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15 marzo 2011
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![]() ●野外オペラに魅せられて アイーダにすっかり虜になってしまい、夏の演目を全部見たいと思ってしまった。となると8月まで滞在しないとならない。まあゆっくり腰を据えてとレジデンスに宿をとって、ナポリの時と同じくバスに乗ったり歩いたりと世界遺産の街を楽しんでいた。 ローマ時代、中世、オーストリア占領時代と歴史的遺産の積もり積もった街で、大理石の産地とかで歩道はほとんど大理石、そこには50センチ以上もあるアンモナイトの化石があちらこちらにあって、なんと古生代まで見られるのだった。 作写真上:ヴェローナの街を流れるアディジェ河
●カルチャーショック ある日のこと、イタリア語学校の生徒募集ポスターを見かけた。通算1ヶ月以上もイタリアに居ても、私の語学力はナポリの学校での5日間に培っただけなので、何とかしなくてはと少々あせっていた。 月初めに行われたクラス分けのためのテストに参加してみた。何とうれしいことに、今回は少しは答案用紙を埋めることができた。 試験中に、ドイツ語圏の中年男性が、イタリア語をまったく判らないから教わりに来たのに、設問がイタリア語で書いてあったら判るわけ無いではないか、と英語で怒り散らしていた。それでは日本人には日本語で、インド人にはヒンズー語で書くのですか、、。 同じクラスの40代のマリアは、理解出来ないと納得するまで授業を止めるのでクラスの皆は疲れた。宿題をあまりしないし勉強不足と思われるのに、周囲のことなど考えないのである。日本人は私も含めて概して周りの雰囲気を尊重して、ほどほどに切り上げるものだったが。欧米人は自己主張がはっきりしていると感心したりうんざりしたりの毎日であった。
写真左:アンモナイトの化石がお店の前に、右:今はカーニバルのシーズン、知人夫妻も仮装して
●風習 ところが慣れてくると、ヴェローナ人には割合日本人に近い義理人情や繊細さがあるようである。 ある日、イタリアの知人のオフィスに立ち寄ったところ、仕事を中断して"コーヒーはいかが"と勧められた。電話で"今だいじょうぶだから寄って"と云われていたので、時間を割いてもらってもいいのかと思い"ではいただきます"と言った。別にさして飲みたくもなかったのだが。すると彼女は"えっ、飲むっていうんだ!!"と驚いた。私と友達(日本人)もびっくりして"勧められたのよね"と確認しあった。彼女は憤然としているようで、その様子をみて、他の人があわててコーヒーをいれてくれた。 釈然としないので、翌日イタリア語学校の先生に聞いてみた。そうすると"残念ながらそうなのよ。3回くらいは断るのが普通とか。だから母なんかは"私が飲みたいので入れるけれどご一緒にいかが"といつも聞いているわ"とのこと。そういえば私も家に立ち寄ってくれた人にコーヒーを勧めても、みんな朝3杯も飲んだとか何とか、いつも断られていたので、1度勧めたあとは自分ひとりで飲んでいたのだ! でも訪ねた彼女はヴェローナ出身ではないのだが、、。 考えてみるとヴェローナは小フィレンツェとも呼ばれることがあるとのこと、日本では京都に対する金沢のようなものかもしれない。金沢については知らないが、京都ではお茶漬けでもと勧められても長居しないほうがよいと聞いている。伝統のある古都ならではのしきたりかもしれない。 ●イタリア人は謝らない ところで、済みませんとイタリア語で気軽に言うと、相手は何もそんなに誤るほどのことではない、と却って恐縮するが、日本では、"すみません"は"ありがとう"も兼ねていたようでつい云ってしまう。 一方、こちらの人はなかなか謝らない。ドタキャンをした時でも、"こうこうの理由だから仕方がないじゃない"という感じで "ごめんなさい"とは云わないほうが多い。このごろは私も、残念だったけれど、というフレーズを使って、あまり軽くあやまらないよう心がけている。 あるときガルダ湖へと車を走らせていて、左折禁止(こちらは右側通行なので)をうっかり曲がってしまったところ運悪く後ろにパトカーが居た。すぐに止められ2人の警官が降りてきたので、ひたすら謝ったら彼らは呆然と"この人たち謝っているよ"と二人して呆れていた。このシチュエーションでいったいどうやって言い訳できるのだろう、それでもイタリア人は謝らないらしい。 このような行動原理、言語環境にある日本人にとって、国際外交は何とたいへんなことだろうと思った。 外国に住むと云うことは、何とむつかしく不思議で面白いもの、とまわりに多分に迷惑を欠けながらカルチャーショックの日々が続いていた。
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