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自然と歴史を誇り「今」を見据えるアマルフィ
15 Luglio 2019

第1回 
毎年9月1日に
「ビザンツ帝国の新年」の祭典 



 
竹澤由美



●ユネスコ遺産の素晴らしい景観のアマルフィ海岸
1997年にユネスコの世界遺産に登録され、多くの観光客を魅了し続けるアマルフィ海岸。断崖状にカラフルな家々や整った段々畑があり、絶壁の下には青いサレルノ湾の広がる美しさを眺め続けるとまるで映画を見ているような錯覚におちいるほど唯一無二の素晴らしい景観が楽しめます。アマルフィは、839年9月1日にナポリ公国から独立し、海洋共和国となったことをご存知でしょうか?

トップ写真:@アマルフィで開催される「ビザンツ帝国の新年」の祭典   写真下:ABユネスコの世界遺産のアマルフィ海岸

●アマルフィは中世に海洋共和国として華やかに繁栄
アマルフィ共和国・北アフリカのアラブ諸国・東ローマ帝国(ビザンツ帝国)は三角形状に貿易関係を強固なものにしていき、急速な勢いで見事な繁栄を迎えていきます。その豊かさ故に他の力ある国々から征服を狙って攻撃の対象となっていたアマルフィ共和国は、1131年にノルマン・シチリア王国の一部となってしまいますが、経済的繁栄と海上での力は衰退することなく、同じく海洋共和国であったピサやジェノヴァと張り合うほど海上活動に優れていました。

アマルフィの歴史中心地区を歩いているとメインストリートから左右に急な階段が迷路のように交差し、居住空間であることは感じられても玄関がどこにあるか分からないのも、次々とやってくる外国人から自分たちの安全を守るために意図的にこうした建築様式になったといいます。

写真下左:Cアマルフィ大聖堂     写真下右:Dアマルフィ歴史中心地区

そんな華やかな繁栄を誇っていたアマルフィは自治を享受していたとはいえ、宗主国としては東ローマ帝国(ビザンツ帝国)に属しており、ビザンツ帝国の暦を使い、一年の始まりを9月1日としていて、当時はその日に海洋共和国の歴代の指導者たちの就任式や、公式儀式を含む貴族階級の祭典が盛大に行われていました。

●2000年から「ビザンツ帝国の新年の祭典」を歴史行事として開催
現在において、市民への文化促進を大切にし、様々なシンポジウムや行事を開催しているアマルフィ市ですが、隣接するアトラーニ市とアマルフィ文化歴史センターと共にこの豪華な時代祭りを2000年から文化促進の一環として再現し、「ビザンツ帝国の新年 Capodanno Bizantino」の祭典を歴史行事として開催しており、今年2019年も19回目の開催を予定しています。

写真下:EF「ビザンツ帝国の新年の祭典」の貴婦人や騎士などの衣装をまとった歴史行列

祭典は8月31日から始まり、9月1日には貴婦人や騎士などの華麗な衣装を身にまとった100人以上の演者が、アマルフィの街から海岸通りをアトラーニの街に向かって楽隊とともに歴史的行列を再現します。道路は通行止めになり、美しい海岸通りを音楽とともに優雅にされる行進は圧巻です。

●文化的貢献者への「マジステル」授与と披露がクライマックス
歴史行列の再現だけに終わらず、学術的な内容も見事にプログラムに組み込むことを得意とするイタリア人。このビザンツ帝国の新年の祭典にも中心行事として「アマルフィ文化におけるマジステル」の授与式があります。ラテン語のイタリア語読みである「マジステルMagister」(日本語読みではマギステル)は文化人に付与される称号であり、学者や芸術家、政治家など後世にも指針を与えるほど権威ある指導者のことを意味します。

アマルフィ市はビザンツ帝国の新年の祭典で毎年同地域の歴史文化の分野で際立った功績を挙げている人物にこのマジステルの称号を授与しており、授与式はアトラーニの美しい外観のサン・サルヴァトーレ・デ・ビレクト教会の入り口で中世のアマルフィ共和国のドージェ(総督)の戴冠式のように演出されています。アトラーニで学術的な観点からマジステルが披露された後は、アマルフィの大聖堂の壮麗な大階段に舞台を移しマジステルが市民に披露されます。同時に広場が熱気に包まれ、正にビザンツ帝国の新年の行事のクライマックスを迎えます。就任式終了後はライトアップされた大聖堂前でコンサートが行われ大聖堂広場は遅くまで大勢の人に溢れ、イタリアの夏らしい賑わいを楽しむことができます。

 写真下:GHアマルフィ大聖堂での「ビザンツ帝国の新年の祭典」のクライマックス

●今年の「マジステル」は日本の陣内秀信教授に
そして2019年度のマジステルはなんと日本人の法政大学特任教授 陣内秀信氏を迎える予定です。イタリア建築史や都市史の研究者の第一人者である陣内教授は、1998年以来ご自身の学生達とアマルフィ海岸の都市調査を続け、その成果を多数の報告書、著書にまとめておられます。様々なメディアでもアマルフィ海岸の魅力を紹介され、アマルフィ市やアマルフィ文化歴史センターとともに文化交流シンポジウムを度々開催されてきました。2011年にはアマルフィ名誉市民に列せられ、最近では美濃市や和歌山市とアマルフィ市との文化交流にも協力されており、アマルフィと日本の橋渡しのキーパーソンと言えるでしょう。

アマルフィ海岸に住む日本人として、歴史行事の中心人物に陣内教授が就任される事に今から胸がいっぱいで、多くの日本の方と歴史行事をお祝いできることを願ってやみません。

なお、9月1日の歴史行列は18時頃からアマルフィのスピリト・サント広場から開始される予定です。

著者プロフィール

竹澤由美  Takezawa Yumi

アマルフィ海岸でのウェディングと観光コーディネート会社Yumi Takezawa & C S.A.S.代表。
B&B A casa dei nonni オーナー。 ロンドンで知り合ったアマルフィ海岸ラヴェッロのホテルルフォロ四代目との結婚を機に2004年渡伊。 2013年よりアマルフィ市の日本との文化交流コーディネーターを務める。 2017年NHK出版、旅するイタリア語 シリーズ「足を延ばして」コラム執筆
Instagram:https://www.instagram.com/yumitakezawa/


自然と歴史を誇り「今」を見据えるアマルフィ
 

■「ビザンツ帝国の新年」祭典 Capodanno Bizantino 公式ホームページ
http://www.capodannobizantino.it/


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