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2 August 2001


第7回
アルデアのマンズー美術館

(ローマ近郊 アルデアArdea)

La Raccolta Manzù, Ardea
(Ardea, Roma)




『アダムとエヴァ』ジャコモ・マンズー作、1927年


イタリア文化財省 編集協力記事
Con la collaborazione del Ministero per i Beni Culturali e le Attività Culturali


彫刻家マンズーに捧げられた美術館。1979年に彼がイタリア政府に寄贈した作品を収蔵。1981年4月に開館した。 Dedicato allo scultore Manzù, il museo ospita le opere da lui donate allo Stato italiano nel 1979 ed è stato aperto nell'aprile del 1981


ローマからラウレンティーナ街道via Laurentina沿いに、車で45分ほどのところに建つこの美術館は、アルデアArdeaの町がある凝灰岩丘のふもとにある。彫刻、宝飾品、メダル、素描、版画や演劇用の下絵(総数461点)からなる、彫刻家マンズーManzù(1908-91年)の充実した作品コレクションを所蔵する。その大部分は巨匠の円熟期、1950年から1970年にかけての作品だが、『アダムとエヴァAdamo ed Eva』のブロンズ浮彫りや、1929年の『受胎告知Annunciazione』のスタッコ彫刻、1943年の『少女像Bambina』──その素材の上でも繊細なアラパスター彫刻──など初期の作例をはじめ、1980年代の晩年の作も何点かある。晩年の作品では、とりわけその斬新な構想において『果物と野菜の籠Cestino di frutta e ortaggi』が目を引く。これは、カラバッジョが描いた果物籠を彷彿とさせ、古代ローマ時代の伝統的技法に従い、水銀で金めっきを施したブロンズの洗練された作品である。

まさしく、この古代の伝統との結びつきによって、マンズーはその作品において現代によみがえるその価値の偉大な解釈者となっている。

近年の考古学的発掘によって古代イタリア起源であることが確認されたアルデアという豊かな歴史をもつ地にこの美術館があるという事実は、文化的に異なる2つの領域の間にそれぞれに特色のある関係を生み出している。

マンズーの直感的で直接的な制作態度は、何世紀にもわたって伝えられてきた技法の経験──蝋型を用いたブロンズ鋳造や鑿(のみ)による彫刻、ドナテッロを思わせる”スティアッチャートstiacciato(薄肉彫)”の浮彫り──を通して具体化する。

美術館所蔵の1939年の『ダヴィデDavid』(第U室)は、彼の制作における調和のとれた均衡の好例といえる。巨人ゴリアテに向けて投石器を構え、うずくまった若い羊飼いの姿は、閉じられた形態とボリュームをもつそのポーズにおいて、カピトリーノ美術館にある『刺を抜く少年Spinario』のようなヘレニズム期の傑作の優雅さを再現している。

権力に異議を唱えるためにこの時期のマンズーが好んだ聖書の主題は、1939年に制作が開始され、戦後まで続いた一連の有名な『磔刑像Crocefissioni』といった宗教的なテーマの選択と並行している。これらの作品は明暗の効果とかすかな震えをもつ繊細な浅浮き彫りである。

アルデアのコレクションには1947年の『将軍のいるキリスト像浮き彫りBassorilievo del Cristo con il Generale』と、1966年の『骸骨のある浮き彫りBassorilievo con scheletro』、『マグダラのマリアのいる浮き彫りBassorilievo con Maddalena』(第U室)が含まれている。これらは同じテーマのバリエーションであり、それについてマンズーの数少ない証言が残されている──「私はこのシリーズを1947年にやり直した。なぜなら、軍国主義に対する戦いは──今でもそうであると思うが──常に現在のものだからだ。それを私は愚かで犯罪的な尊大さで膨れ上がった将軍として表した。その敵対者であるキリストは、われわれ人類を、とりわけ苦しんだ人々、苦しんでいる人々を表している」(マンズー展カタログ、フィレンツェ、1979年)。

マンズーの偉大なる人間性は人生に対する深く明晰な思想によって表現されている──愛、平和、戦争、死といったテーマは、ザルツブルグ大聖堂やロッテルダムの聖ラウレンツ聖堂、ローマの聖ピエトロ大聖堂の扉口の大作を貫いている。当コレクションでは、これらの作品の小型パネルや全体の粗型を初め、聖ピエトロ大聖堂の扉の他に伝統的な飾り鋲の代わりに配された一連の動物の中から『ヤマネGhiro』と『ヘビとカメTartaruga col serpe』(第T室)の鍍金ブロンズによる彫刻などの部分を見ることができる。

自然はマンズーの作品世界に常に見られる要素である。それは彼の故郷のベルガモの農村に根ざしており、動物や花、農作物といったモティーフは常に彼の作品の中に現れる。また、しばしばそれ自体で作品になることもあり、子供の遊びに結びつけられることもある。

土と自然への思いは『恋人たちAmanti』の大きな彫刻にも及んでいる。そこではあたかも引力によって結ばれたもつれ合う肉体の中で、地面に接している男性の裸の胴体はまるで粗い物質、すなわち土そのものであるかのように扱われている。

喜びの主題としての子供のテーマは、『馬車に乗るジュリアとミレートGiulia e Mileto in carrozza』の彫刻シリーズに再び現れる。家族への愛情から生まれたこれらの作品では、マンズーの2人の子供が二輪を持つらせん形に省略された想像上の馬車の上でバランスを取って楽しむ様子が表されている。

インゲ・シャーベルInge Schabelに出会った1954年以降、画家とモデルというテーマが、彼の将来の妻でありほとんど唯一のモデルであった彼女のイメージと絡み合うようになってくる。

インゲの一連のブロンズ肖像や版画は当コレクションの中核をなしており、さらに珍しい黒檀による彫刻、1968年の『グアンタナメラGuantanamera』と1976年の『横たわる女Donna distesa』の2点は堅くもろいガボンの黒檀を楔形の切り込みで造形した労作である。

マンズーの彫刻が新たにモニュメンタルなヴィジョンをもつようになるのはこの時期である。大きな作品における形態の広がりは、有名な『枢機卿Cardinali』シリーズですでに見られたが、当美術館には、厳しく堂々とした1955年の『座る大きな枢機卿Grande cardinale seduto』と1960年の『立つ枢機卿Cardinale in piedi』(第U室)がある。後者は高さ2メートル以上もあり、大外衣(枢機卿のマント)は肉体の厚みをもたずに平たくつぶれ、わずかに示された顔はそこにはなく、ほとんど像を構成する2つの円錐形の展開にまたがる形式的な仲立ちとなっているにすぎない。

1960年代に、マンズーはローマのオペラ劇場におけるイーゴル・ストラヴィンスキーIgor Strawinsky の『オイディプス王Edipo Re』の上演に際して、作曲者に請われて彼にとってまったく初めての試みである舞台美術を手がけることになった。こうしてマンズーと舞台の関係が始まった。最初のためらいや抵抗をへて、その関係は次第に強まり本格的なものとなっていく──1967年にはローマのオペラ劇場におけるゴッフレード・ペトラッシGoffredo Petrassiの『オルランドの狂気』(La Follia d'Orlando)の舞台美術を手がけ、1968年にはローマ音楽愛好協会でストラヴィンスキーの『ある兵士の物語』(Histoire du soldat)、1971年にはヴェネツィアのフェニーチェ劇場のリヒャルト・ワグナーRichard Wagnerの『トリスタンとイゾルデ』、1972年には第15回スポレート・フェスティバルでクロード・ドビュッシーClaude Debussyの『牧神の午後』(L'aprés-midi d'un faune)、そして最後に1972年9月にベルリンのドイツ・オペラ劇場のリヒャルト・シュトラウスRichard Straussの『エレクトラ』(Elektra)を手がけた。

当美術館では、これらの作品すべての中から交替でその多数の下絵を展示している。そこには芸術家の強烈な色彩感覚が見てとれ、素早く確実な筆さばきで人物と背景を創造している。その上から鉛筆やペンで細部を付け足しており、ときには『オルランドの狂気』や『エレクトラ』の衣装の下絵に見られるように、葉や藁をコラージュしたり、しわくちゃにして色を付けた薄紙を盛り上げて貼りつけたりしている。

リヴィア・ヴェラーニLivia Velani (アルデアのマンズー美術館所長)


RACCOLTA MANZÙ (マンズー美術館)

住所:Via Laurentina, 32.800km, Ardea
Tel.:06-9135022
開館時間:月曜日を除く毎日、9:00〜19:00 月曜日、14:00〜19:00



 翻訳:小林 もり子
 東京都出身。東京芸術大学大学院修士課程修了(イタリア・ルネサンス美術史)。
 1992年よりイタリア在住。 共訳書:「ボッティチェッリ」(西村書店)


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無断での複製はご遠慮下さい。

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