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美味しい街「パルマ」だより
15 Febbraio 2015

第3回  世界中で食されるパルミジャーノ・レッジャーノ
Parmigiano Reggiano
 

西村明美 
パルミジャーノ・レッジャーノチーズ。チーズが苦手という方でもこの名を聞いた事の無い人は少ないのではないでしょうか。世界中で食べられているパルミジャーノ・レッジャーノ。太鼓型で1個40kgもある大型チーズです。

●パルマ人の生活に密着した食べ物
パルマでは、そのまま頂くのはもちろん、アンティパストからセコンド、ドルチェまで全てのお料理にパルミジャーノ・レッジャーノメニューが存在します。パルマ人は、「どんなお料理にも最後にパルミジャーノ・レッジャーノを磨り下ろす」と言われてきました。パーティーでは、太鼓型のチーズを横半分に割って、そのままチーズを掘り起こして食べ、病気の時は、お米を茹でて、パルミジャーノ・レッジャーノをかけて栄養を取ります。パルマ人には無くてはならない生活に密着した食べ物なのです。

写真トップ@飽和状態の塩水プールに入れられたチーズはプカプカ浮いています。
写真上A太鼓型で1個40kgもあるパルミジャーノ・レッジャーノチーズ

ヨーロッパEUからはD.O.P「原産地保護保証」という認証が与えられています。伝統を持ち、その産地の気候、地域を生かして作り続けられた、他ではまねの出来ない製品のみに与えられる認証です。生産地域が指定され、生産方法等、厳しい規制があります。

●生産地域を厳しく限定
生産地域は、パルマ、レッジョ・エミリア、モデナ、そしてボローニャのレノ川左岸、マントバのポー川右岸と指定されています。指定された地域で、指定された材料を使い、指定された製造方法で作られたもののみが最終的にパルミジャーノ・レッジャーノチーズとして、世に出る事が出来るのです。

●1300年代から続く古い歴史
パルミジャーノ・レッジャーノの歴史は古く、1305年にパルマのチステルチェンシ派の修道院、1306年にはレッジョ・エミリアのベネデッティーニ派派の修道院でパルミジャーノ・レッジャーノを作っていたという記録があります。

パルマ郊外の温泉町サルソ・マッジョーレではミネラルを多く含む上質な塩が取れました。800年代にカール大帝が持っていたこの土地を、孫のパルマ司教であったヴォビド司教が受け継ぎ、この地域の一部をチステルチェンシ修道院に渡しました。土地を耕すのに多くの牛を持っていた修道士たちが、サルソ・マッジョーレで取れる塩を使って、牛から取れる大量の牛乳を長期保存出来ないかと作り出されたのがパルミジャーノ・レッジャーノチーズなのです。イタリアでは珍しく、夏でも湿度が高いというこの地域の気候はチーズを長期熟成させるのに最適でした。その上、保存をすると味が良くなるという一石二鳥のチーズでした。

「文献Enrico dall’Olio, Itinerari turistici della Provincia di Parma, vol.III ,Artegrafica Silvaより」

●製造方法
チーズは前日の夕方取った乳と朝取れたての牛乳を混ぜて作られます。前日取れた牛乳は、大きな平たいバットに入れられ、自然に浮かぶ脂肪分が取り除かれます。約1100Lの牛乳がコーン型の銅釜に入れられます。銅製なのは熱の伝導が良いからで、昔から変わらず銅が使われています。

釜の周りに蒸気で熱が加えられるようになっていて、温度を上げながら前日のチーズ作りで出た「ホエー」(乳清:乳から乳脂肪分カゼインなどを覗いた水溶液)を加えます。

写真上左Bバットから脱脂乳を鍋に入れているところ  写真上右C「ホエー」を加える

33度から35度にまで温度が上がったら、水に溶かしたレンネット(子牛の胃を乾燥したもの)を加えます。カザーロと呼ばれるチーズマイスターが凝乳の状態を確認し、「スピーノ」という丸い形のカッターで砕いて行きます。「スピーノ」というのはイタリア語でイバラという意味。昔はこのイバラの木で出来た道具だったので、今でもそう呼ばれています。

写真上左D凝乳の状態を確認    写真上右E「スピーノ」でのカッティング

かき混ぜるスピードを上げながら温度を上げて行きます。米粒の大きさになっているのを確認し、55度まで上げます。10から12分して、火を止め、凝乳が釜の底にゆっくりと沈むのを待ちます。

約1時間して沈んだ凝乳をパレットで取り上げ、半分に切って、麻布に入れて吊るします。(1100Lの牛乳から2つのパルミジャーノ・レッジャーノが出来ます) この段階で凝乳1つ約100kg。これを引き上げるのは力仕事。2人ペアで行われます。

写真上左F麻布に入れられ、吊るされた凝乳    写真上右G2つに切り分けられ、それぞれが麻布に入れて吊り下げられる

型枠に入れて2、3時間ごとにチーズからホエーが排水されるように、上下をひっくり返します。夕方、麻布から取り出し、パルミジャーノ・レッジャーノと点文字で書かれたベルトが巻かれ、カゼインプレートが置かれます。
ベルトには製造主番号、製造年月、そしてカゼインプレートには、工場の記録全てが遡って分かるようになっています。

  写真上左Hパルミジャーノ・レッジャーノの点文字の入ったベルト。上に工場番号、焼き印を押すための空間、そして生産月が入ります。    写真上右I排水段階のチーズ

さらに2、3日上下をひっくり返しながら排水が行われ、飽和状態の塩水プールに入れられます。(トップ写真)
約20日から25日間この塩水プールの後、チーズは貯蔵室に保管されます。

写真上左I保管室
写真上右J検査に合格したもののみに、この空間にパルミジャーノ・レッジャーノの焼き印が押されます。  

12ヶ月経つと、専門の検査員がチーズを金槌で叩き、内部に大きな割れ目、穴などが無い事を確認。この検査に合格したもののみがパルミジャーノ・レッジャーノの焼き印を押され、パルミジャーノ・レッジャーノチーズとして、世に出る事が出来るのです。

●優れた栄養価
パルミジャーノ・レッジャーノチーズは、カルシウムとリンが多く含まれています。カルシウムはリンと一緒に接種すると腸から吸収され易くなるという特徴があります。ですから腸の吸収力の弱い子供、老人にも最適の食品です。また熟成中に水分、糖、ラクトースが減って行きます。24ヶ月熟成のものではラクトースは完全に無くなるため、牛乳アレルギーの人も食べる事が出来ます。熟成中に脂質はアロマに変わり、プロテインはアミノ酸となり、旨味が出てきます。

●.グラーナ・パダーノとの違いは?
よくある質問として、パルミジャーノ・レッジャーノチーズに良く似たチーズ、D.O.P.グラーナ・パダーノとの違いは?
大きな違いとしては、
1)牛の食べ物。パルミジャーノの餌は「サイレージ(家畜用飼料の一種で、サイロなどで発酵させたもの)」が禁止されています。それに対して、グラーナ・パダーノはサイレージを与える事が出来ます。サイレージは発酵するため、リゾチームという添加物を加えなければチーズが出来ません。一方、パルミジャーノ・レッジャーノでは添加物は一切入れる事が出来ません。

2)パルミジャーノ・レッジャーノは、前日取りの牛乳と当日の牛乳で作られる事が義務づけられていますが、グラーナ・パダーノは、義務づけられていません。パルミジャーノ・レッジャーノの前日搾乳された牛乳が約10時間から12時間かけて自然に浮かぶ脂肪を取り除くのに対して、グラーナ・パダーノは搾乳されて5、6時間で脂肪を取り除くか、もしくは機械的に脂肪を取り除きます。

3)パルミジャーノ・レッジャーノの材料であるホエーは、前日のチーズ作りで出来たホエーを使う事が義務づけられていますが、グラーナ・パダーノでは義務づけられていませんので、生産者は、人口のホエーを使用する事も可能です

4)熟成期間。パルミジャーノ・レッジャーノの最低熟成期間は12ヶ月に対し、グラーナ・パダーノは9ヶ月。

●パルミジャーノ・レッジャーノ工場見学も
パルミジャーノ・レッジャーノ工場見学をオーガナイズしています。
ご希望の方は下記ブログ、またはHP http://akemi-nishimura.wix.com/sapore-italianoよりお問い合わせください。

西村明美(Nishimura Akemi) 
1996年よりパルマ在住。パルマという土地柄、食に関わる通訳の仕事が多く、ワイン好きが嵩じて、2003年イタリアソムリエ協会AISの資格を取得。2007年にパルマ人と結婚し、ますますパルマの伝統食品への興味が深くなり、パルマ伝統食品アドバイザーコース終了。2013年にパルミジャーノ・レッジャーノ協会のテイスターコース、パルミジャーノ・レッジャーノ紹介者養成コースを終了。
現在、パルミジャーノ・レッジャーノやプロシュット・ディ・パルマ、クラテッロなどの工場見学、研修や、アルマインターナショナルでソムリエコースを教えるペッシーナ先生のワイン講座、お料理教室をオーガナイズするかたわら、更に専門的にパルマの食品について勉強中。
ブログ  http://marchesell.exblog.jp/

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