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私の自然紀行 − 読者からの投稿記事

13 maggio 2004


雄大なイタリアアルプスで初めての登山!
〜トレント県サンマルティーノ、チーマ・ディ・ロゼッタの登山奮闘記&心温まる出会い〜


トレント県 トレンティーノ・アルト・アーディジェ州
Trento Trentino Alto Adige


上谷 三佳 (Kamiya Mika)




2003年6月から7月にかけてヴェネト州、ベッルーノに近いフェルトレというイタリアアルプスの山々に囲まれた美しい小さな町に、語学留学をしました。というのも、ローマ、フィレンツェなどの街も美しくて大好きですが、東京では都会のど真ん中に住む私は田舎の町にすごーく憧れがあり、フェルトレの学校に通うのもこれが2回目となりました。前回は2001年9月の下旬から10月の初めという事もあり、既に寒く、山の方は冬支度を始めており、とても登山する気にはならず今回の挑戦となりました。

とはいっても、最初はハイキング気分でちょっと山の空気が吸えればいいかなっと言う気持ちで、普通のスニーカーを履き、クッキー少々、ミネラルウォーター少々で出発しました。何故サンマルティーノの中のロゼッタ(Cima di ROSETTA,2578m)の山を選んだのかというと、学校の校長に週末にコルティナダンペッツォに行きたいといったところ、確かにコルティナは綺麗だけれど、ここからだったらサンマルティーノ行きのプルマン(長距離バス)があるし、近いし十分綺麗なところだよっとアドヴァイスを頂いたからです。面倒見のいい校長は、プルマンの時刻表や、サンマルティーノの地図などを用意してくれました。長年、コルティナにあこがれ続けていた私は、まぁせっかくだから行ってみるかっという感じで、さほど期待もしていませんでした。

土曜日の朝、雲は少しあるものの、ほぼ快晴!前述の通り、軽装でアパートを出発!(こういう山のことを知らない人のことをイタリアではヴェネチィアーナと呼ぶそうです)なんとかプルマンに乗り、窓からの雄大な景色に感動しつつも不安な気持ちも半分、プルマンに揺られていました。毎日険しい山道を運転しているアウティスタ(バスの運転手)に感心しつつ、こんな美しい景色を毎日見ているアウティスタはきっと、心も綺麗なんだろうなぁっと勝手に想像してしまいます。青いプルマンは曲がりくねった急で細い山道をゆっくりゆっくり頑張って登ります。このあたりは国立公園に指定されている地区で、険しく切り立った岩むき出しの山々はとても威圧感がありますが、ふもとに点々と存在する小さな町の家々や小さなホテルは、それらの山とは対称的に、窓辺を小花が飾り、木の暖かいぬくもりを感じさせ、来るものを暖かく迎えてくれます。

プルマンに揺られる事およそ1時間半、終点のサンマルティーノの町に到着。ここは冬のスキーシーズンには多くの人で賑わうであろう、沢山のホテル、お土産屋さん、レンタルスキーのお店や、スキー用具店がメインストリートに軒を連ねています。といっても6月はシーズンオフ、改修工事中のホテルや、この時期は閉めてしまっているお店が多く、人影もさほど多くありません。小さな町と言っても全く初めての町で、沢山の山に囲まれていてどの山の方向に行けばいいのかわからないし、自分が何処に居るのかさえ分からなくなり、いつもどおり通りすがりの人にゴンドラ乗り場を尋ねます。そして、いつもどおりやさしく丁寧に教えてくれました。話はそれますが、イタリアを旅していていつも思う事は人々の暖かさを感じられる事。勿論、いやーな思いもたくさんしましたが、こういう小さなやさしさや暖かさに触れるとほんと、嬉しくなっちゃいますよね。

で、ゴンドラでRIFUGIO COL VERDE(ROSETTA山のだいたい三分の一位の所)というところまで、ロッククラミングに来ていたお兄さん達とご一緒させてもらい、世間話をしながら、約10分で到着。“BUONA GIORNATA!”良い一日を!挨拶を交わして彼等とはお別れ。さて、校長先生の話によるとここからまた、別のゴンドラに乗り継いでROSETTAの頂上までいけるとの事でしたが、今日は何故だか動いてない!うろうろしているといくつかの道案内表示を発見!なんだかよく分からないけど、矢印と何処そこに行くには何時間というのがいくつか表示してあり、その中で2hっていうのがあり、2時間ならいいか!疲れたら途中で止めてもいいし・・・と思い、とーっても軽い気持ちで登山を開始しました。

私の前30mくらいには3人の親子連れもいるし、まあ何とかなるだろう・・・道には小花も咲いているし、ここサンマルティーノに着いたら快晴だし、なんだか気分いいなぁ〜なーんて思っていたのは最初の15分。最近、運動といえる事を殆どしていなかった鈍った体には辛いっ!息切れもするっ!でも誰かに迷惑を掛ける訳でもない、自分のペースで行こう!もともと山登りが目的じゃないし、私はただ山の新鮮な空気が吸いたかっただけ・・・。と自分に言い聞かせゆっくりゆっくり休みながらも、登り続けました。前にいた親子も随分遠くに見え、相当引き離されちゃいました。でも登る、登る・・・。登り始めておよそ1時間が過ぎた頃、そのあたりは私が想像していたよりかなり急で、登山道も細く、ロープが張ってあり、それを命綱?のように?まらなくてはいけないほど、崖みたいになっているところを通らなくてはいけないのです(このような箇所をFERRATAといいます)。私が今まで登ったことのある山は木がうっそうと生えていて、森の中を登る感じ。でもこの山は岩山で、木が生えておらず、急な斜面も、何処に人がいるのかも、自分が今まで登ってきたところもよーく見えます。その時、私の近くには他の登山者もおらず、風も少しあったり、なんだか寂しい感じ…。もしここでちょっと足を踏み外したら一巻の終わり、絶対命はなくなると思う程に急、谷底に落ちたら誰も助けてくれないだろう…。しかも今、ここを頑張って登ることが出来たとしても、帰りはまたここを下らなくてはいけない…、下りの方がよっぽど危険で怖いだろう…。いいや、もう引き返そう…。ちょっと後ろ髪ひかれつつ、今登ってきた道を引き返し始め、およそ300m私の後を登っていたイタリア人の3人組とすれ違いました。その一人が不思議そうな顔で私に向かって“COME MAI?”どうして???と聞いてきました。だって急で怖いんです…。せっかくここまで来たんだから登らなきゃ、頂上から見るパノラマは本当に綺麗なんだから…!一緒に登ってあげるから行こう!!もし怖かったら手を貸してあげるから…。う〜ん…どーしよー、でも私、体力ないし、迷惑も掛けたくないし…。“DAI ANDIAMO!”いいから、さぁ行こう!

ということで、引き返した道をもう一度登る事に。確かに一人で登るより気分的に全然楽で、さっきまで怖かったところもさほど怖くない…。イタリア人3人組は夫婦一組にその友達の男性一人で最初に声をかけてくれた男性が、ロレンツォ。ロレンツォはかなりの山のスペシャリストで、周りの山など、かなり知っており40過ぎ?(多分)にしてはなかなかの体力の持ち主で、この夫婦を連れてきたという感じ。このイタリア人カップルの名前は、サラとルイージ。登山は初めてといった様子で、サラは出会ったときは既にもう体力の限界といった疲れきった顔をしていました。一緒に登り始めておよそ15分、サラがもう限界でちょっと休憩。さすがイタリア人、食べ物はたくさん用意してあります。山登りにはこれが一番!と言ってロレンツォがプルーンを分け与えてくれます。甘いものは即効性があっていいんだ!といってルイージがチョコレートを…。本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。私たちは、なんとか頂上まで登れる位のガソリンを補給し、また頂上目指して登る、登る…。しかしサラとルイージはいかにもイタリア人カップル、“ちょっと待って!”5分おきぐらいに暑いから上着を脱ぐ!長ズボンを脱ぐ!靴の中に小石が入った!…このペースなら私でも大丈夫!更にサラは5分おきに“頂上まで、あとどれくらい?”とロレンツォに聞く。とロレンツォ、決まって“あと30分!”こんな会話が約1時間半続き、私もいい加減いつ着くのかなぁと思い始めた頃、急にきつかった山道が終わり、そこは真っ平らで広―い頂上!今まで登っていたところから全く見えなかった頂上がこんな姿だったとは…。頂上は岩山らしく、ごつごつして緑はないけれど、こんな荘厳な眺めは初めて!頂上は雲ひとつなく、残雪がところどころにあり、遠くにはアルプスの山々、有名なトレチーメなどが望め、今までの辛い道のりはあっという間に忘れてしまいました。残りの体力を振り絞って、頂上の一角にある山小屋まで行き、どうやら彼等はランチタイム。

私は別にお腹も空いてないし、いいやっと思っていたらロレンツォがこれ食べなさい!と言ってASIAGOのチーズがはさまったパニーノを一つ分けてくれました。そんなぁ〜、私おなか空いてないし、そこまで迷惑かけられない!本当にいいですっ!っといっても、いいから食べなさい!山登りは体力使うんだから、食べないと…。またまた申し訳ない気持ちで、パニーノをいただきます。サラとルイージはというと、あんなに用意周到、たくさんの食料を持ってきたにもかかわらず、パンに挟むチーズを冷蔵庫に入れっぱなしで忘れて来てしまいました。こんなおっちょこちょいのところが、なんともイタリア人!でもこんな事じゃめげないイタリア人、パンにチョコレートを無理やり挟んで食べるのです。で、フルーツ。またまたロレンツォがあんずを分けてくれました。私はこのとき初めて、あんずを生のフルーツとして食べました。でもそのおいしいこと!甘酸っぱくて桃に似た味ですが、桃よりも実が締まった感じ。(その後のイタリアでの生活であんずは欠かせないものになったのは言うまでもありません!)パニーノがかなり大きくすっかりおなかいっぱいの私に、バナナを勧めるルイージ、食料をたくさん持って来すぎちゃったよっというような感じで、みんなに無理やり食べさせます。話はそれますが、私がイタリアに来てイタリア人の家庭に御呼ばれした時、とっても嬉しい反面、ちょっと気が引けてしまいます。というのも、やっぱりイタリア人は食べるの大好き、食べてもらうのも大好き。という事で、本当にたくさんのご馳走を用意してくれ“MANGIA!MANGIA!”食べなさい!食べなさい!もう無理っ!っていっても、あなたが食べないと残っちゃうのよ、少しでいいから食べて!…こう言われると日本人の私としては、じゃぁ、少しだけ…っともう限界のお腹に無理やり詰め込んでしまうのです。私も食べる事は大好きだし、やっぱりイタリアのマンマの手作り料理はとてもおいしい!でも、大食いの方ではない私はこの時、本当に大食いだったらなぁと思ってしまうのです。

という事で、その時まだ限界まで達していなかった私は、いつもの様に、じゃぁ、少しだけ…っといってバナナを半分だけ頂きました。

お昼を食べ終えた私たちは一緒に写真を撮り、住所交換をしました。日本の山でもそうだと思いますが、山で出会った人達はみんな仲間!写真を撮り合いっこしたり、出身地の話をしたり本当、楽しい!イタリア人の老若男女、分け隔てなく、すぐに話が弾むところは本当に素敵っ!と思います。ここの山小屋はレストランにもなっており、下山する前にBARでカフェを飲み(さすがイタリア人、こんな時でもカフェは飲むのですね!)ミネラルウォーターを買い(といっても全部、ロレンツォが払ってくれたのですが)登頂記念にみんなで絵葉書を買ってそれぞれのサインを入れ、登頂記念スタンプを捺して、さぁ下山です。あつ、日焼け止めクリームも忘れずたくさん塗って(サラに借りました!)。あっ、あとトイレ、トイレ!山小屋の脇にちゃんとあります。ロレンツォにトイレに行っておいたほうがいいんじゃないの?って言われて、行きましたが、男女一緒で一つしかなく、鍵が壊れているみたいで、ガチャガチャやってたら、ロレンツォが“見張っててあげるから、大丈夫だよ”って…。本当にこんな事まで、お世話になるとは、全く恥ずかしい…。さて本当に下山です。くだりは登りよりは、やはり楽ですが、滑り落ちる危険があるので慎重に、慎重に…。ロレンツォが、後ろ向きで下りると怖くないよ!っとアドヴァイス…。うん、確かに…。サラは行きの登りで体力を使い切った様子で、もう足が動かないっと言いつつ、頑張って下ります。ルイージはおろしたての登山靴が汚れちゃったよっとぶつぶつ言いながら下ります。ロレンツォはやれやれっといった感じで、彼等にちゃちゃを入れたり、すれちがう登ってくる若者達に声をかけたり。途中、何回か休憩はしたものの思ったより早く、下山出来ました。

私も下界の平らなところに到着したら、やっぱり足が、がくがくになっていました。で、本当によくしてもらったロレンツォ、サラ、ルイージともお別れ!彼等はそれぞれ車で来ており、私はプルマンの乗り場へ。じゃぁ、乗り場まで送ってあげるよ…。最後の最後まで本当に有難い。でももう乗り場までの道を忘れてしまった私、うまく説明できなくて結局、ルイージが町の人に聞いてくれて、バス停到着!名残惜しかったけど、さようならのキスをみんなと交わして今度こそ本当に、お別れ!プルマンに乗り、なんて素晴らしい一日だったんだろう、もう二度と会えないかもしれないけど、こんな温かい素敵な人達と出会えた嬉しさにしばし一人、浸ってしまいました。私のように日本人、どう見ても外国人で、イタリア語も話せるのか話せないのか分からなかったのに、何の偏見もなく仲間に入れてくれた3人組に感謝しつつ…。

これからイタリアアルプスの山々は本当に美しく、トレッキングには最高の季節を迎えます。7月には、エーデルワイスを始め、たくさんの美しい花々を見ることが出来ます。私のようなベネチィアーナでも、なんとか登る事の出来た山ROSETTAへ、出掛けてみてはいかがですか?(登山靴で行かれることをオススメします!!)



【上谷 三佳(かみや みか):
イタリアが大好き!というだけで6年前に独学でイタリア語の勉強を始め、その後、日本での仕事の合間をぬって、イタリアのいろいろな都市で短期で語学留学をしたり、インターンで現地の小学校で日本文化を紹介したり・・・。現在は東京でベーカリーカフェをしつつ、東京都の外国人向けの観光ボランティアに参加したり、仲良くなった校長が経営するイタリアの語学学校のHPの日本語版の手伝いをしたり、カフェに集まるイタリア好きのお客さんと情報交換したり・・・少しでも何かの役に立てれば・・・と、またイタリアへ旅立つ日を夢見て、細々と活動中!】
 

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