●1週間で肉6300キロ、卵52000個を消費
いよいよ明日はジェノバに戻るという日、最後の船内新聞がキャビンに届けられた。その中に1週間のクルーズで使った主な食材の消費量のリストが載っていた。
じゃがいも6600キロ、ミックスサラダ4300キロ、玉葱2900キロ、各種野菜4000キロ、にんにく130キロ、冷凍野菜2900キロ、果物21000キロ、肉6300キロ、冷凍肉1500キロ、鶏肉2100キロ、冷凍魚4900キロ、ロブスター750キロ、小麦粉5100キロ、卵52000個、パスタ3200キロ、米1900キロ・・。乗客2500名の食事を用意する船内キッチンの規模が浮かび上がってくる数字だ。
●メインレストランでの夕食
毎晩の夕食は、船内に2つあるメインレストランでとり、時間帯は2シフト制となっている。最初の部が午後6時45分から、第二部が午後9時15分から。ジェノバのチェックインの際に受け取るクルーズカードにレストランの名前と時間帯、席番号が記載されている。
メインレストランの雰囲気もサービスもいい。メニューは毎日代わり、イタリア各州の郷土料理が柱となるがその他のメニューもあり、アンティパスト、サラダ、スープ類、プリモ、メインディッシュ、付け合せ野菜、チーズ、デザートと、それぞれについて毎晩3種類ほどの中から選べる。
ただ、やはりファミリー対象、趣向も違う様々な国の人からなる2500名の胃袋を満足させるためもあり、どうしても平均的な味ということで落ち着いているように思えた。毎晩続くと、味にこだわる人はやや物足りない部分もあるかもしれない。アンティパストや肉料理、それに自家製パンはおいしくいただいたが、パスタやリゾットなどイタリア料理の「プリモ」の出来はムラがあるように思えた。
写真トップ:昼食のビュッフェで、下左:朝食ビュッフェではクロアッサンのチョコレートかけも 中:新鮮なフルーツが食べ放題、右:フォーマルディナー
●活気あるカフェテリア
ところで最初の朝食。13階のガラス張りで周囲の海を見渡す眺望カフェテリアにいってみると、朝食ビュッフェの内容の豊かさと大変な人の多さに圧倒される。人、人。長いカウンターにパンの種類も多種多様、ベーコンエッグからソーセージに始まり、各国の人に合うように多種多彩なものが並んでいる大ビュッフェだ。各自、楕円形の大きな皿に思い思いのものを取って食べている。落ち着いて朝食をとるには早めか少し遅めに行くのが肝心だ。時間のゆとりがあれば朝食をカフェテリアの外のデッキにあるテーブルに持っていって食べることもできる。部屋にコンティネンタル・ブレックファーストを届けてもらうこともできる(特別料金は不要)。
昼食は朝食と同じ13階のカッフェテリアで、またまた内容豊富なお昼のビュッフェが食べ放題だ。彩りの楽しさ、メニューの豊富さは朝食の比ではない。お昼もメインレストランに着席して給仕つきサービスの昼食も可能だ。この場合は、メニューからアンティパスト、プリモ、セコンドと注文する形となる。
朝食でも昼食でも彩り豊かな新鮮なフルーツが食べ放題なのは嬉しい。
●有料レストラン体験
船内には有料レストランが3種類ある。そのうちのひとつ「4シーズン・レストラン」に一度いった。小規模レストランの味でとても美味しくいただいた。アラカルトでアンティパスト、プリモ、セコンド、デザートをとるフルコースが18ユーロ。ミラノのレストランならどうしても50−60ユーロはかかる内容だと思った。クルーズ費用に含まれているメインレストランの夕食との差額を支払うという意味の価格なのだろう。味にこだわる方はこのレストランをうまく活用するのがおすすめのように思えた。
もう一つは中国料理レストランで、これもなかなかよく価格もリーゾナブル。今回は残念ながら行く時間がなかったが、ナポリ本場のピッツェリアもある。料金は7−9ユーロ程度。
写真左:フォーマルディナーのアンティパスト、右:4シーズンレストランでのボンゴレとトマトのパスタ
●ティータイムや夜中の大ビュッフェも
さらに、毎日午後4時ごろには「クッキー&ティー」タイム、そして夜中24時すぎに「ミッドナイトビュッフェ」というのが用意されていた。特に仰天したのは、ジェノバ下船の前々日、バルセロナ港を出た後のグランデ・ビュッフェ・マニフィコ(食の大祭典)というビュッフェ。真夜中だというのに豪華絢爛な料理の数々、その種類と量の多さに圧倒された。
●2回のフォーマル・ディナー
1週間のクルーズの間に2回、フォーマル・ディナーが催された。毎日の船内新聞に「夕食時のドレスコード」の表記があり、種類は「カジュアル」か「フォーマル」の2種類。カジュアルといってもTシャツやタンクトップは不可。男性は開襟シャツなど(ジャケット不要)、女性はスカートやドレス、パンツ、セーターやブラウスなど。昼間はどんなに自由な格好で一日中遊んでも夕食時には着替えてレストランに行くのがイタリアンスタイル。この船でもそれは毎晩のルールとなっていた。
一方、「フォーマル」のディナーは「男性はタキシード、ディナージャケットまたはラウンジスーツ。女性はカクテルドレスまたはイブニングドレス」とある。
最初の「フォーマル」ディナーの行われたのは第三泊日で、昼過ぎにチュニスを発ち、次のパルマ・デ・マジョルカ島に向う航海中の夕べだ。夕方まで各自のんびりと船内で過ごすことができる日なのでタイミングは抜群といえよう。
私はチュニスの現地ツアーから戻ってお昼を食べて、その後少しお昼寝をしてリラックス。シャンプーをした後、指の手入れなどをしておよそ久しぶりでマニュキアなどもすることにした。ミラノにいるといつもせわしなくて、外出の前にたまにマニュキアをしても十二分に乾かす時間もなくてあわてて出かけ、ドアのノブなどにぶつけてマニュキアがはげてしまってがっくりすることもある。今回はゆっくりとした時間の中でのんびりとお手入れができるので夢のような話だ。洋服を着替えてお化粧をしてヒールの高い靴をはいて、キャビンからでる。
写真左:船長主催のカクテルパーティで、右:赤ちゃんもおめかしして
●船長主催のカクテル
ディナーの前に船長主催のカクテルパーティーも用意されているので、まずはそのラウンジ会場に向う。会う人、会う人、それぞれ改まった格好をしている。とはいえタキシードや舞踏服のようなロングドレスを身に着けている人は少数派で、大半は男性ならダークスーツ、女性はひざ下位までの丈のドレスかシックなパンツ・スーツなど。子供も可愛いいワンピースなど着ておすましをしている。
白い制服をきた船長や船の幹部一同が会場となるラウンジ前に立って船客をむかえてくれる。イスキア出身というMSCオーケストラ号のマッティア・マンツィ船長は、愛想よい笑顔をふりまきながら幹部の紹介をした後、年内に4500人乗り新客船ファンタジーが完成し、ナポリ港でお披露目をすると発表。この船でも大きいのにさらに千名以上大きな4500名乗りの船はどんな感じなのだろう。希望すると船長との写真撮影もできるとあって大勢が行列に並んでいる。私も並んで撮影してもらった。
続いてレストランに。この日のメニューはいつもより少々凝ったメニュー。いつもと同じメンバーが同じ席についているわけだが、皆おしゃれをし、ジュエリーなども身に着けているのですっかりと華やいだ雰囲気をかもしだしている。
クルーズ・データ

■船の種類 MSCオーケストラ
■クルーズタイプ 夏の地中海クルーズ ジェノバ発7泊8日
■乗船期間 2008年4月20日(日曜)〜4月27日(日曜)
■スケジュール
日数 |
寄港地 |
入港 |
出港 |
1. |
ジェノバ(イタリア) |
|
17:00 |
2. |
ナポリ(イタリア) |
11:00 |
19:30 |
3. |
パレルモ(シチリア島/イタリア) |
07:00 |
19:00 |
4. |
チュニス(チュニジア) |
07:00 |
13:00 |
5. |
パルマ・デ・マジョルカ(バレアレス諸島/ スペイン) |
13:00 |
・・・・ |
|
パルマ・デ・マジョルカ |
・・・・ |
01:00 |
6. |
バルセロナ(スペイン) |
09:00 |
18:00 |
7. |
マルセイユ(フランス) |
08:00 |
19:00 |
8. |
ジェノバ(イタリア) |
09:00 |
|
■問い合わせ先
MSCクルーズジャパン MSC Cruises Japan
〒105-0021 東京都港区東新橋2−18−3 ルネパルティーレ汐留601
Tel: 03-5405-9211 Fax: 03-5405-9212
E-mai:l info@msccruises.jp
http://www.msccruises.jp (日本語版) http://www.msccruises.com (外国語版)
著者プロフィール
大島悦子 Oshima Etsuko
札幌生まれの東京育ち。東京外大イタリア語科卒業後、日本オリベッティ勤務。生活科学研究所でマーケティングや官公庁・企業からの委託調査などの活動を経て、1990年秋、ミラノに仕事場を移す。ミラノ・ボッコーニ大学客員研究員をはじめ、日伊間の産業リサーチやビジネスコンサルティング等に従事。1999年秋インターネットによる日伊間の情報発信を目的にミラノにJAPANITALY.COM社を設立し代表取締役。2000年秋、JAPAN-ITALY Travel On-line(JITRA)を創設。仕事や休暇でイタリア全国をほぼむらなく訪れており、個性的な魅力を持つイタリア各地の「100都市」(チェントチッタ)を紹介するイタリア旅行情報総合サイトとすることを目指している。
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