JAPANITALY Travel On-line

 
イタリア旅行情報サイトJAPAN-ITALY Travel On-line
北イタリア・コモ湖畔の旅
15 aprile 2008

第2回
めくるめくヴィッラの誘惑






伊澤明子

コモ湖がほかの湖と際立って違うところはというと、それはなんといっても次々と現れるロマンチックでかつ歴史の香りがするVilla(ヴィッラ、別荘)のたたずまいだろう。
コモはイタリアといえどもスイスとの国境の町で、アルプスの山々に囲まれているため夏も涼しく、昔から富豪たちが競ってヴィッラを建ててきた歴史がある。現在でも有名なデザイナーやスポーツ選手、歌手、俳優、実業家、政治家所有の数々のヴィッラがコモ湖沿いに見られる。この優雅なヴィッラをかいま見ながら、つかの間ゆったりとした気分にひたってみよう。

●コモ湖を代表する別荘 ヴィッラ・デステ
まずコモの町に近くなおかつ数あるヴィッラのなかでもその名を知られているのが、ヴィッラ・デステVilla d'Esteだろう。コモから遊覧船で約10分のチェルノッビオCernobbioという村にあり、現在はホテルになっている。

このヴィッラは16世紀に時の枢機卿トロメオ・ガッリオによって建てられ、彼の死後何回も所有者が変わり、そのたびに増築や改築が繰り返された。庭園内に見られるいくつかの小さな塔を建てたのは、ナポレオンの時代に活躍したドメニコ・ピーノ将軍の妻ヴィットリア・ペルーソ夫人だ。夫人はスペイン戦争から凱旋してくる夫のために遠くからでも見えるようにこの塔を建てたそうだ。
その後はイギリスのカロリーナ・ブルンスヴィック夫人の所有になり、彼女の時代からヴィッラ・デステと呼ばれるようになった。彼女は後のイギリス王となったジョージ4世と結婚していたが離婚し、平穏の地をこのコモに見つけたようだ。
1873年からは世界的に有名な超高級ホテルとなり、世界各国からやってくるVIPを迎えるようになった。

その階段状の庭園から眺める湖も映画の一シーンの様だが、湖上の船から眺める庭園もそこだけが別世界のようだ。計算された庭園美と自然がかもし出すハーモニーの中にゆったりと身をおき、湖に面したカフェテラスでお茶をいっぱいというひと時は、日ごろのめまぐるしさを忘れさせてくれる。

写真トップ:湖にのぞむヴィッラ・カルロッタの庭園
下左・中:ヴィッラ・カルロッタ、右:ヴィッラ・デステの庭園にて

●豪華なヴィッラの数々
豪華なヴィッラ・デステをあとに、さらに遊覧船で北上すると今度はモルトラージオMoltrasioという村にあるヴィッラ・フォンタネッラVilla Fontanellaが見えてくる。このヴィッラはデザイナーのヴェルサーチが所有していたことで有名だ。1997年にヴェルサーチが亡くなってからは、彼の並外れたセンスで収集された美術品などが競売にかけられ、一部はヴィッラ・デステにもあるそうだ。しかしこのヴィッラは最近、大手不動産会社に2500万ユーロ(約40億円)で売却されたようだ。

しばらくいくと緑におおわれた一角が見えてくるが、そこがコモびいきのハリウッドスター、ジョージ・クルーニーのヴィッラだ。(ただし別荘の建物自体は遊覧船からは見えない。)毎年夏になると、今年はハリウッドの誰それを連れてきたとかで、地元紙をにぎわしてくれる。
その次に見えてくるのが元F1ドライバーのシューマッハの母親所有のヴィッラだ。この一帯はコモ湖でもひときわ豪華なヴィッラがたくさん集まっている。

さらに航行するとレンノLennoという小さな村に着く。ここでは静かな入り江で日光浴を楽しむ人やゆっくりと散歩する人の姿が見られる。
レンノにはイタリア・ナショナル・トラスト所有のヴィッラ・デル・バルビアネッロVilla del Balbianelloがある。このヴィッラは一般公開しているので、内部や庭園も見学することができる。

ヴィッラは対岸のベッラージョBellagioの町に向かって突き出たような岬に建てられている。1787年に当時の枢機卿アンジェロ・マリア・ドゥリーニによって建てられた。彼の死後はこのヴィッラもほかのヴィッラと同様数々の所有者を経て、1974年にイタリア人初のエベレスト登山隊長であったグイド・モンジーノの所有となった。1988年にモンジーノが亡くなった後、イタリアン・ナショナル・トラストに寄贈された。
ヴィッラ内の図書室やアートコレクションはすばらしいし、庭園の落ち着いたたたずまいにもほっとする。また、このヴィッラは、数々の映画撮影の舞台となった。最近では、スターウォーズ、オーシャンズ12、007カジノ・ロワイヤルなどのシーンでもこのヴィッラを見ることができる。

写真左:レンノからみたコモ湖、右:ヴィッラ・デル・バルビアネッロ

●のんびりお散歩コース
レンノから徒歩で少し戻るようになるが、湖沿いのStrada di Regina(女王の道)をコモ方面に歩くと、とても古い小さな教会が湖沿いに見られる。なかでもオスッチョOssuccio村のサン・ジャコモSan Giacomo教会やオスペダレットOspedaletto村のサンタ・マリア・マッダレーナS.Maria Maddalena教会はとても古く、1169年に書かれた記録にすでにその名を残している。建築も面白く、コモから来るとすぐに目を引く。

このあたりはのんびり歩くのにもうってつけで、"Greenway" と称したおすすめの散歩コースもある。このGreenway にそって歩くと、ローマ時代の遺跡や古い教会、小さな路地を見ることができ、先ほどまでの豪華なヴィッラとはまた違ったコモ湖の一面をみることができる。公式の案内板も出ているので、是非天気のよい日にのんびりと歩いてみてほしい。
(Greenwayは既存の道に案内板を設け、観光客にもわかりやすく楽しめるように案内している。全部歩くと10.5キロだが、日程にあわせて少し湖沿いに歩くこともできる。)

●春に訪れたいヴィッラ・カルロッタ
さて今回の最終目的地は、トレメッツォTremezzo村のヴィッラ・カルロッタVilla Carlottaだ。このヴィッラは1690年、ミラノの裕福な銀行家ジョルジョ・クレリッチによって建設が始められた。その後1795年にジャンバッティスタ・ソマリバ侯爵の所有になった。

ソマリバは農家に生まれ大学で法律を学び、その後政治の世界で大成功を収めた。が、1802年にナポレオンがイタリア共和国大統領になった時、ソマリバは副大統領になることを切望していたにもかかわらず、彼の最大のライバル、フランチェスコ・メルツィにその座を奪われた。こうして彼の政界におけるキャリアは挫折、その後は美術品収集に情熱を燃やし、高価な絵画、彫刻を集めた結果、ヴィッラはさながら美術館のようになった。
1843年、ヴィッラはナッソーのマリアンナ王女に売却され、その後娘のカルロッタに結婚のお祝いとして寄贈された。が、不幸にもカルロッタは23歳の若さで早世。1927年、ヴィッラはヴィッラ・カルロッタ協会に運営を委託している。

ヴィッラ・カルロッタは、アザレアやシャクナゲが満開の4月、5月が特に美しい。庭園を歩きながら、中世の貴族たちに思いを寄せてみよう。

こうしてそれぞれのヴィッラには、いろいろな人々がいろいろな運命のもとに暮らしたり、逗留したりしてその時代をすごし、今現在もそこにある。その歴史を少しでも知っていると、ヴィッラ訪問もさらにいっそう奥深いものになるだろう。


著者プロフィール

伊澤明子(いざわ あきこ)

日本で旅行会社に勤務した後、インドネシアへ留学。日本帰国後JICAでインドネシア語コーディネーターを務めこのままインドネシア一直線のはずがなぜかイタリア人男性と結婚し現在はコモで3人の子供の育児に大忙し。コモのよさを日本の人に伝えたり、日本文化をイタリア人(特に子供など若い世代)に伝えたいという夢を実現するため、地道に活動中。将来は日本・イタリア・インドネシアの輪を広げたい?!

データ
Dati
■アクセス情報
como コモの町の中心カブール広場にあるフェリー乗り場から湖沿いの村々へ行くフェリーが出ている。チェルノッビオ、レンノ、トレメッツォなどの村へは、ゆっくり行く遊覧船(レンノ迄約80分)と高速の水中翼船(レンノ迄約30分)がある。
もしくは湖そばのバス・ステーションからC10のバスでレンノやトレメッツォまで行くこともできる。

コモの遊覧船
Piazza Cavour, Como 無料電話案内 800-551801
www.navigazionelaghi.it

コモからのバス www.sptlinea.it (orariをクリックすると時刻表が見れる。)

この地域のおすすめ散策コース Greenway www.greenwaydellago.it

■ヴィッラ情報
ヴィッラ・デステ Villa d'Este (Hotel)
Via Regina 40, Cernobbio
Tel: 031-3481
www.villadeste.it

ヴィッラ・デル・バルビアネッロ Villa del Balbianello Lenno
Tel: 0344-56110
www.fondoambiente.it/beni/villa-del-balbianello.asp
冬季は休館(2008年度は3月18日から開館、月・水休館) レンノの船つき場から火・土・日のみ徒歩もしくはボートでアクセス可能。それ以外の日はボートのみにてアクセス可能。ボートはヴィッラまで往復5ユーロ。

ヴィッラ・カルロッタ Villa Carlotta
Via Regina 2b, Tremezzo
Tel: 0344-40405
www.villacarlotta.it
冬季は休館(通常11月1日〜3月15日まで休館)
3月と10月 9時から16時30分まで、4月〜9月 9時から18時まで
美術館は12時から14時まで閉館 

■おすすめレストラン情報
イル・ガット・ネーロ Il Gatto Nero
Via Monte Santo 69, Cernobbio
Tel: 031-512042
チェルノッビオの中心からタクシーで。とても眺めがよく、セレブもよく来るわりにカジュアルなレストラン。人気があるので予約要。

トラットリア・サント・ステファノ Trattoria S.Stefano
Piazza XI Febbraio 3, Lenno
Tel: 0344-55434
レンノの船着場そばのトラットリア。湖で取れるMissoltini(ミッソルティーニ)という魚がおいしい。





小都市を訪ねる旅 北イタリア・コモ湖畔の旅
小都市を訪ねる旅 アルキーヴィオへ このページのTOPへ HOME PAGEへ


http://www.japanitalytravel.com
©  JAPANITALY.COM srl - MILANO 2000 All rights reserved.