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美味しい街「パルマ」だより
15 gennaio 2016

第8回  パルマ料理「カペッレッティ」のルーツを探る
Cappelletti
 

西村明美 
1. パルマ、ユネスコ「美食を創造する町」に登録
2015年12月11日、パルマが「CITTA’ CREATIVA PER GASTRONOMIA(美食を創造する町)」としてユネスコに登録されました。パルマには今までご紹介したパルミジャーノ・レッジャーノチーズ、プロシュット・ディ・パルマ(パルマハム)、クラテッロ、ポルチーニ茸、等という食材だけでなく、郷土料理も美味しく、イタリアの中でも美食の町として知られています。

2. カペッレッティ 作り
今回は、パルマのクリスマス料理、「カペッレッティCappelletti 」(又の名は「アノリーニAnolino」)のルーツを探ってみました。 パルマの家庭で、12月25日クリスマスの食卓に必ず載るもの。カペッレッティ(アノリーニ)。我が家でも12月になるとカペッレッティ作りが始まります。 

 トップ写真@パルマのクリスマス料理、「カペッレッティ」
写真上左Aストラコット(煮込み肉)     写真上右B煮込み肉の鍋の上にひび割れた皿を置き、ランブルスコが注がれる
写真上左C伸ばしたパスタの上にリピエノ(パスタの詰め物)を置く    写真上中D閉じる   写真上右E型抜き

レシピはパルマの下町に生まれた主人のお母さんからいただいたものです。たっぷりのパルミジャーノ・レッジャーノチーズ、馬のほほの肉、煮込み肉のスープがリピエノ(パスタの詰め物)に使われます。

写真上Fカペッレッティの出来上がり

パルマの町の中でも、下町は馬肉、またはロバの肉、山の手では豚、牛、仔牛、豚などの肉の煮込みの煮汁、郊外ではパルミジャーノ・レッジャーノのみと様々なレシピがあります。            

                             3. カペッレッティの起源とは
●アカデミア・バリッラの図書館で

そのルーツを探しに、パスタのバリッラ社が持つお料理学校、アカデミア・バリッラ Accademia Barillaの図書館に行ってきました。12000冊以上のお料理、食材に関する本を所蔵しています。

写真上左Gアカデミア・バリッラ図書館のカッペレッティを説明する数々の本    写真上右H同図書館カウンター

図書館を管理していらっしゃるジャンカルロ・ゴニッツィGiancarlo Gonizziさんにお話を伺いました。あらかじめお願いした訳でもないのに、私が読んだ何冊もの本の内容をまとめて、すらすらと説明してくださいました。

●カペッレッティの歴史
カペッレッティのパスタの中に入れる詰め物(リピエノ)には、ストラコット(肉を長時間煮込んだ物)またはその煮汁が入ります。この料理法は、西暦500年代後半にこのあたりを支配していたロンゴバルド族が使っていた料理法。動物を安全に食べる方法として、兵士達もよく使った料理法で、カペッレッティ(アノリーニ)の中身(リピエノ)は、おそらくこれが起源になっていると思われます。

また、伝統、習慣として、ひび割れた皿にワインを満たし、このひびからゆっくりゆっくり沁み込んだワインが煮込み肉に味を付けていきます。(注:写真B) 作り方は1000年以上の時間を経ている事から、地域、家庭によって様々に変化して来ています。

パルマ料理「アノリーニ」という名前は、既に1200年代の文献にクリスマス料理として見る事が出来ます。アノリーニに代表されるリピエノ(詰め物)入りのパスタはパダナ平原に多くある料理です。硬質小麦が穫れない事から、卵を入れたパスタを作るようになりました。卵を入れるという事で、肉と和えるのに合うパスタで、ラグー(ミートソース)とかラビオリのような中に詰め物をするお料理によく合うのです。1500年以前はフェッラーラ、マントバなどの王宮、そして1500年以降になると、パルマ公国のリッチなパスタとして発展していきました。

写真上I5種類のアノリーニレシピの入った本

●2つの名称「カペッレッティ?」「アノリーニ?」
パルマの人は、このお料理を一般的にカペッレッティと呼んでいるのに対し、パルマの町のレストランや、一部の間では、アノリーニであると固持する人もあります。なぜ2つの名前があるか。これは想像するしかないのですが、一つは語源カペッロ(cappello)帽子に由来するもの。帽子型をしているからとされています。

もう一つは穴はあいていないけれどアネッロ(anello)指輪型に由来するという説もあります。また、ラテン語でannlus羊。パルマはパルミジャーノ・レッジャーノをまだ多く作っていなかった1200年以前は羊を多く飼育していました。その頃は羊の肉を煮込んでパスタの詰め物として入れていたのかもしれません。復活祭パスクアの時期は羊の肉の煮込みを入れてアノリーニと呼び、冬に別の肉の煮込みを使った物はカペッレッティと呼ばれたのかもしれない。古い話で、想像に頼るしかないのです。

  写真上J美味しそうな写真入りのレシピ

4. パルマ人にとってのカペッレッティ
ひとつ、興味深いエピソディーとしてこんなお話があります。 1960年代、パルマ料理アカデミーのミアッツィMiazzi氏が、パルマの代表的日刊新聞 ガゼッタ・ディ・パルマ Gazzetta di Parmaにインタビューされました。クリスマス時期のアノリーニ(カペッレッティ)の理想的なレシピとして、同氏はある一つのレシピを紹介しました。が、その紙面の最後に(注)として、ミアッツィ氏の奥様が、「本当のアノリーニはこのレシピではありません。本物のアノリーニのレシピは・・・・・。」と細かくレシピを書いて、本人のサインを入れて掲載されたという事。

ミアッツィ家でアノリーニのレシピを巡って夫婦喧嘩の元ともなったのかもしれませんね。それほどパルマ人にとって、家庭のカペッレッティは一族の伝統の味なのです。



西村明美(Nishimura Akemi) 
1996年よりパルマ在住。パルマという土地柄、食に関わる通訳の仕事が多く、ワイン好きが嵩じて、2003年イタリアソムリエ協会AISの資格を取得。2007年にパルマ人と結婚し、ますますパルマの伝統食品への興味が深くなり、パルマ伝統食品アドバイザーコース終了。2013年にパルミジャーノ・レッジャーノ協会のテイスターコース、パルミジャーノ・レッジャーノ紹介者養成コースを終了。
現在、パルミジャーノ・レッジャーノやプロシュット・ディ・パルマ、クラテッロなどの工場見学、研修や、アルマインターナショナルでソムリエコースを教えるペッシーナ先生のワイン講座、お料理教室をオーガナイズするかたわら、更に専門的にパルマの食品について勉強中。
ブログ  http://marchesell.exblog.jp/

美味しい街「パルマ」だより・データ
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ボルゴ・ターロのフンギ・ポルチーニの情報
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