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イタリア美しい風景〜熟年の旅〜
15 giugno 2007
Il Bel Paesaggio dell'Italia

この素晴らしき美のかたち(2)
イタリア南部編







近藤 節夫

●カプリ島「青の洞窟」のコバルトブルー
ソレントからカプリ島マリーナ・グランデ港まで連絡船で渡って約45分である。ローマから日帰りでやって来て小舟に乗って洞窟内へ入るチャンスが1回しかないツアーが多いが、悪天候だったらそれでおしまい。それより「青の洞窟」だけではなく、この小さなカプリ島の滞在をもっと楽しむ気持ちで、島内に1泊して日程に余裕を持たせた方がいい。小さな島のわりに思いがけない見どころが沢山ある。

マリーナ・グランデの波止場からマイクロバスで離合も難しい細い急カーブの山道を、ヒヤヒヤ走るスリルに汗もびっしょり。たどり着いたところはアナカプリで、ここも歴史的ないわれがある。見下ろせば群青の海が目に飛び込んでくる。
ソレントがオルゴールの産地ということは、日本ではあまり知られていないが、ここの売店では洒落たソレント産オルゴールを売っている。もちろん♪帰れ!ソレントへ♪ のオンパレードだが、歌に合わせて「明日ソレントへ帰りますよ」と思い出のスーブニール用に手に入れるのも記念になる。

アナカプリ・バス停からたどり着いた同じレベルの広場に、ちょうど波止場から上がってくるケーブルカーの終点がある。このウンベルト一世広場は海抜146mで、人びとが群れ集まるカプリ島の集会場であり小銀座である。サマーセット・モームが好んで通ったカフェもある。辺りの入り組んでせせこましい裏通りをぶらついてみるのも楽しい。
ちょっと足を延ばせば、海抜336mの断崖上に初代皇帝アウグストゥス帝の別荘跡、ヴィラ・ヨヴィスがある。皇帝は執政の地ローマを離れ、この別荘でリフレッシュしながら政治の構想を練っていた。妄想するなら、英雄はこんな処にも美女を侍らせながら?リモコン操作によって国家を統治し君臨していたのである。

「青の洞窟」は気象条件にもよるが、1泊してから翌日向かうとよい。陸路を車で行って洞窟まで足で下る方法もあるが、初めての旅行者にはあまりお勧めできない。ここはひとまずディーゼル船で洞窟へ向かい、入り口で小さな手漕ぎボートに乗り換え、頭をかがめ、首をすくめながら船頭に運命を委ねる(?)のが無難である。

軽音楽 ♪カプリ島♪ をハミングしながら「青の洞窟」へ入った瞬間、突然眼がくらむように暗黒の中に水面だけがぱっと明るく青白く反射する、まばゆいばかりの神秘的な光景に出くわす。露玉のように水面が光る。海水が光とコバルトブルーに変色した。間髪を入れず美声の船頭が、♪サンタルチア♪ を朗々と唄いだした。声量のあるテノールが洞窟内によく響く。ドカ〜ンと身体で受けたビートはたちまち感激となった。太陽が燦燦と輝いていれば、それだけ強い光線が反射して太陽光線が海底に跳ね返り、余計に海面が映え海水の色を幾種類ものブルーカラーに染める。コバルトブルーと白色に透き通った海水の小波は、洞窟内に入ってくる小さなボートをゆらゆらと揺する。

それにしてもあの突き上げるようなパンチの効いた、電撃的な光景はいまも脳裏を去らない。

●紺碧のアマルフィ海岸
ユネスコ世界遺産に指定されているアマルフィは、11世紀にはイタリア最古の海洋共和国としてヴェネツィアを凌ぐほどの繁栄を誇っていた。当時の地中海の海運はアマルフィ航海法によって行われ、アマルフィ船団が十字軍兵士の輸送に大きな役割を果たしたほどである。
荒々しい岩山と狭い海岸線のわずかな平地に構築されたアマルフィの町は、手狭な地形を有効に生かして設計され、ゆるい傾斜の坂道に細い路地が網の目のように張り巡らされ、うっかりすると迷子になりかねない。町の中心部にはアマルフィ大聖堂がでんと腰を据え、正面階段下から仰ぎ見るその威容は、当時の漁民にこぞって海の平安を祈らせずにはおかなかった。

ソレントから市街地を通り抜け、しばらく車を走らせるとサレルノ湾海岸に出る。ここから30q以上に亘りアマルフィまでつづら折りの片道一車線道路が続く。これが世界的な臨海断崖道路として知られる景勝の地、「アマルフィ海岸」である。
この海岸沿いの目もくらむ風光は、地球広しといえども文句なしに世界最高だ! あげられるものなら「車窓風景世界bP」のお墨付きを与えたい。左に岩山、右に海原のドライブウェイがくねくね曲がってめまぐるしい。できればここは乗用車よりシャシーの高いバスから眺めた方が眼下の絶景を楽しめる。コバルトブルーの海、遥か遠くに浮かぶ白帆の影、打ち寄せる荒波、ロマンチックでいて荒々しい断崖絶壁、トンネルを潜り抜けるたびに変幻自在に変わる車窓風景・・・。飽きることがないスリルと興奮が旅行者の心を捉えて放さない。
ちょっと洒落たポジターノの町を通過する。ところどころ崖の上や、崖の途中に張り付くように建てられたパステルカラーの別荘は、飛びきり豊かな階層の贅沢三昧の生活を夢想させてくれる。

近年大勢の観光客が押し寄せるようになり、市街地周辺では交通渋滞が激しくなったが、その巧みな交通整理役を務めてくれるのが、道路際のお店の主人だったり、時には売店の気っ風のいいおばさんだったり、イタリアらしい下町気質が見られるのも楽しいところだ。ただ、この素晴らしいドライブを楽しむにも、いずれ大掛かりな交通規制がなされるであろう。行くならいまのうちだ!
写真トップ:アマルフィから海を望む
本文中上から順に:カプリ市民の"集会場"ウンベルト一世広場
カプリの海は幾種類もの青に染まる
一度は行ってみたいアマルフィ海岸

著者プロフィール

近藤 節夫(こんどう せつお)

昭和13年東京都中野区生まれ。(社)日本ペンクラブ会員。エッセイスト・旅行ジャーナリストとして、精力的に著述活動を続けている。学生時代の「60年安保闘争」体験と、若いころの海外ひとり旅による危機一髪のリスク体験から、広く「臨場感」の大切さを啓蒙している。日ごろより知識の蓄積のうえに、現場の第一線で汗を流さなければ本物ではないと、持論である現場体験の重要さを主張している。40年間旅行業界にかかわり、この間被発給旅券12冊、海外渡航歴約200回、渡航先国71カ国で、旅行業界で長らく国家試験講師、研修試験委員を務め、旅行業界誌等に度々寄稿し、シンポジウムでも持論を提言して「旅行業界の彦左衛門」とも称された海外旅行のプロである。 著書に「現代 海外武者修行のすすめ」(新風舎刊)がある。
HPは http://www.mr-kondoh.com




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