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15 Maggio 2020

第4回
〜 ワインと料理のマリアージュ(食べ合わせ) 〜

吉田希世美




私たちのエノテカで、お客様がワインを購入されるときの質問No.1は、「友達のホームパーティに招待されているのだけれど、なにを持って行けばいいでしょうか?」

食事のメニューがわかっているときは、ワインをアドバイスしやすいのですが、なにも情報がないという場合も多々あります。そんなときは、予算に合った白のスパークリング・ワインを持って行くことをお勧めしています。イタリア人のホームパーティに招待されると、すぐにメインのテーブル席に着くのではなく、まず、ちょっとしたおツマミとワインが出され、軽く乾杯しながらグラスを持って立ち話、あるいはソファでアペリティーヴォをしながらほかの招待客を待つことになります。このときによく登場するのがスパークリング・ワイン。ひととおり挨拶とおしゃべりが終わってから、やっと食事用のメイン・テーブルに着くことになるのですが、ここでまた改めてワインが注がれ、泡で乾杯!となります。

基本のワインはホストが用意していると思いますが、アペリティーヴォ用のワインが足りなくなったりしたとき、ゲストの手土産ワインが救世主になることがあるので、とにかく冷やして持って行くことをおススメしています。もし、その日に持って行ったワインを開けなかったとしても、クリスマスやお誕生日など、ホストの特別な日の乾杯用ワインとして使えるので、スパークリング・ワインは、邪魔にならないプレゼントになるでしょう。

逆に、ホストの用意するお料理がわかっているとき、たとえば郷土料理の場合、まずは、その地方で伝統的に合わせるワインを紹介して、さらに、私独自の視点や経験で自由に選んだワインをプラスしています。ソムリエの感性によって、薦めるワインが変わってくるので、そこも面白いところだと思います。創作料理やアジア料理・・・となると、単純にAIS(イタリア・ソムリエ協会)で学んだ「郷土料理と地元ワインのマリアージュ」や、食べ合わせのセオリーだけで選ぶのはなかなか難しくなってきます。ここでは、経験や実際の体験、そして想像力がとても重要になってくると思います。

私の場合、お料理の味を想像して、自分が経験して刷り込まれた膨大なワインの記憶のなかから、これだ!というワインをセレクトしておススメします。とはいうものの、郷土料理ひとつをとってみても、地域や各家庭によって材料やつくり方が微妙に違ってきますし、「この地方では、伝統的にこの料理とこの品種がぴったりだ」と言われていても、その品種でつくられたワインのヴィンテージや醸造方法などが違えば、同じ品種でも自ずとワインの味はまったく違ってきます。つまり、ホームパーティで実際にその家のレシピでつくられた料理を食べながら、手土産のワインを合わせてみるまで、マリアージュがうまくいくのかいかないか、じつはわからないということです。

レストランで働いていたときは、お店で出される料理がどんなのもなのか、ほぼ正確に把握していますし、当然、置いているワインも熟知しているので、食べ合わせを予想しやすいのですが、エノテカでは、お客様の説明をじっくり聞いて状況を把握し、想像し、いっしょに話し合って決めていく、という共同作業のようなプロセスになります。そこが、私はエノテカのとても好きなところのひとつなのですが。

先日、イタリア・ソムリエ協会の同僚が私のエノテカに来たとき、「カレーにはセオリーどおり、白のスティルワインでゲヴュルツトラミネール種のセッコ(辛口)かモスカート種のセッコ(辛口)をいつも合わせていたけれど、Lacrima di Morro d’Alba(ラクリマ・ディ・モッロ・ダルバ)の生産者と話したときに、『ボクは、このラクリマ種にカレーを合わせているよ』と言われてびっくりした」という話をしていました。つまり、セオリーとしては、アロマティックな品種のワインには、同じように香りが際立つお皿と合わせるので、華やかな香りのするラクリマ種も、様々なスパイスが香るカレーによく合いそうですが、残念ながら、まだ試したことがありません。

私は辛いものがとても好きなので、ある日、インドカレーにキアヴェンナスカ種(ネッビオーロ種)を使ったロンバルディア州Valtellina(ヴァルテッリーナ)の普段飲み用のワインを合わせて、より辛みを強調させてみたところ、とても面白い食べ合わせができました。ネッビオーロ種のタンニンとスパイスや辛みがますます相まって、私はこの組み合わせが気に入ったのですが、かなり変わった個性の強いマリアージュなので、好き嫌いが相当分かれると思います。というわけで、ソムリエ仲間で集まって、カレーといろいろなワインを合わせてみよう、という企画が持ち上がりました。ただ、前にも言いましたが、カレーと言っても様々なカレーがあります。日本のカレー、タイカレー、インドカレー、具も野菜なのか肉なのか豆なのか魚介類なのか、クリーム系なのかトマトなのか、はたまたドライなのか・・・。実際に試してみるのがいちばんです。

現在、世界を襲っているコロナウイルス。とうとう私たちのエノテカも閉めなければならなくなり、できるのは配達のみと制限されていましたが、やっと5月4日(月)から、新たに直接お店でテイク・アウトができるようになりました。さっそく共同経営者のセバスティアーノと交代でエノテカを開けることにしましたが、この時期、まだまだウイルス感染を拡大させないよう、各々できるだけ外出を控えなければなりません。

でも、ポジティヴに考えると、普段よりお料理をする時間がたくさんあるので、おうちゴハンを楽しむことができます。私はゆっくりと大好きな料理をしながらストレスを解消するとともに、エノテカにあるワインをいろいろと合わせて、毎日食べ合わせの実験をしています。みなさんも、手づくり料理とワインで、さまざまなマリアージュを楽しみながら、この時期を乗り切ってください。早く、ソムリエの同僚たちとカレーの夕べが実現することを願いながら、今日も新しい食べ合わせを試しています。

(写真:3本ともゲヴュルツトラミネール種100%のワインですが、テロワール、ヴィンテージ、醸造方法など、つくり手によってワインのキャラクターがまったく異なります)
左から時計回りに  - In Der Eben IGT Mitterberg Dolomiten Gewürztraminer 2017年 Alto Adige、- Domaine Zind-Humbrecht Gewürztraminer Turckheim- Indice1 2015年 Alsazia、- DOC A.A. Gewürztraminer BIO Brunnenhof 2018年 Alto Adige


EnotecaWine エノテカワイン
住所:Via Giuseppe Brentano(番号なし)20121 Milano
最寄駅:メトロM1線Cairoli駅(ドゥオーモとお城の中間あたり)
Tel:02-36514771  
info@enotecawine.it
http://www.enotecawine.it/


著者プロフィール
吉田希世美(よしだ・きよみ) プロフィール
日本の雑誌社で女性誌編集者として10年間働き、ワインや料理、ファッションなどを手掛ける。その後イタリアに渡り、2003年A.I.S.(イタリア・ソムリエ協会)ソムリエ資格を取得、その後プロ・ソムリエに。星付きレストラン『Aimo e Nadia』などのレストランやエノテカで勤務。『Excelsior Enoteca Eat’s Milano』の店長を経て、2014年12月、ミラノで日本人初のエノテカのオーナー・ソムリエとして、同僚のソムリエ公式テイスターのSebastiano Baldinuとともに『EnotecaWine(エノテカ・ワイン)』をオープン。


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