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イタリア美しい風景〜熟年の旅〜
15 settembre 2007
Il Bel Paesaggio dell'Italia

この素晴らしき美のかたち(3)
イタリア中部・北部編







近藤 節夫

●聖都アッシジのお花畑
中部イタリア・ウンブリア地方の宗教都市アッシジは、歴史文化遺産の宝庫でもある。詩人ダンテは「神曲」の中で、「ただアッシジと呼ばず、日出る処と呼べ」と標した。その象徴こそがアッシジのランドマーク、聖フランチェスコ聖堂である。
ローマから急行で僅か2時間半足らずのうちにアッシジへ着ける。アッシジ駅から遥かに仰ぎ見る台地の先端に鎮座するアッシジの聖処は、その威容においてまさに圧倒せんが如く神々しい。

アッシジの史跡や、聖人にまつわる物語は、これまでありとあらゆる場で語り尽されてきた。10年前の大地震により町全体が大きな被害を被ったが、幸いその後修復復元されたと聞いた。しかし、私には地震以前に訪れた当時のイメージが損なわれていないか、いまも気に掛かっている。街の中心・コムーネ広場から、ぶらぶら歩きながら城壁の外まで下る小路と、その界隈の建物の土壁には、まぎれもなく年輪を重ねた重厚な歴史と伝統文化、そして聖フランチェスコの教えが浸み込んでいる。

コムーネ広場のテラスから見晴るかす広大な田園風景は、牧歌的で美しく、ことのほか気に入っている。それは宗教的建造物が醸し出す聖霊的なムードや、幾分辛気臭い宗教色漂う空気から一転心を解き放してくれ、改めて気持ちを豊かにさせてくれる癒しのランドスケープでもあるからである。

お気に入りのキャンバスはこれに留まらない。アングルを切り替えて、アッシジ駅から車で台座の麓近くまで辿り着くアプローチが、気持ちをなお一層落ち着かせてくれる。周囲には人類の造形物はなく、ただ自然にあるがままの姿なのだ。麓までは単なる牧草地と潅木帯なのかもしれない。
しかし、いま思い出そうとすると、どうしても絨毯状に見事に敷き詰められたお花畑のデザインが浮かんできて仕方がない。天地の創造主がきっとその周辺の自然環境からそのように想像させてくれているのかもしれない。そっと瞼を閉じれば、メルヘンのように咲き誇る可憐な花々の中を潜り抜けてお駕籠によって天国へ召されていくのである。ほんのひととき、心を落ち着かせてくれる門前町の大パノラマである。

●心が洗われる山紫水明のコモ湖
ミラノから北へ高速道路に乗って1時間ばかり走ると眼下に、細長く伸びた湖が目に入ってくる。それがイタリアの高級保養地コモである。スイス国境に近く周囲は山に囲まれ、湖畔の道路も片道一車線で、夏の最盛期を除けばそれほど車の洪水も見られない。サンモリッツや、コスタ・デル・ソル、コート・ダ・ジュールと並ぶ世界的な高級リゾート地で、著名人の高級別荘があることでも広く知られている。それでいて、別荘地特有の得意然としたてらいを感じさせることもなく、ごく庶民的なところがいい。

町の中心は湖畔のカヴール広場界隈だが、洒落たショップやレストランが軒を並べて一日中賑わい、波止場は遊覧船がひっきりなしに出入りして中々活気がある。一世を風靡した女優ジーナ・ロロブリジーダやヴィスコンティ監督らの有名人も姿を見せたとあって、さすがに町のファッションセンスも粋で垢抜けている。パリ市内と同じように洒落たコーヒーショップで、ひねもすのんびり過ごすのもいいが、この山紫水明のコモ湖にはやはり静寂が一番似合っている。

湖畔に沿って北上すると樹林のそこかしこにヴィラ風のこじんまりしたホテルがいくつかある。できればこういう処に泊まってこそ、別荘気分を上品に味わうことができ、贅沢が実感として感じられるのだ。朝のしじまの中を逍遥しながら小鳥のさえずりに気持ちを癒され、やがて現れる真っ赤な太陽に心をときめかせる感動は至福と呼ぶべきだろうか。これこそしばし都会の喧騒の中では忘れていたものだ。まさに心が洗われるひとときである。

コモ湖の観光ポイントはありきたりだが、遊覧船に乗り湖畔沿いに半周するのが、湖周辺のイメージを最もよくとらえることができる。朝のうちは湖上ではまだ肌身に山の冷気が感じられる。このコモ湖水面をなでるブリーズを受け止めながら、湖畔に建ち並ぶデラックスな別荘群をひとつひとつ品定めをしてみるのも、カタログを見ているようで楽しい。それぞれの建物もそうだが、後から後からガイドの口をついて出てくる有名人の固有名詞には、羨望の声が聞こえ、思わずため息が出てくる。

ケーブルカーで小高い山上から鳥瞰的にランドスケープを眺めてみるのも比喩的で面白い。その山容が日本アルプスの懐のイメージと意外なほど似かよっているからだ。ここから遥かにスイス・アルプスを望むことができるが、南アルプスとそれほどの違和感もない。われわれ日本人にとっても、親しみを憶えるコモ湖を取り巻く自然の環境である。

写真トップ:アッシジのサン・フランチェスコ聖堂周辺のパノラマ
本文中上から順に:美しい緑を背景に建つサンタ・キアラ教会
コモ、街角のカフェ
コモ湖畔の風景
(トップの写真提供:Bella Umbria, www.bellaumbria.net)

著者プロフィール

近藤 節夫(こんどう せつお)

昭和13年東京都中野区生まれ。(社)日本ペンクラブ会員。エッセイスト・旅行ジャーナリストとして、精力的に著述活動を続けている。学生時代の「60年安保闘争」体験と、若いころの海外ひとり旅による危機一髪のリスク体験から、広く「臨場感」の大切さを啓蒙している。日ごろより知識の蓄積のうえに、現場の第一線で汗を流さなければ本物ではないと、持論である現場体験の重要さを主張している。40年間旅行業界にかかわり、この間被発給旅券12冊、海外渡航歴約200回、渡航先国71カ国で、旅行業界で長らく国家試験講師、研修試験委員を務め、旅行業界誌等に度々寄稿し、シンポジウムでも持論を提言して「旅行業界の彦左衛門」とも称された海外旅行のプロである。 著書に「現代 海外武者修行のすすめ」(新風舎刊)がある。
HPは http://www.mr-kondoh.com




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