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ヴァイオリンの町クレモナから
15 gennaio 2014

前編  クレモナ・ヴァイオリン博物館 
Museo del Violino, Cremona



  安田恵美子



1.世界に知られるヴァイオリンの町
ミラノの東南東約90キロに位置するクレモナは、町のすぐ南をイタリア最長の川ポー川が流れ、古代ローマ時代から近代に至るまで北イタリアの交通の要所として栄えてきました。フィレンツェのメディチ家のような芸術文化を擁護推奨する有力貴族の存在はなく、町の経済を支えてきたのは常に農業でした。クレモナの人々の根底を流れる意識、それは、文化人というよりも地元に密着した農民の精神であるような気がします。
 
写真トップ@クレモナのヴァイオリン博物館内に再現された「ヴァイオリン工房」
写真上左Aクレモナ中心地にあるドゥオーモと八角形の洗礼堂  写真上右Bトラッツォ(鐘楼)上から眺めたクレモナ市内


そんなクレモナがなぜヴァイオリンの町として世界的に有名になったのか?一つにはヴァイオリンの材料となるモミ、楓といった木材がポー川から直接運ばれてくるので、手に入りやすかったこと。もう一つには、1590年にグレゴリウス14世として教皇に選ばれたクレモナ出身の司教ニコロ・スフォンドラーティが音楽普及に強い関心を持っていたことが挙げられます。こうした事情を背景に、16世紀半ばより18世紀半ばに至るまで、アマティ一族、グァルネリ一族、そしてアントニオ・ストラディヴァリという名職人達が次々と現れ、クレモナはたちまちヴァイオリン製作の中心地としてヨーロッパ中にその名が知れわたるようになりました。    

   写真上左Cクレモナのヴァイオリン博物館  写真上右B同博物館のエントランス


2.2013年9月にオープンした「ヴァイオリン博物館」
2013年9月14日にオープンした「ヴァイオリン博物館 Museo del  Violino」は、こうしたクレモナにおけるヴァイオリン製作の全貌が一望できる施設です。楽器博物館というと、なにか古めかしい建物の中に由緒ある楽器たちがしずしずと並べられているというイメージを抱きますが、この博物館は全く異なります。

●音、匂い、画像を通してヴァイオリンの歴史と構造を説明
展示室は全部で10室あり、オーディオガイド(伊、英語)を使って館内を回るようになっています。第1室から第4室までは、マルチ・メディアを使ってヴァイオリンの歴史と構造が分かりやすく説明されており、音、匂い、画像を通してどのようにしてヴァイオリンが出来上がるかを詳しく知ることができます。第2室には小さな工房が作られており、週末にはクレモナで活躍する職人の方が実際に中で製作を行います。来館者の質問に熱心に返事をする職人さんを見ると、ああここはイタリアだ!と心から納得できます。イタリア人は本当におしゃべりが好きですね!    

写真上Eヴァイオリン博物館内第2室   写真上右Fヴァイオリン博物館内第4室


第3室の巨大なヴァイオリンの共鳴体をイメージした木製のオブジェの中では、著名演奏家達の展示楽器を使った演奏会の模様をビデオで見ることができます。第4室ではタッチ・スクリーンを使って、アマティ、グァルネリ、ストラディヴァリについて詳しく知ることができ、当時のクレモナの町の様子もビデオで眺めることができます。

●本物の楽器たちとの出会い
第5室からいよいよ本物の楽器たちと出会えます。保存を優先とするため照明は極力落とされていますが、かえって楽器たちの美しさが引き立つようです。これだけの楽器を一同に集めた博物館は恐らく他に類を見ないのではないでしょうか。第5、第9室と、絵画を鑑賞するように、次から次へと目の前に現れる名器達を是非心ゆくまで堪能してください。

写真上Gヴァイオリン博物館内で展示されている名器の数々  


●ストラディヴァリの工房の道具や図面
第6室に展示されているのは、ストラディヴァリの工房で実際に使われていた道具、内枠、図面等です。これらの貴重資料は、ボローニャの楽器職人ジュゼッペ・フィオリーニ氏が後世の育成に役立たせて欲しいと1930年にクレモナに寄贈したもので、彼の熱心な願いにより1938年にはクレモナにヴァイオリン製作学校も設立されました。             

第7室には、製作学校で教鞭をとった職人達を中心に18世紀後半からから20世紀初頭までの楽器が展示されています。そして第8室には、1976年よりクレモナで3年ごとに行われている国際弦楽器製作コンクール、トリエンナーレの優勝作品が展示されています。現在クレモナ県にはおよそ160ものヴァイオリン工房が開かれています。アンドレア・アマティに始まるクレモナ・ヴァイオリン製作の伝統は、5世紀の時を経た今日まで脈々と受け継がれているのです。

写真上H博物館隣接の室内楽用コンサートホール  


●展示楽器のコンサートも
でも楽器は鳴らしてこそ楽器!と思われる方もいらっしゃると思います。予約をしていただくと、第10室で、展示楽器を使った30分ほどのミニコンサート Audizioneを聴くことができます(有料)。 また、博物館と同じ建物内にある室内楽用コンサートホール Auditorium は、サントリーホールを担当した日本の豊田泰久氏の音響設計によるものです。特別企画シリーズの開催中には、館内展示の楽器を用いたコンサートも開かれています。 

博物館を訪れた後には、ぜひ町の散策に出かけてみてください。ヴァイオリン工房の店先に、お菓子屋さんやブティックのショーウィンドーに、と町のあちらこちらにヴァイオリンが飾られているのが目につくと思います。歩きながらいったいいくつのヴァイオリンが「発見」できるでしょうか??ヴァイオリンの町クレモナ。不思議な魅力を持った町です。

写真提供:Museo del Violino, Cremona


ヴァイオリンの町クレモナから   著者プロフィール
安田恵美子 Yasuda Emiko

ヴァイオリン職人の夫(日本人)とクレモナに住んで今年で18年目になります。2013年9月よりヴァイオリン博物館で日本人スタッフとして働いています。皆様のお越しを心からお待ちしています!


データ

Dati

■交通アクセス
<クレモナへのアクセス>
ミラノからマントヴァ行き列車で約1時間(ほぼ1時間に1本)
 www.trenitalia.it
クレモナ駅正面から延びるパレストロ通り Via Palestro をまっすぐ歩いて15分。

ヴァイオリン博物館  Museo del Violino
Palazzo dell'Arte, Piazza Marconi 5、 Cremona
Tel. 0372-801801, Fax. 0372-801888
www.museodelviolino.org   email: info@museodelviolino.org
Biglietteria/Tickets  Tel. 0372-080809
日本語館内ガイド、Audizione予約:  marketing@museodelviolino.org

開館日: 火曜日から日曜日まで(1月1日、5月1日、12月25日を除く)
開館時間: 10.00-18.00
入館料: 10ユーロ、学生、65歳以上、団体割引7ユーロ(6歳まで無料)


・展示室内には、案内係が配置されています。ご不明な点はご遠慮なくお尋ねください。
・前もって予約をしていただくと、博物館全室のガイド(有料)(イタリア語、英語、ドイツ語、フランス語、日本語が可)も行います。
館内ガイド: 1-15人まで30ユーロ、16人以上50ユーロ (混雑のないウィークデイは予約なしでも受け付けます)
・ミニコンサートAudizione:  
25人以上からの予約でお一人5ユーロ(予約なしでも席に空きがあれば入場できます)



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