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15 settembre 2006

Viaggio enogastronomico tra Assisi e Spoleto
その3 収穫の秋のオリーブオイル



井川直子


■秋だけのお楽しみ、ノヴェッロのEXVオリーブオイル

収穫の秋になると心うきうき、そわそわ騒ぎ出す……。
イタリアでノヴェッロ(フランス語ではヌーヴォー)といえばワインと、オリーブオイル。その土地や年にもよるけれど、だいたい10〜11月に収穫されるオリーブはその日のうちに搾られ、11月前後から出始める。搾りたてで、まだ澱が沈殿せず濁ったままのオリーブオイルは、香りがひときわ鮮烈だ。

ウンブリア州は、オリーブオイル大国イタリアでも古くからオリーブ栽培が行われてきた地域のひとつ。なかでも三大産地は、アッシジからスポレートに向けて伸びる丘陵地帯に点在するスペッロ、トレヴィ、スポレート。オリーブの実がゆっくりと熟し、霜が降りにくいという適度な標高と気候に恵まれているのだそうだ。この地域で生産されるエクストラバージン(EXV)オリーブオイルはDOP(保護指定原産地表示)に指定。
ここでは、対照的な規模による二つのEXVオリーブオイルと出合った。

■農家ウゴネッリさんの自家製EXVオリーブオイル

19世紀の豪農の家を改装した上品なレジデンス「トッレ・アクアティーノ」では、オリーブ栽培農家であるウゴネッリさんのEXVオリーブオイルを販売していた。

代々農業を営むウゴネッリ・アントニーニ・マルチェッラ家は、スペッロの標高400mの丘陵にオリーブ畑をもち、無農薬・有機農法でオリーブを栽培している。ちなみにオリーブ作りに最適な標高は300〜500mなのだとか。理由を尋ねると、日当たりがいいことと、霜が降りにくいからという答が返ってきた。
加えてこの当たりは地質がやわらかく、酸度の極めて低い良質の実ができるのだとか。モライオーロ種80%、フラントイアーノ種15%、レッチーノ種5%を低温(30℃未満が基準)で圧搾するコールドプレス製法で、もちろんDOP(モライオーロ種が60%以上含まれていないとDOPに認められない)。

残念ながらノヴェッロではなかったけれど、このEXVオリーブオイルをパンにたっぷりとかけて試食させてもらった。
お隣の州トスカーナ産のような強さとはまったく違った、穏やかな印象。香りはフルーティで、喉の近くでちょっとピリリとした辛みを感じる。
「そう、このピッカンテ(辛み)がなければウンブリアのオイルじゃないんだ」と、レジデンスのご主人。
野菜に、肉料理に、パスタやスープの仕上げにもよし。魔法の一振りで料理の印象がガラリと変わる。ただし、せっかくの香りが飛んでしまうからウンブリアのEXVオリーブオイルは決して火を通さないで使うこと、とクギを刺された。
日本未発売。でも、もう少ししたらHPで販売するかもしれない。

「Residenza la Torre」
Via Torre Acquatino, 5 06038 Spello (PG) TEL/FAX +39 0742 302193 
http://www.residenzatorreacquatino.com/

■イタリア最大手のひとつ、MONINI社のノヴェッロ

一転、こちらはイタリア国内でも屈指のシェアを誇る一大メーカーMONINI社。オリーブを手で搾るマークに見覚えのある人もいるだろう。ウンブリアのオリーブ三大産地のひとつスポレートで、1920年から創業している老舗だ。
案内のカルロ氏曰く「いいオリーブであるからといって、必ずしもいいオイルが作れるというわけではなく、技術が必要。私たちは最新の機械と技術を完備している」。

もちろん、果実の品質はオイル作りの最初にして重要な要素。同社では有機栽培で健康な木を育て、散水器で土の水分を適度にコントロールし(土の乾燥は大敵だとか)、畑のコンディションを整える。そうやって育てた10〜40歳の木が理想だ。

同社のEXVオリーブの品種は、モライオーロ種、フラントイアーノ種、レッチーノ種、ペンドリーノ種など。きちんと成熟した実からなるオイルは濃いグリーンで、トコフェノールやポリフェノールといった抗酸化成分がたっぷりと含まれている。ウンブリアのオイルの特徴である辛み・苦味は、酸度の低い証なのだとか。

収穫は、ネットを張ってから木を振って実を落とす方式だが、木を振るマシンが入らない急勾配の丘では人の手でひとつひとつ摘み取ることになる。マシンなら1人で1日4000kgの収穫が、人手になると1人1日100kgなんだそうだ。
ちなみに、自然に落下した実は絶対に使わない。害虫に食われている場合もあるし、酸化が始まっているためビタミンなどの栄養素も損なわれている。
「絶対に、木から摘んだものを24時間以内に搾ること」
カルロ氏は「絶対に」を何度も繰り返していた。

オリーブオイルの3つのタブーは、酸化、光、熱。
「昔ながらのやり方は、実を石臼で時間をかけて潰し、ドーナツ型のマットに挟んで重ね、プレスしていたため酸化や衛生面で問題があった」とマルコ氏。
同社では現在、真空の機械を使いたった3分でペースト状にし、遠心分離で水分と油分を分ける。圧搾は、低温で行われるコールドプレス製法。

搾りたてのオイルは美しいグリーンだが、まだ濁っている。この後、タンク内で静かに澱を沈める。ノヴェッロ好きには、この濁りがたまらないという人が多い。

敷地内には昔の家畜小屋を改装したという美しい建物があり、全7部屋の宿泊施設になっている。部屋もセンスのいい家具でまとめられ、ちょっとしたホテル並みに素晴らしい。といっても、ここは同社が主催する料理教室の受講者のための施設。今はシェフを対象にウンブリアの伝統料理、オリーブオイルを生かす料理を開講しているが、今後は一般向けの料理教室も行いたいとか。キッチンもIHでハイテク完備。

「MONINI」
Strada Statale Flaminia Km. 129 06049 SPOLETO (PG)
TEL +39 0743 23261/Fax +39 0743 232689 
http://monini.com
(続く)

【協力/アッシジ観光協会(Sistema Turistico Locale di Assisi)、アッシジホテル組合(Consorzio Albergatori di Assisi) 「いにしえのウンブリア、峡谷と山々」地区観光協会(Sistema Turistico Locale Valli e Monti dell'Umbria Antica)】

著者プロフィール
井川直子(Naoko Ikawa)
フリーライター。食・飲・人をテーマに雑誌等に寄稿。著書に、イタリアで修業中のコック を取材した 『イタリアに行ってコックになる 24 stories of Japanese in Italy.』 (柴田書店)。
共著で、食部門(第3・4章)を担当した『麗しの郷ピエモンテ 北イタリア 未知なる王国へ』(昭文社)。現在『料理通信』ブログにて、日本の地方イタリアンについて連載中。http://trippa.cocolog-nifty.com/italian/

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