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美味しい街「パルマ」だより
15 Luglio 2020

第21回
パルミジャーノ・レッジャーノの品質検査


西村明美 

●1年365日、休みなくチーズを生産
数多いイタリアチーズの中でも、「パルミジャーノ・レッジャーノ」は、一番名の知られたチーズではないでしょうか。

ヨーロッパEUから、DOP原産地保護指定を受けた食品であり、製造は指定地域内のパルマ、レッジョ・エミリア、モデナ、ボローニャはレノ川の左岸、マントバのポー川の右岸で製造され、最低熟成期間12ヶ月で検査員の検査を受け、合格したもののみがパルミジャーノ・レッジャーノとして販売されます。現在323軒の工房があり、1年365日、休みなくチーズを生産しています。

トップ写真@シャーレに入れられ品質検査を受ける「パルミジャーノ・レッジャーノ」 

●パルミジャーノ・レッジャーノ協会
レッジョ・エミリアにあるパルミジャーノ・レッジャーノ協会では、商品PRをしたり、世界中で偽物が販売されていないかなどの調査を行い、商品の品質も管理しています。

写真下左Aパルミジャーノ・レッジャーノ協会の建物  写真下右B協会レセプションの牛もマスク着用

1年間の特訓を経て、私は昨年から外部審査員として品質管理のお仕事をさせていただいています。協会内部、外部含め品質管理部で13人が審査しています。この審査では、パルミジャーノ・レッジャーノチーズを視覚、嗅覚、味覚、テクスチャーで品質を調査します。審査は9名以上で行って初めて信憑性があると言われています。

今年の3月のコロナウイルスによるロックダウンでこの調査も一時中断していましたが、5月中旬より再開いたしました。それでも、テイスティングルームは、間隔を置いて座らなければならない為、2つのグループに分け、時間をあけて、1つのグループが終わると殺菌し、次のグループが審査します。 まず、部屋に入る前、無臭の殺菌剤で、手を洗います。(これもコロナ後取り入れられました。) そしてテイスティングルームへ。


 写真下Cテイスティングルーム

●テイスティングの仕組み
通常1週間に1、2回、5社のチーズを審査します。24ヶ月熟成のもの、40ヶ月熟成のもの、山のパルミジャーノ、など、種類別に行われます。それぞれシャーレに入れられています。(トップ写真)

自分の名前とボックス番号を投入して、コンピューターに記録していきます。

まず、視覚。色、そして発酵による小さな穴が開いていたり、割り裂けていたりしないかを見ます。 ミクロオッキ(オッキオは目という意味のイタリア語です)と呼ばれる小さな針穴の様なものがあることも多いですが、それは欠陥にはなりません。直径2mm位からが欠陥の対象となります。

そして、嗅覚。パルミジャーノ・レッジャーノ独特のブロード(肉の出し汁)、ナッツ系の香り、茹で野菜や、牛乳系、熟成香など、香りの強さも登録していきます。

次は味、甘さ、塩味、酸味、苦味、辛み、の強さを登録した後、アロマ(口から鼻に抜ける香り)も入れていきます。

最後に、硬さ、柔軟さ、パルミジャーノ・レッジャーノの特徴である噛んだ時に崩れていく感触などのテクスチャー、口溶けの良さなどを記録します。

感覚を数字にして入れていくので、短時間、5社のチーズを15分ほどで検査します。

「全ての項目をチェックしたら、スライドで全員の数字を見て、平均の数字からはみ出ていることがないか(テイスティング能力も毎回チェックされます)、そして、製造者名が明かされて、品質について話あう。」というのが通常でしたが、コロナのため集まって話し合うことができなくなってしまったので、現在はメールで全員の検査結果が送られてきて、自己確認する様になりました。

●最後に  コロナウイルス影響下での取り組み
パルミジャーノ・レッジャーノは、歴史の古いチーズですが、世界中に広まっており、今回のコロナウイルスの影響で全てが止まってしまうという様な経験は全くありませんでした。冒頭にも書きましたが、生産工房は1日たりとも止めることができません。生産を止める事によって、工房内にあるバクテリアが変わってしまったり、前日の生産で出た乳清を使わなければならなくなることなどが理由です。

チーズマイスターがコロナにかかった時の対応など、協会は臨時で生産者を助けるシステムも作りました。輸出も一時的にストップがかかる国もあり、不安定な状況がまだ残っています。

イタリアのレストランやバールでは、テーブルの間隔を取ったり、完全予約制にしたりと客席を減らして頑張っています。コロナは、世界中の人々を不安にさせ、人々の生活に変化を及ぼしています。それでも、パルミジャーノ・レッジャーノなど、多くのイタリア食は、古くからの伝統に誇りを持ち、変わらぬイタリアの味を作っています。



西村明美(Nishimura Akemi) 
1996年よりパルマ在住。パルマという土地柄、食に関わる通訳の仕事が多く、ワイン好きが嵩じて、2003年イタリアソムリエ協会AISの資格を取得。2007年にパルマ人と結婚し、ますますパルマの伝統食品への興味が深くなり、パルマ伝統食品アドバイザーコース終了。2013年にパルミジャーノ・レッジャーノ協会のテイスターコース、パルミジャーノ・レッジャーノ紹介者養成コースを終了。
現在、パルミジャーノ・レッジャーノやプロシュット・ディ・パルマ、クラテッロなどの工場見学、研修や、アルマインターナショナルでソムリエコースを教えるペッシーナ先生のワイン講座、お料理教室をオーガナイズするかたわら、更に専門的にパルマの食品について勉強中。
ブログ  http://marchesell.exblog.jp/

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