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200周年 ミラノ・ブレラ美術館の楽しみ
 

16 febbraio 2009

第1回 カラヴァッジョ特別展

石橋 典子


●ブレラ美術館の沿革
ミラノの旧市街、オペラで有名なスカラ座の右に沿った道をまっすぐ行った先に、ブレラ美術館Pinacoteca di Brera(Via Brera 28、Milano)がある。もともとキリスト教、イエズス会の建物であったところに、オーストリア支配時代、ハプスブルグ家のマリア・テレジア女王の命で美術学校が作られ(1776年)、それに併設された形で、1809年、ジュゼッペ・ボッシによって、博物館として開設された美術館である。当時の北イタリアは、ナポレオンの統治下で、ナポレオンの文化政策にともない、パリのルーブルにも博物館の開設が行われた「美術館」ブームの時期にあたり、ルーブルとともに、ブレラは1800年代の博物館モデルとされている。

ブレラ美術館のオープニングは、当時イタリア国王の座にあったナポレオンの40歳の誕生日の1809年8月15日で、現在、建物の中庭には、台座にNのマークが入ったナポレオンのブロンズ像(カノーヴァ作)が置かれている。美術館としてスタートした後、それまでイタリア各地からナポレオンが収集したコレクションの公開のほかに、絵画の購入も始められた。

ちょうど今年2009年は、ブレラ美術館誕生200周年、今年1年間に7つの展覧会、3つのコンファレンス、コンサート等が行われる。館内は、壁の色を特別に塗りなおし、ルネッサンスは革の色、バロックは黄色、1700年代は空色、1800年代はブルーと色分けされた。

今年のイベント
●1月18日〜3月29日、カラヴァッジョ特別展
●3月19日:ラファエロの『マリアの結婚』修復後のお披露目。
●4月7日〜6月2日:ロンバルディアの風景画展(1817〜1822)
●5月5日:修復されたアントニオ・カノーヴァ作のナポレオンの石膏像
●6月11日〜9月20日:初代館長ジュゼッペ・ボッシの時代展
●10月15日〜2010年2月5日:クリヴェッリ展
●11月11日〜2010年1月10日:第1次、第2次世界大戦時代のミラノ(写真展)


写真トップ:ロンドン、ナショナル・ギャラリーから貸し出されたカラヴァッジョ作『エマウスの午餐』
上左:ローマのボルゲーゼ美術館からの『少年と果物かご』
上右:ニューヨークのメトロポリタン博物館からの『コンチェルト』

●カラヴァッジョ特別展「Caravaggio ospita Caravaggio」
ブレラ美術館内の通常の見学経路の途中、「ナポレオン室」(XV)に特設展示されている4枚の作品は、ブレラ美術館所蔵のカラヴァッジョ作『エマウスの午餐』(La Cena in Emmaus 1606年)、ロンドン、ナショナル・ギャラリーから貸し出された同名の『エマウスの午餐』(1601〜02年)、ローマのボルゲーゼ美術館からの『少年と果物かご』(Ragazzo con Canestro di Frutta)」(1593〜94年)、ニューヨークのメトロポリタン博物館からの『コンチェルト』(Concerto 1594〜95年)である。

展覧会の題名「Caravaggio ospita Caravaggio」にあるように、「ブレラ美術館のカラヴァッジョの絵が、カラヴァッジョの3枚の絵をロンドン、ニューヨーク、ローマから迎える」という趣向である。特に、ロンドンから貸し出された『エマウスの午餐』は、磔の刑のあとに復活したキリストにエマウスの地で巡礼者が会い、午餐を共にする最中に、気づかない二人の巡礼者に対し、自分がキリストであることを明かす場面(ルカ伝<エマウス>24:13−31)を描いた有名な作品。

この絵(『エマウスの午餐』(La Cena in Emmaus1601−02年、ロンドン、ナショナル・ギャラリー)では、女性のようにも見える若い男が、生き返ったキリストであると知った瞬間の、二人の巡礼者の驚きがリアルに表現されている。右側の男は、両手を広げ、左側の男は、椅子に手をつき、驚いて立ち上がろうとしている。右の男の手は、まるで絵の外にいる私たちの方に向かって迫ってくるかのようだ。左手の男が座っている椅子は、カラヴァッジョ展が行われている部屋の手前の広いホールに数脚置いてある、当美術館の椅子と同じ型のもの。この男の袖の破けたひじは、絵を見ている私たちの方に飛び出してきそうである。テーブルの上のガラスの器に入ったワインと水は、かすかに揺らぎ、テーブルの端にある果物かごの影は、キリストを表す魚の尻尾の形をしている。
対面に展示されている『少年と果物かご』や、ミラノのアンブロジアーナ絵画館所蔵の『果物かご』と比べてみると面白い。


写真上:ブレラ美術館所蔵のカラヴァッジョ作『エマウスの午餐』

一方、ブレラ美術館所蔵の同名の作品は、彼が死刑におびえながら逃げ回っている時に描かれた作品で、画家の心理が絵に大きく反映されているといえるであろう。最後に、『コンチェルト』の右から2番目の笛を持つ少年の顔は、カラヴァッジョの自画像である。

カラヴァッジョの本名は、ミケランジェロ・メリージ。1571年ミラノ生まれだが、両親と幼少時に住んでいたミラノ近郊の村の名前、カラヴァッジョが通称として知られている。最近ミラノが出生地であることが、出生届から確認された。 なお、カラヴァッジョの研究者として世界的に知られている美術史家ミーナ・グレゴーリは 現ブレラ美術館館長サンドリーナ・バンデーラの叔母にあたる人。
200周年記念企画が「カラヴァッジョ展」を皮切りにスタートするのも、ミラノとカラヴァッジョの強い絆が背景になっているといえよう。


データ

ブレラ美術館
Pinacoteca di Brera

Via Brera 28、20121 Milano
http://www.brera.beniculturali.it/
tel. 02722631 - fax: 0272001140
開館時間 8:30から19:30 (入場は閉館45分前まで)
休館日 月曜、1月1日、5月1日、12月25日
入館料 10ユーロ

■カラヴァッジョ特別展「Caravaggio ospita Caravaggio」
http://www.brera.beniculturali.it/Page/t02/view_html?idp=389


石橋典子(Ishibashi Noriko)
東京大学薬学部、文学部イタリア文学科卒。イタリア語通訳、翻訳家、
訳書:「無意識の証人」「眼を閉じて」(文春文庫)。ミラノ在住

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