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奥山陽子のハラハラ、イタリア日記
15 febbraio 2011
第4回 ヴェネツイアからヴェローナへ  
アレーナ(円形劇場) 


奥山陽子

●ヴェネツィア
友人が、イタリアを何も調べないで出発する私を心配して紹介してくれたお宅をヴェネツィアの近くに訪ねる。島々からなるヴェネツィアの街に鉄道の橋でつながっているメストレの近くで、緑豊かな広い庭のある邸宅であった。翌日はバスに乗り長い橋を渡ってヴェネツィアに入った。

うっかり地図を忘れたが、まあなんとかなるだろうとバポレットという水上バスを乗ったり降りたり。5月はじめのヴェネツィアはそれほど観光客で混み合ってもなく、海の色は緑かトルコ石色かアクアマリンかと猫の目のように変わり、この世のものとは思えず陶然とする。ガラスで有名なムラノを通り、レース編みの島ブラーノで降りたりしていたが、空はあくまでも青く5月の太陽は頭上に輝き傾く気配もない。来合わせた船を気分まかせに乗り継ぎながら時計を見ると午後6時すぎ、信じられないような明るさで影も短い。まだまだ大丈夫と思っていて8時すぎにふと気がつくと陽が急速に落ちてきている。とたんにいったい何処に居るか、ヴェネツィアの駅までどのくらいかかるのか、最終の船は何時なのかと我に帰る。


もう何時間も船をのりついでいるので同じ位かかるとすると真夜中になりかねない。最終便に間に合わないとするといったい何処に泊まれるだろうと急に不安がこみあげた。この間ナポリの貧民街でさんざんこりたはずなのに、とわが身を呪う。ところがヴェネツィア駅行きと聞いた船に乗ったところ、あっけなく1時間もかからずに駅まで到着。なんと運がいいことに遠くから自然に戻ってきていて、本島の沿岸を回っていたのであった。結構こういう結論になるのでまた懲りないのだろうなあ。

●ヴェローナへ
ヴェネツィアの街は魅力的で友人もできたので心強かったが、あまりにも現実離れしていて住む対象としては考えられなかった。3日間滞在してミラノ方面に戻ることにする。
ある友人がヴェローナはとてもいい街だと云っていたし、野外オペラも始まる頃と思い途中下車してみた。降り立ってみたら駅の周り何の変哲もなくて少々がっかりする。駅の案内書でホテルを紹介してもらい二つも門をくぐって市内に入ると様子が一変して、さすが世界遺産と感動。

時は6月下旬でアレーナ(野外劇場)のオペラの始まりを待って、街の賑わいも浮き足立っていた。大通りを目安にして歩いて居たのに、あっという間に通り過ぎてしまう。地図上で大通りと思えるものが4メートルくらいだったりするのである。ヴェローナ銀座ともいえる目抜き通りは車は終日通行禁止で、道一面のピンク色の大理石張りが何とエレガントなこと!また、氷河から流れ出た青灰色のアディジェ河が豊かな水をたたえながら街中を蛇行しているので、どこを歩いても河に出てしまう不思議な街である。


●アレーナオペラ
夏の野外オペラの初日"アイーダ"に行って見る。チケットは全て売切れで困っていると、ダフ屋かもしれない青年が、急用で見られなくなったのでといって売りに来た。中に入るとまだ1時間以上前なのに自由席はほぼ満員。神秘的なブルーのピラミッドなどシュールな舞台装置がすばらしい。たしか以前、馬はもちろんのこと象まで動員していたと聞いていたが、抽象的なのもそれはそれでよかった。ステージ上にプールが作られて踊り子が飛び込んだり、カヌーを何艘も漕いでまわったり、観客は2万人近く入るとか、聞きしに勝るスペクタクルであった。

衣装もブルーとシルバーで未来的なデザインでうっとり。外野の観客は小さなろうそくを渡され、灯をつけながら開幕を待つ。火を借りたり、風で消えてしまい今度は貸したりと、場内は和気藹々とした雰囲気につつまれる。灯が消えるころ黄昏も深まり前奏曲が始まる、という心憎い演出である。

1999年はカレーラスがカルメンのドンホセを歌い、ドミンゴがリサイタルをするという三大テノールの最後といってもいい年だった。しかしドミンゴのリサイタルは雨で中止。雨上がりを待って21時の開始時間から観衆は2時間近く待ち続けたが、雨脚は強くなるばかりで、残念ながらキャンセルになった。
アレーナは野外劇場なのでお天気まかせ。オペラの最中に雨粒がポツンポツンと落ちてくると、まず弦楽器、それもコントラバスなど大きいものから居なくなり、オーケストラがしぼんでしまう。歌手はまだ歌っていたりして、不思議な光景である。5分でも開演したら払い戻しはないそうなので、天気の悪い時はチケットを持つ人は朝から気をもんでいる。

この年、マダムバタフライも上演されたが、蝶々さんが切々とピンカートンの無事と帰国を祈る場面では、お仏壇ではなく、布袋とも怪物ともつかぬ巨像が出てきて、やはりこれが文化の差と思い知る。
アレーナは日常的に使われている世界最古の建造物とか、AC50年ころ、ローマのコロシアムと同じ頃に造られた。7月8月の夏のオペラはほぼ毎日、そのほかもマイクを使ったロックなど各種のコンサートに年中使われている。
イタリアは音楽など催し物のチケットが安く、アレーナオペラでは特別席でも200ユーロ(22000円)くらい、外野席では30ユーロ以下で鑑賞できる。冬のシーズンは室内劇場でオペラやバレエ、交響楽などが催され、ロシアの最高のダンサーなどが出演したりする。そして、ちょっとしたコンサートは無料なのにかなりのレベルなのがうれしい。

著書プロフィール
奥山陽子 (Okuyama Yoko)

東京に生まれ、北海道大学工学部建築工学科卒、丹下健三のもとで東京カテドラルのコンペ、広島平和公園聖火台、聖心女子大学などのプロジェクトに参加。その後、創成社建築設計事務所を開設し住まいと住環境をテーマに住宅や集合住宅の設計、住宅地域計画などを行う。1990年代には日本建築家協会理事もつとめた。  

それまでに培ったアートへの素地と憧憬は、独自の手法によるアート作品制作へと向い批評家や愛好家の支持を得て、イタリア国内および国外での個展などへの参加となった。その作品はイタリア以外にも、アメリカ、フランス、イギリスなどで収集されている。1999年よりイタリア在住。
「奥山陽子のアート」サイト  http://www.yokookuyama.com
「旅のサイト」  http://www.northitaly.net/
(写真右上:筆者、ニューヨークでの展覧会会場で)            




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