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ヴェネツイアのブラーノ島だより  
15 Maggio 2015

第5回  トルチェッリ島とマゾルボ島へ


 
写真・文 宮崎 亜矢子 



●ブラーノ島から足を延ばして
ながーく、くらあーい冬と、日差しがきつく湿気の高い夏の間のヴェネツイアの短い春は、一年中で最も快適な季節といえます。ひばりのさえずる声が行きかうまっ青な空に、カラフルな家がいっそう映え、写真も撮り甲斐があり、ついつい時間のたつのを忘れてしまいますが、せっかくブラーノ島まで足を運んだなら、天気の良い日にはブラーノ島からすぐのトルチェッロ島ISOLA DI TORCELLOとマゾルボ島ISOLA DI MAZZORBOまで足を伸ばすことをお勧めします。

1.トルチェッロ島
トルチェッロ島は、ヴェネツイアが生まれる遥か以前の5世紀に、本土のアルティーノの住民が蛮族の侵入を避けてヴェネト潟の島に逃げてきたことからはじまる、いわばヴェネツイアの出発点ともいえる土地です。かつては2万人もの人口を誇ったこの島も、ヴェネツイアのリアルト橋付近にその政治経済の中心が移るにつれ衰退の道をたどり、今では何件かのレストランと家があるだけの草深いところです。

トップ写真@マゾルボ島からみるブラーノ島。サンダロ船でお散歩。
写真下ABブラーノのお隣トルチェッロ島散策はここから始まります!

●古い石造りの「悪魔橋」
ブラーノ島とはヴァポレット(水上バス)VAPOLETTOで10分ほどにあり、船を降りると運河沿いの素敵な散歩道が島の中央まで続いています。途中にある「悪魔橋」PONTE DEL DIAVOLOは、欄干の無い古い石造りの橋で、ツーリストの格好の写真スポットとなっています。もともとヴェネツィアにある橋はこのように欄干の無い形でかけられていたのですが、現在ではこことカナレッジョ地区にあるものの二つだけになっています。


写真下左C「悪魔橋」 お写真必須です。  写真下右D彼らもトルチェッロ島の住民   

この橋を渡って舗装されてない小道を行き、緑の広場が広がる手前を右手に折れると、藤の花がアーチになった素敵な橋にたどりつきます。中は私有地になるため入れませんが、藤の花の甘い香りが漂う素敵なアーチは一見の価値有り!ちなみに藤の見ごろは4月中旬から5月上旬となります。

●壮麗なヴィッラ・レストラン
石畳の運河沿いの道に戻ってさらに進むと、左手によく手入れされた広大な芝生のお庭に白いガゼボの立ち並ぶ、壮麗なヴィラが見えてきます。この邸宅は1600年代に建設された歴史的建造物で、現在は「ヴィッラ・セイチェントVILLA '600」という素敵なレストランになっています。 写真下左Eお庭の美しいレストラン「ヴィッラ・セイチェント」   写真下右F日差しのきつい日は、日よけ付のオープンエアー・スペースもあります。 

写真下左Eお庭の美しいレストラン「ヴィッラ・セイチェント」   
写真下右F日差しのきつい日は、日よけ付のオープンエアー・スペースもあります。

このレストランはブラーノ人の洗礼式や聖体拝領式、結婚式といったイベントには必ず使われるところです。昨年の従妹の息子の聖体拝領式のお食事ではブラーノ人ばかりで3組。お食事の始まったころは皆様おとなしく席についていましたが、ワインがすすむにつれ、皆が移動をはじめ、最後のほうには誰がどこの招待で来ているのかがよそ者(?)の私としてはよくわからない、という騒ぎになっていました。

写真下左G盛り付けも非常に繊細   写真下右Hタルタルデトンノ、絶品!

それというのもこのレストランのオーナーは生粋のブラーノ名士のヴァンニ氏。大変なグルメでお食事に行く度、その食に対する情熱的なお話に敬服させられます。その息子のとってもハンサムなジャン・ピエトロ君がヘッドウエイターとしてエレガントなサービスをしてくれ、木陰のテーブルで白ワインを飲みながら優雅なランチを楽しむめば、気分はプリンチペッサPRINCIPESSA(お姫様)! 時間の無い方はお庭の優雅なガゼボでチケット(おつまみ)付のアペリティフ(8ユーロ)を楽しむこともできます。

●サンタマリア・アッスンタ教会の「聖母子像」
これぞバカンス!という、のんびり優雅なランチが終わったあとは、レストランを出て左手の橋を渡るとすぐに島の中心である、サンタマリア・アッスンタ教会CHIESA DI SANTA MARIA ASSUNTAの広場にでます。

写真下左Iサンタマリア・アッスンタ教会の堂々たる鐘楼   写真下右J藤の花の甘く香るアーチ

この教会は、7世紀にまで その歴史が遡れるベネト潟で最も古い教会で、教会前には洗礼堂の跡があります。教会内部は12-13世紀のベネト・ビザンチン様式のモザイクで厳かな装飾がされ、バロックの絢爛豪華さとは異なる、厳かな空気が流れます。

写真下左K洗礼堂の跡が残るサンタマリア・アッスンタ教会   写真下右L博物館脇の壁の古いレリーフ 

私は鈍感とはよばれこそ、霊感などとは縁遠い人種ですが、この教会に入るとなぜか不思議な感覚に陥ります。霊の存在というよりは、もっと穏やかな感じ。祭壇中央にある13世紀のモザイクの傑作「聖母子像Madonna col Bambino」のマドンナが醸し出す強さが、この教会を訪れる人々を守ってくれているからなのでしょうか。ぜひとも時間を作って体験してみてください。

●9世紀起源のサンタ・フォスカ教会
またその隣には9世紀にまでその起源がさかのぼれるサンタ・フォスカ教会CHIESA DI SANTA FOSCAがあります。この教会はギリシャ十字形プランの小さなものですが、それだけに親密な雰囲気があり、一昨年友人がここで結婚式を挙げたときには「私もここで結婚式をあげてみたい!」と思わせる、新郎新婦との距離が近い素敵なセレモニーだったのを思い出します。

 写真下左Mサンタ・フォスカ教会の古い回廊。    写真下右N結婚式の日はこんなデコレーションが。 

この広場には14世紀の古文書館PALAZZO DELL ARCHIVIOと議会館PALAZZO DEL CONSILIO議会館からなるトルチェッロ博物館MUSEO DI TORCELLOもあり、ベネト潟から出土した考古学資料や、美術品などが展示される小さいながらも内容の濃い博物館です。

●小川のような運河と一面の緑
この広場を過ぎて、鐘楼の裏手に向かうと、向こうに運河をのぞむ、一面の緑のグラウンドがあり、夏場などはここでピクニックをする姿もみかけられます。この運河には夏場はいっぱいボートが係留し、ボートの上でプロセッコPROSECCO(ベネト名産のスパークリングワイン)で乾杯する姿も見かけられます。鐘楼の裏手には小川のような運河が流れ、かわいらしい木の橋を渡り小道を行くと、ブラーノ島を望む小さな階段のある昔の船着場にでます。ここから対岸にブラーノ島を望む景色は、おそらく中世からまったく変わっておらず、感慨深いものがあります。 

写真下左Oお花が咲き乱れるぶどう園。  写真下右Pトルチェッロ島では猫ものんびり。動物愛護協会が管理しています。

2.マゾルボ島
マゾルボ島はブラーノ島と長い木造の橋で結ばれています。ブラーノのすぐお隣の島ですが、家が建て込まず、緑の多い島であるため、ブラーノ人のジョギングやお散歩の場所となっています。

●広がる野菜畑とブドウ畑
橋を渡ってすぐ目の前にある小さな鉄の扉をはいると、野菜畑とブドウ畑がひろがります。ここはブラーノ島の老人たちが家庭菜園を営むところで、その季節の野菜が元気に育っているのが見られます。またこのブドウ畑はその先にあるレストランヴェニッサVENISSAの所有で、少量ですがワインも造られています。

写真下Qブラーノ市民の家庭菜園。カルディが元気に育っています。 

アのように迷う心配も無く、訪れる観光客の数も少ないため、時折見かける釣りをする地元の人たちをひやかしながらのんびりしたお散歩が楽しめます。

●1318年建立の古い鐘のある鐘楼
道なりに歩いていくと左手に曲がり、鐘楼を目印に突き当りまでいくと、マゾルボ島の見所サンタ・カテリーナ教会CHIESA DI SANTA CATERINAにたどりつきます。この鐘楼には1318年に作られたベネト潟でもっとも古い鐘があります。

写真下左R古い歴史をもつマゾルボ島の鐘楼  写真下右S静謐な時が流れるサンタ・カテリーナ教会

●海の向うに見えるブラーノ島
教会に突き当たるちょっと手前を左手に入ると大きな藤の木がある邸宅を見ながら、マゾルボ島の反対側に出ると、海の向こうにはブラーノ島が見えます。ここから見るブラーノの教会の鐘楼は思いっきり傾いていて、その下には小さなカラフルな家が立ち並び、天気のよい日には木造のボートをベネト流で手漕ぎする姿も見受けられ、一瞬自分が歴史をワープしてしまったかのような錯覚に陥ります。

3.3島めぐりの理想的なプラン
こののんびり3島めぐりの理想的なプランとしては、朝早くヴェネツイアを出発、朝日の中でいっそうビビッドに輝くブラーノのカラフルな家の間を散策してからマゾルボ島へと足を伸ばし、小腹がすいてきたころにマゾルボからブラーノを経由するトルチェッロ行きの水上バスに乗り、トルチェッロについたらのんびりランチをいただき、ワインの一杯気分でトルチェッロ島を散策するか、緑の芝生でゴージャスなシエスタを楽しみ、トルチェッロ観光が終わったら、夕方の水上バスに乗りブラーノ経由でヴェネツイアに戻るのがお勧めです。

春先からの観光シーズンになると、ブラーノの停留所からヴェネツイア行きの水上バスに乗るには長い行列に並ばなければならず、時には一台に乗り切れないことがあります。しかも20分に一本しかない関係で満員になるまで乗せるため、下手をするとヴェネツイアまで立ちっぱなしになることも。その点、訪れる人の少ないトルチェッロから乗れば座席を確保したままヴェネツイアまで帰れます。4月1日から10月31日までの夏場の時刻表では、トルチェッロ島発毎時17分がブラーノ島経由のヴェネツイア行きになります。

ヴェネツイアのフォンダメンタ・ノーバからブラーノ島は、毎時10-30-50分発になり、10分発はマゾルボ島の後、トルチェッロ島を経由してからブラーノ島に着きますので、マゾルボで降りて散歩しながらブラーノ島へ渡り、ブラーノで写真をとったらトルチェッロ島に水上バスに乗るのもお勧め。ブラーノ島からトルチェッロ島へは毎時00-12-32分発になります。詳しくはACTVの時刻表の12番を参照してください。
時刻表 http://www.actv.it/sites/default/files/ultimorario.pdf
http://www.actv.it/sites/default/files/ultimamappa.pdf

写真下左R古い歴史をもつマゾルボ島の鐘楼  写真下右S静謐な時が流れるサンタ・カテリーナ教会

ブラーノ、トルチェッロ、マゾルボと、それを抱えるベネト潟は世界のどこにも見られない、自然と人間の生活が調和した美しい風景が広がります。忙しい旅行の間に一日だけでものんびりした時間をすごしてみませんか? 帰りの船の中ではきっと優しい笑顔が取り戻せていることに気づくはずです。



ヴェネツイアのブラーノ島だより案内人プロフィール
宮崎 亜矢子(Miyazaki Ayako)

イタリア在住15年、ナポリ、ローマ、ミラノ、ヴェネツィアと流れ流れて行き着いた先が、ヴェネツィア人からも「ISOLA CHE NON C'E (存在しない島)」と呼ばれる、人口3000人を切る小さな漁師の島ブラーノ島。ヴェネツィアはサンマルコ広場の超有名ブランド宝飾店勤務から、島で唯一の魚屋の妻兼経理担当として、生粋のブラネッロらしく超のんびりな夫を叱咤激励しつつ、時に前掛けつけて売り場にも立つブラネッラに、華麗なる転身をとげました。元スチュワーデスとして世界中を旅行した経験を生かし、ホームステイのおっかさん役+個人旅アドバイザーとしても活躍中。21世紀とは思えぬゆるーい時間の流れる島の生活を、毎日更新のブログで綴ります。
B&Bサイト:http://ayaburano.web.fc2.com/   http://ameblo.jp/ayadiburano/ 


関連データ 
 

トルチェッリ島

■リストランテ・ヴィッラ・セイチェント Ristorante Villa '600
住所: Fondamenta Borgognoni, 12, Torcello
Tel: 041-5272254 Fax: 041-5272254
定休日:木曜日
ディナータイムの営業は予約の有無によって決まりますので、電話にて確認のこと。冬場のクローズ期間は要問い合わせ

■サンタマリア・アッスンタ教会 CHIESA DI SANTA MARIA ASSUNTA
Tel.: 041-730119
開館時間:
3月から10月: 10.30 - 18.00 (切符販売 10.00 - 17.30)
11月から2月: 10.00 - 17.00 (切符販売 10.00 - 16.30)
入場料: 5ユーロ

■トルチェッロ博物館 MUSEO DI TORCELLO
Tel.: 041-730761
開館時間:
3月から10月: 10.30 - 17.30 (切符販売 10.00 - 17.30)
11月から2月: 10.00 - 17.00 (切符販売 10.00 - 16.30)
休館日:月曜日 入場料:3ユーロ

■サンタ・フォスカ教会 CHIESA DI SANTA FOSCA
開館時間: 3月から10月: 10.30 - 18.00 (切符販売 10.00 - 17.30)
11月から2月: 10.00 - 17.00 (切符販売 10.00 - 16.30)
入場料:
教会+鐘楼 9ユーロ
教会+博物館 8ユーロ
教会+鐘楼+博物館 12ユーロ
こちらのコンビネーションチケットはオーディオガイドがつきますが、日本語はなく、英語になります。


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