JAPANITALY Travel On-line

 
イタリア旅行情報サイトJAPAN-ITALY Travel On-line
美味しい街「パルマ」だより
15 Dicembre 2014

第2回  冬の豚祭り 「ノベンバー・ポーク」
Festival del Prosciutto di Parma
 

西村明美 
「ミラノ 霧の風景」という霧の街を描いた須賀敦子さんの書籍もありますが、パダーナ平野の霧は、パルマの冬景色でもあります。11月になるとパルマの街に霧の出る日が多くなります。霧の濃い日は、反対車線の車が見えない程に。そして、どんよりとした雲は人々の気持ちを暗くします。山陰出身の私が何となく住みやすいのは気候が似ているという理由もあるのかもしれません。

●10月末から始まるハム作り
そんなパルマですが、霧の出始める10月末から本格的に始まる仕事があります。それはハム作り。冷蔵庫の無かった頃は、気温が下がり始めるこの時期に豚をつぶしてハム作りが行われていました。それは一般家庭でも普通にされていました。

パダーナ平野は、沼地を修道士たちが耕し続けて肥えた土地にしていきました。もともと沼地だった場所には泥の大好きな豚が住み、その豚を家畜として飼っていた人達。彼らの大きな仕事の一つはこの霧の時期から始まるハム作りでした。ノルチーノと呼ばれる豚解体職人が、籠に入れたと殺道具を持って、各家庭をまわり、豚を解体するのを手伝っていました。こうして作ったハムは、自宅用、そして販売用と分け、一番値段が高く売れたクラテッロを売ったお金で、翌年のための豚を購入していたのでした。

写真トップ@豚祭り「ノベンバー・ポーク」で:
左2本は肩の部分、スパッラ・クルダ、その隣がクラテッロ、脇にはサラミになる肉
写真上左A豚祭り 「ノベンバー・ポーク」で つり下げられた豚  
写真上右B同:多くの職人さんが部位に別け、ハムにしていきます

●豚祭り 「ノベンバー・ポーク」
昔はバッサ・パルメンサと呼ばれる湿気の多いポー川沿いに住む人たちも、多くのイタリア人と同じように、貧困で、ほとんど自給自足の生活をしていました。1頭の豚を殺して、ありがたく1年間を平穏に過ごさせてもらっていたのです。だから、むやみには殺しません。豚の皮から脂、血液までありがたく頂いていました。現在でも、「捨てるところは足の爪だけ」と言われます。

この伝統を忘れないようにと始まったのが「ノベンバー・ポーク November Porc」。11月の豚祭りです。毎週末、バッサ・パルメンサの4つの街(シッサSissa、ポレジネPolesine、ジベッロZibello、ロッカビアンカRoccabianca)で豚から出来る色々な部分のハムを作り、大鍋で茹でたり、長いサラミを作ってギネスに挑戦したりと、村人、観光客が楽しみます。 今年のノベンバー・ポーク、11月の第1週目のシッサSissa、そして第4週目のロッカビアンカRoccabiancaのお祭りに行ってきました。

写真上左C豚祭り 「ノベンバー・ポーク」のメルカート風景  写真上右D同:脂を煮詰めているところ

シッサではこの日、2頭の豚がハムにされるべく吊り下げられていました。午前中に1頭、そして午後1頭、部位別に解体して、どのようにサラミ、ハムに成って行くのかをデモンストレーションします。現在でも家庭で豚を購入し、ハム類を作っている人もいますので、皆真剣に見入っています。こうして作られたハムは、1年を通して、人々の食卓に潤いをもたらしました。

写真上左E豚祭り 「ノベンバー・ポーク」の人だかりの特設レストラン  写真上右F同、クラテッロの一皿

ロッカビアンカでは、12月のクリスマスに向けて食のメルカートが出ていました。広場にはそりにサラミ作りをしている人間が牢に入れられてトナカイ扮した豚に連れて行かれます。豚がいるから私たちがあるというリスペクトを現しています。鍋で豚の脂を煮詰めて残ったものを圧縮して作るチッチョリ作りも実演。雨の中、特設レストランは、人であふれていました。メニューは地元産のハム、サラミ類です。                                  

●パルマのクリスマス
この冬の仕事の途中にあるイタリア人にとって最も重要な行事、家族で迎えるナターレ(クリスマス)。12月24日のクリスマスイブには、お肉のない、質素な食事。例えばパスタにほんの少しのトマトペーストを加えただけのもの。また、パルミジャーノ・レッジャーノを作った後の乳清に熱を加えて作ったリコッタチーズとエルベッタと呼ばれるほうれん草に似た野菜を入れたラビオリ、トルテッリ・ディ・エルベッタが食べられます。

写真上左Gトルテッリ・ディ・エルベッタ    写真上右Hアノリーニ

そして25日のクリスマスは、たっぷりの前菜から、アニッリーニという小さなラビオリ、茹でたお肉、ボッリート、そしてパネットーネとお腹を一杯に満たします。26日のサント・ステファノには、その残り物を食べる、という日本のお正月に似たような家族で過ごす祝日が続きます。

  写真上IJパルマの街のクリスマス風景

そして、27日からはまた仕事に戻り、31日の大晦日には友人同士で大晩餐。年明けを待ちます。 皆様も良いお年を。



西村明美(Nishimura Akemi) 
1996年よりパルマ在住。パルマという土地柄、食に関わる通訳の仕事が多く、ワイン好きが嵩じて、2003年イタリアソムリエ協会AISの資格を取得。2007年にパルマ人と結婚し、ますますパルマの伝統食品への興味が深くなり、パルマ伝統食品アドバイザーコース終了。2013年にパルミジャーノ・レッジャーノ協会のテイスターコース、パルミジャーノ・レッジャーノ紹介者養成コースを終了。
現在、パルミジャーノ・レッジャーノやプロシュット・ディ・パルマ、クラテッロなどの工場見学、研修や、アルマインターナショナルでソムリエコースを教えるペッシーナ先生のワイン講座、お料理教室をオーガナイズするかたわら、更に専門的にパルマの食品について勉強中。
ブログ  http://marchesell.exblog.jp/

美味しい街「パルマ」だより・データ
Dati
■パルマハムフェスティバル
Festival del Prosciutto di Parma
http://www.festivaldelprosciuttodiparma.com

http://www.japanitalytravel.com
©  JAPAN PLUS ITALY - MILANO 2013 All rights reserved.