大学教授が民家を実際に訪問し、インタビューされるという姿勢はイタリア人には驚きが多く、陣内教授の親しみやすいお人柄からも、建築を勉強する若者の間でも絶大な人気を誇っています。

写真下:Bアマルフィとの交流について説明する陣内教授

「陣内教授はアラブ人やノルマン人、そして古代ローマ人の影響や古代海洋共和国時代の痕跡を理解しながら、一軒一軒門を叩き、市民と会話をし、アマルフィを深く知る面白さを僕たちに教えてくれました。アマルフィを代表する歴史建造物だけでなく広範囲にわたって研究されたことは歴史的空白を埋め、人類学と建築学の双方から歴史を研究する素晴らしさを示された。」とアマルフィ市長ダニエレ・ミラノ氏はおっしゃりました。                        

陣内研究室のフィールド調査にも協力された建築エンジニアのピエルルイージ・カリファーノ氏は「実測を目的に民家を訪問するとばかり思っていた未熟な学生だった僕に、「建物の魂」を探ることの必要性、つまり必要な空間作りは住民の本質を見ることにある、と陣内教授から教わったことは建築家として僕の宝だ。」と表現されたようにアマルフィの人々の固定概念を覆した陣内教授の研究方法には目を見張るものがありました。

●アマルフィでの研究成果をもとに市民参加のシンポジウム
新年の祭日前日にあたる8月31日は、18時30分から中世の造船所(アルセナーレ)の上部に位置するアマルフィの迷路のような街に突然現れる広々とした「ドゥーカ・ピッコロミニ広場Largo Duca Piccolomini)にて『日出ずる国が語るアマルフィーアマルフィと日本の都市空間の歴史と文化的景観に関する20年間の研究ー』というテーマのシンポジウムが行われ、陣内教授をはじめとする学者の方々の話を、地元の方々が真剣に聞き入っていました。

  写真下:Cアマルフィのドゥーカ・ピッコロミニ広場で行われたシンポジウム

アマルフィ海岸での20年にわたる研究内容をスライドと共に理解できる機会ということだけあって、大盛況でした。

シンポジウムに続いてイル・マッティーノ新聞記者マリオ・アモディーオによる陣内教授へのインタビュー形式での談話があり、「文化都市が観光都市になり、中心地が宿泊施設にあふれ市民の暮らしが追いやられている状況」や、「田園風景を維持する重要性が言われているが、気候の変化や田園を保つ人手不足の危機などがある現実」など、まさにアマルフィ海岸だけでなく観光地の多くが直面している鋭い質問も多く、参加者の熱気に溢れる中、「文化が忘れ去られると、街は単なる観光村になってしまう」とガルガーノ教授がシニカルに表現された際は会場に拍手が湧き起こりました。

写真下左:Dインタビュー 右はマリオ・アモディーオ氏  写真下右:D陣内教授

アマルフィの町の中にある広場で夕方の涼しい風を感じながら、街づくりについて学者と住民が意見交換をする機会が文化的な祭典のプログラムの一つに組み込まれていることに、アマルフィ市やアマルフィ文化歴史センターの文化促進に向けての情熱を感じ取ることのできる充実した時間でした。

●マジステル授与式には駐イタリア日本大使も祝福に
白熱した意見交換の翌日は、祭典当日です。アマルフィ大聖堂前で迫力あふれる旗手団のショーが観客を魅了すると、中世の貴族階級の華やかさを見事に再現する100人もの演者の歴史行列がゆったりとアマルフィからアトラーニへと移動していきます。歴史的な解説を含む実況中継がイタリア語と英語で繰り広げられるので、内容を理解しながら祭典を楽しむことができます。

写真下:FG華やかな歴史行列

マジステルの授与式が行われるアトラーニのウンベルト1世広場にあるサルヴァトーレ・サン・ビレクト教会の階段上でアマルフィ市長ミラノ氏とアトラーニ市長デ・ローサ・ラデルキ氏、そしてソリチェッリ大司教に迎えられるのは主役である陣内教授です。

写真下左:Hマジステルのマントを身につけられる陣内教授 右はアマルフィ市のミラノ市長 
写真下右:I左からソリチェッリ大司教、アトラーニ市のデ・ローサ・ラデルキ市長、陣内教授、アマルフィ市のミラノ市長、駐イタリア片上大使

「学生たちと共に、多くの民家を訪問し、多くの方々と知り合いになり、様々な価値を発見する調査を、ここアマルフィ海岸でしてきました。皆さんの大地アマルフィ海岸と日本との文化交流をさらに発展させていきたいと願ってやみません。皆さんと一緒に未来のために協力しながら研究を続けていくほど喜ばしいことはありません。」との言葉とともに名誉あるマジステルのマントを身につけられると、日本とアマルフィの交流に欠かせない陣内教授の功績を祝福するためにローマから駆けつけてくださった駐イタリア日本国大使 片上慶一氏のお祝いの言葉が述べられ、会場には盛大な拍手が響き渡り続けました。

20年間にわたるアマルフィ海岸での陣内研究室の調査はもちろん、陣内教授が架け橋をされた美濃市とアマルフィ市の手すき紙をテーマにした交流や、和歌山市とアマルフィ市の文化的景観と街づくりをテーマにした交流など素晴らしい交流の記憶が人々の心に蘇り感動的な雰囲気が漂っていたことは言うまでもありません。

●アマルフィ海岸と日本の交流の絆に感銘
感きわまる中、舞台をアマルフィの大聖堂広場に移しクライマックスです。ドラマチックな照明とともに迎えられる陣内教授とソリチェッリ大司教が大聖堂前に現れ、陣内教授から市民への感謝の気持ちと「Viva Amalfi」の言葉で締めくくれられたマジステルお披露目では熱気が最高潮に達し、花火を持った3人の踊り子が大聖堂前の威厳ある階段を十分に使ったダンスパフォーマンスで盛大なフィナーレを迎えました。

 写真下左:J大聖堂での市民へのマジステルお披露目  写真下右Kフィナーレを飾った花火ショー

アマルフィ海岸の方々との強固な友情とアマルフィ海岸の魅力、歴史への強い探究心を長年持ち続けられていらっしゃる陣内教授への尊敬の念と、日本との交流を真剣になさるアマルフィ海岸の方々への感謝の気持ちがいっぱいで、とても感動的な時間を過ごさせていただきました。アマルフィと日本の文化交流のコーディネーターとして、ますます多くの方がご自身の研究や、職人技、仕事や文化について交流を通じ発言する機会を持ち、お互いが向上しあい「知識と心」それぞれが潤うきっかけを作っていきたい、と真摯に思った二日間でした。


著者プロフィール
竹澤由美  Takezawa Yumi
アマルフィ海岸でのウェディングと観光コーディネート会社Yumi Takezawa & C S.A.S.代表。
B&B A casa dei nonni オーナー。 ロンドンで知り合ったアマルフィ海岸ラヴェッロのホテルルフォロ四代目との結婚を機に2004年渡伊。 2013年よりアマルフィ市の日本との文化交流コーディネーターを務める。 2017年NHK出版、旅するイタリア語 シリーズ「足を延ばして」コラム執筆
Instagram:https://www.instagram.com/yumitakezawa/


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