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15 giugno 2006

Viaggio enogastronomico tra Assisi e Spoleto
その1 オリーブオイルと黒トリュフの森、ウンブリアへ



井川直子


■発展に遅れた分、手つかずの素朴さが残るイタリアのハート

イタリア料理がこれだけ日本に根づいても、知られていない場所や、密やかに食されている美味はまだまだ多い。(食べても、食べても追いつかない!)最近ではイタリア地方料理への関心も高まって、料理人達の中にはまだ見ぬイタリアへと向かう者も増えてきた。

ウンブリア州へ視察に来ませんか? と誘われたのは去年の秋。
ウンブリアといえば、頭に真っ先に浮かぶのはいつもハト。旅行ガイドならまず「豚」と書くだろうけれど、私には数年前にペルージャ近郊で食べた野バトのローストが忘れられない。身が締まり、濃密で薫り高い肉質。店のカメリエーレは「この辺りは森が多いから」と、教えてくれた。
山でも海でもなく、森。なんてわくわくする、神秘的な響きだろう! ウンブリアの森は、もしかしたら食材の玉手箱なのだろうか。

しかしウンブリアの場所を、いや存在を知っている人はどれだけいるだろう?
トスカーナ州の南東、マルケ州の西、ちょうどイタリアの真ん中あたりにあるウンブリアは、緑豊かなことから「イタリアの緑のハート」といわれている州。
今や世界的に知られるトスカーナの陰に隠れ、かなり地味めな存在感ながら、じつは良質のオリーブオイルと黒トリュフの名産地。フンギポルチーニといったキノコ類や、猪・野ウサギ・野バト・鹿といったジビエ、プロシュートなど家禽肉を使った加工品、それに麦や豆類も驚くほど豊富。
「ここは歴史的にローマ教会の管理下にあった時代が長く続いたため、商業的発展や観光の面では隣の州に大きく遅れをとった。しかし、だからこそ昔ながらの素朴さがそのまま残されているのが魅力」なのだとか。
ローマやフィレンツェなど「都会」の人々が疲れを癒しに訪れるような、そんなほっとする場所なのだという。

50年前までは、ウンブリア人口の60%が農業従事者だったという。現在の割合は9%だそうだが、その伝統料理は質素な生活から生まれたものが多い。たとえばウンブリアのパンは塩を使わない白パン。それは昔塩が課税対象だったため"使えなかった"ことに由来する、など。
けれど、それが個性となる時代が来た。洗練はなくとも多彩な豆や麦、そして何より「森」の素材は慎ましくも雄弁だ。
今回訪れたのは州都ペルージャではなく、聖フランチェスコの町であり世界遺産のアッシジから食の町スポレートへ向かいながら、その周辺に散らばる小さな町々。まさに、イタリアのハート・ウンブリアの、そのまたハートの部分だ。

■世界遺産の町・アッシジの隣で食した鹿の味

意外と知られていないようだけれど、町ひとつがまるごと世界遺産という美しい中世の町・アッシジのすぐ隣には、環境保護指定を受けた広大なモンテ・スバーシオ国立公園が広がっている。
「Le Silve」はその自然公園内にある約250haの土地に、鹿、羊、豚、馬などを放牧しているアグリツーリズモ。標高650〜800mに位置し、夏は涼しく、春、秋の景観も美しい。敷地内には4つ星ホテル、リストランテ、レジデンスもあり、都会の人々が週末やバカンスをのんびりと過ごすとか。

広すぎる緑地をクルマで移動していると、途中で草を食む鹿の親子やまったりと散歩する豚に出会う。可愛い! とカメラを向ける日本人一行。しかし当然、彼らはすべて食用だ。

農業従事者が多かったウンブリアでは、各家々の家畜で自家製サルシッチャなどの加工肉作るのが日常的だったという。今では少なくなったそうだが、リストランテで使われる野菜や肉の約8割が自家製である「Le Silve」は、伝統的なウンブリアを象徴する施設なのだとか。
現在鹿は約250頭、雪で覆われる冬以外は餌付けでなく土地の草を食み自活する。ドングリがたくさん落ちていたから、豚もイベリコ並みにドングリを食べているのかもしれない。
動物だけでなく、オリーブ、自生するフンギポルチーニ、トリュフは黒と白も採れるそうだ。

昼食を、ホテル内のリストランテでいただいた。こちらの総シェフは、近郊の町チッタ・ディ・カステッロにある一つ星「イル・ポスターレ」を率いるマルコ・ビスタレッリ氏(39歳)。ちなみに彼の店には、10年間で延べ70〜80名の日本人コックが修業に来たという。彼自身も2度の来日経験あり。
料理は伝統料理をベースに、マルコ氏のアレンジを加えた皿。たとえば地元の豆のスープに海老を使ってみたり(海のないウンブリア州では、伝統的には鮮魚を使わない)。
マルコ氏曰く、 「普段はもっとクリエイティブなメニューもある。ボッタルガやペペローニのジェラートも作るんだよ。」
変わりつつあるウンブリアを、実感。
「Le Silve」
Armenzano, 06081 Assisi (PG) 
TEL +39 075 8019000/FAX +39 075 8019005 http://www.lesilve.it/
チェーチと海老のスープ
チェーチとはオレンジ色をしたエジプト豆で、ウンブリア州スペッロなどで栽培されている。豆の種類が豊富なウンブリアでは、豆・麦料理を本当によく食べる。ここでは質素な伝統料理チェーチのスープを題材に、ブロードを海老で取り、海老の身も加えてリッチに仕上げている。最後にはもちろん、ウンブリア産のEXVオリーブオイルが欠かせない。

赤ジャガイモのニョッキ 鹿と黒トリュフのソース
皮の赤いジャガイモは、アッシジ周辺(主にコルフェリーノ)の名産で、まずその甘みに驚く。水分が少ないため火を通すとふっくら仕上がり、ニョッキは赤ん坊のほっぺたのようにふわふわしたやわらかさ。
ソースは近郊で作られたまろやかなオリーブオイルがベース。この農園内で育った鹿の肉を細かく刻み、ベーコンのようにカリカリに炒める。その食感と野性的な香ばしさに、旬の黒トリュフの芳香が追い討ちをかける。

(続く)

【協力/アッシジ観光協会(Sistema Turistico Locale di Assisi)、アッシジホテル組合(Consorzio Albergatori di Assisi) 「いにしえのウンブリア、峡谷と山々」地区観光協会(Sistema Turistico Locale Valli e Monti dell'Umbria Antica) 】

著者プロフィール
井川直子(Naoko Ikawa)
フリーライター。食・飲・人をテーマに雑誌等に寄稿。著書に、イタリアで修業中のコック を取材した 『イタリアに行ってコックになる 24 stories of Japanese in Italy.』 (柴田書店)。
共著で、食部門(第3・4章)を担当した『麗しの郷ピエモンテ 北イタリア 未知なる王国へ』(昭文社)。現在『料理通信』ブログにて、日本の地方イタリアンについて連載中。http://trippa.cocolog-nifty.com/italian/

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