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200周年 ミラノ・ブレラ美術館の楽しみ
 

15 aprile 2009

第2回 修復終えたラファエロの「マリアの結婚」

石橋 典子


●ブレラ美術館の沿革
ミラノの旧市街、オペラで有名なスカラ座の右に沿った道をまっすぐ行った先に、ブレラ美術館Pinacoteca di Breraがある。もともとキリスト教のイエズス会の建物であったところに、オーストリア支配時代、ハプスブルグ家のマリア・テレジア女王の命で美術学校が作られ(1776年)、それに併設された形で、1809年、ジュゼッペ・ボッシによって、博物館として開設された美術館である。

ちょうど今年2009年は、ブレラ美術館誕生200周年にあたり、いろいろな記念イベントが開催中である。
この3月19日にはラファエロの『マリアの結婚』修復後のお披露目が行われた。


写真トップ:修復されたばかりのラファエロの『マリアの結婚』
写真左右:ブレラ美術館におけるラファエロの『マリアの結婚』修復作業

●修復後のラファエロの「マリアの結婚」
このラファエロの絵は、ブレラ美術館を代表する作品の一つ。修復が終わり、3月末から展示室に置かれ、美しい色を見せてくれている。今から300年前の1504年にチッタ・ディ・カステッロにあるフランチェスコ会の教会のために描かれたこの絵は、ナポレオン時代の1798年、フランス軍将軍ジュゼッペ・レキに寄贈され、そして1803年、ジャコモ・サンナッザーリが購入し、翌年ミラノのオスペダーレ・マッジョーレに寄贈されて、その後ブレラ美術館所蔵となった。

過去、何度も修復が行われ、おそらく1700年代にも行われたとされているが、記録が残っているのは、1858年に修復士であり画家のジュゼッペ・モルテーニがおこなったもの。そして1958年のマウロ・ペッリッチォーリ氏による修復は、マリアの肘と腹部を、一般の鑑賞者が、ガラスの上からかなずちで傷をつけたためで、傷の部分を漆喰でふさいで直したにすぎなかった。その後1980年代から、作品の保存状態などを知るためにさまざまな器具を使用して研究が進められた。

モルテーニの修復からすでに150年を経過し、絵はぼんやりと暗くなり、再び修復が必要となったため、美術館誕生200年を機会に2008年1月から修復が行われた。その目的は、塗料の酸化、部分的なニス、変色によって暗くなった絵の色彩の取り戻すことと絵の薄い膜の浮き上がり部分を安定化させることだった。同時に修復された金箔張りの木製の額もお見逃しなく。


写真左右:ラファエロの『マリアの結婚』の一部拡大

●この絵にまつわるエピソード
キリスト教によれば、ヨゼフと(のちにキリストの母となる)マリアは、エルサレムの聖堂で教皇の祝福を受けて結婚したという。帽子と正装で、中央の男性が教皇であることがわかる。ヨゼフは、結婚指輪をマリアの指にはめようとしている。マリアは、幼いころから聖堂で育ち、女性の友人たちに付き添われて式に臨む。夫は、しかし数人の候補者の中から、奇跡の印が現れた者が、選ばれることになっている。中世の聖人伝、黄金伝説によると、その奇跡の印は、男たちが手に持った棒の端に花が咲くこと、だった。選ばれなかった男が、花の咲かなかった棒を折って失望を表している。ヨゼフの持った棒の先には、確かに、花が咲いている!

背景に見える大きな広場と中央にドームのある建物、エルサレムの聖堂であるはずだが、これはラファエロの同時代のモダンな建物。ラファエロは、ウルビーノの宮廷に使えた画家ジョヴァンニ・サンティの息子だた、8歳11歳で母、父を失った彼は、宮廷で、ルネッサンス時代の高度な文化芸術、つまり建築が中心であった芸術に、幼いころから触れていたし、数学や建築も学んでいた。

1504年に描かれたこの絵は、ペルージャの大聖堂に保存されていた聖アネッロの遺品、聖母の結婚指輪を思い出させるために依頼されたという。遺品が置かれた礼拝堂には、ラファエロの先生である、ピエトロ・ペルジーノが祭壇画を同じ時期に製作していた。そのころまだラファエロはペルジーノの色彩やテクニック、スタイルをとっていたが、ラファエロの空間、建築、人物配置構成の仕方は、ペルジーノと異なる。

当時21歳だったラファエロはウルビーノからペルージャへ移り、さらにシエナの大聖堂内にあるピッコローミニ図書館の壁画を描く。そしてチッタ・ディ・カステッロで1501年から1504まで滞在する。「マリアの結婚」はラファエロの青年期の集大成の作品といってもよい。


データ

ブレラ美術館
Pinacoteca di Brera

Via Brera 28、20121 Milano
http://www.brera.beniculturali.it/
tel. 02722631 - fax: 0272001140
開館時間 8:30から19:30 (入場は閉館45分前まで)
休館日 月曜、1月1日、5月1日、12月25日
入館料 10ユーロ  年間入館券 20ユーロ

ブレラ美術館 200周年記念 今年のイベント
●1月18日〜3月29日、カラヴァッジョ特別展
●3月19日:ラファエロの『マリアの結婚』修復後のお披露目
●4月7日〜6月2日:ロンバルディアの風景画展(1817〜1822)
●5月5日:修復されたアントニオ・カノーヴァ作のナポレオンの石膏像
●6月11日〜9月20日:初代館長ジュゼッペ・ボッシの時代展
●10月15日〜2010年2月5日:クリヴェッリ展
●11月11日〜2010年1月10日:第1次、第2次世界大戦時代のミラノ(写真展)


石橋典子(Ishibashi Noriko)
東京大学薬学部、文学部イタリア文学科卒。イタリア語通訳、翻訳家、
訳書:「無意識の証人」「眼を閉じて」(文春文庫)。ミラノ在住

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