でも、、、ワインを味わうと、フラワー、青リンゴ、グレープフルーツ、ミネラルといった、ソーヴィニオンとは全く異なった香り、味わいも全く違います。そこで、エミリア州のソムリエ達が、ここ数年スペルゴラ種について研究し、「スペルゴラ」という品種についての本を出版しました。
そして2019年4月に行われたVINITALYで出版プレゼンテーションをしました。
●スペルゴラの栽培区域と沿革
スペルゴラは、レッジョ・エミリアの丘で栽培されています。11世紀ごろからの記録が残っている古い品種です。カノッサのマティルデ女伯が、グレゴリオ7世ローマ法王に献上したというもの。そして、16世紀には、フランチェスコ・メディチの妻であるビアンカ・カペッロが旅の記録として、「新鮮で泡のある美味しいワイン」として、スカンディアーノで飲んだスペルゴラのことを書いています。その当時の貴族達は、旅をしながら美食を探し、それが、一つのステイタスでもあったようです。
●発泡性ワイン、3つの方法
スペルゴラは、発泡性ワインとしては、@シャルマ方式。アウトクラーヴェという圧力調整のできるタンクで2次発酵させるもの。Aメトド・クラッシコというシャンパンと同様の瓶内2時発酵、そして「デゴルジュマン」と呼ばれる澱(おり)抜きを行ったもの。Bアンチェストラーレという昔からの瓶内2時発酵のみで、澱を残したままのもの。以上3つの方法で作られています。
●「アンナ・ベアトリーチェ」のスペルゴラ
個人的に、Aのメトド・クラッシコで作られたスペルゴラが好きなので、今回その中でも、最近お気に入りのスペルゴラをご紹介します。生産者名は「アンナ・ベアトリーチェ ANNA BEATRICE」。ルカ・メッソーリさんが、なんと一人で生産しています。
「アンナ・ベアトリーチェ」というのは、ルカ・メッソーリさんのおばあさんの名前で、農家として誇りを持っていたおばあさんに捧げる社名です。
写真下左B「スペルゴラ」の畑 写真下右C「アンナ・ベアトリーチェ」のカンティーナ
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ぶどう畑は、1950年代に植えられたスペルゴラとモスカート、マルヴァシアが少々、そして彼が2015年に植えたスペルゴラとランブルスコです。
収穫は、ルカのお父さんと二人で行い、圧搾も一人でするので、機械も小さなもの。
8ヶ月の間、タンクでの一次発酵の後、ボトリングして、1年から4年の瓶内二次発酵をさせ、デゴルジュマンします。
写真下D「アンナ・ベアトリーチェ」のロゴ
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今回カンティーナでいただいたものはスペルゴラ2017年、「ラ・ネッビア」。2018年デゴルジュマン(1年瓶内発酵)のもの。まずグラスに注がれると、私がいちばん最初に感じたのは、「シャンパンみたい」な香り!酵母の優しいエレガントな香りから、青リンゴ、グレープフルーツ、そして花の香りもします。アペリティーボとか、前菜に最高です。以前に飲んだ2015年の3年瓶内発酵のものは、それにプラスしてパスティッチェリアの香りもして、さらに味わいが深かったです。
写真下左Eテイスティングした、スペルゴラ2017年、「ラ・ネッビア」 写真下右F「パッシート」
●「パッシート」も生産
ルカは、発泡性のスペルゴラの他に「パッシート(干しぶどうから作った甘口ワイン)」も作っていますが、これも最高。甘すぎないから、甘いワインが苦手な私でも大丈夫。透明感のある、干しぶどうを感じさせるけど、しっかり酸味もあって、これも素晴らしいワインです。
●エミリア州のワインは「コスパ」のいいワイン
エミリア州のワインは、ここ最近まで一般的評価が高くなかったため、手に入りやすいお値段です。お気に入りのワインを見つければ比較的安価で、高クオリティーの、ものすごくコスパの良いワインに巡り会えます。
西村明美(Nishimura Akemi)
1996年よりパルマ在住。パルマという土地柄、食に関わる通訳の仕事が多く、ワイン好きが嵩じて、2003年イタリアソムリエ協会AISの資格を取得。2007年にパルマ人と結婚し、ますますパルマの伝統食品への興味が深くなり、パルマ伝統食品アドバイザーコース終了。2013年にパルミジャーノ・レッジャーノ協会のテイスターコース、パルミジャーノ・レッジャーノ紹介者養成コースを終了。
現在、パルミジャーノ・レッジャーノやプロシュット・ディ・パルマ、クラテッロなどの工場見学、研修や、アルマインターナショナルでソムリエコースを教えるペッシーナ先生のワイン講座、お料理教室をオーガナイズするかたわら、更に専門的にパルマの食品について勉強中。
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