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サルデーニャ「食」の旅
15 settembre 2009

第1回  サルデーニャ独特の伝統文化と「食」に惹かれて


文・写真/藤田智子 

サルデーニャSardegnaに恋して住み着くようになった私が「食」を巡って島の北から南、西から東をご紹介していきます。まず第1回目はサルデーニャ全体について。

●サルデーニャとは
日本ではまだまだマイナーな存在であるサルデーニャはよく南イタリアの部類に入れられていますが実際にはローマの西南に位置します。シチリアに次いで地中海で2番目に大きい島です。形はちょうどシチリアを縦にした感じの縦長で四国の約1,3倍程度の大きさがあります。

19世紀の半ばにイタリアの行政下に入るまではアフリカ、アラブ、スペイン、またイタリア本土の都市国家などに支配されていたため、いろんな国の文化が交錯し、それらがイタリア本土とは全く異なるサルデーニャ独特の文化となっています。例えば言葉ひとつとってみても、サルドSardo語(サルデーニャの方言)はイタリア語とは全く違う言語になります。さらにサルデーニャの中でもまた、地方により方言が異なり、スペインに侵略されていたアルゲーロAlghero辺りでは未だにカタラーニャ語が通じ、スペインの香りが色濃く残っていますし、ジェノバによって統治されジェノバからの移民の多いサンピエトロ島Isola di San Pietroではリグーリア語が使われ、パスタ・ジェノベーゼが郷土料理の一皿として残っています。

トップ写真:@毎年5月1日にカリアリで開かれる「聖エフィジオ祭」を飾る民族衣装の女性たち
写真左:Aサルデーニャの美しい海、右:B「ヌラーゲ」と呼ばれる石の古代遺跡

●美しい海と独自の文化の強い内陸部
サルデーニャ=美しい海のイメージが強く、確かに海の美しさは地中海一だと言っても過言ではないと思いますが、現在もなおサルデーニャの伝統文化が残っているのは山間の内陸部の方です。サルデーニャに初めて来られた方達が驚かれるのは山が多いこと。一番高い山でも1500mに満たないのですが、草木の生えていない岩山が多く、海岸沿いを走ると片側に海、片側に岩山、といった景色が続くところが多く、海・山ともに楽しめます。また、山ではトレッキングやロッククライミングなども盛んに行われています。

サルデーニャでは羊の数の方が人口よりも多いと言われるように産業の中では酪農業が多くを占めていましたが、1962年にアラブの富豪、アガ カーンによってコスタズメラルダCosta Smeraldaが造られた頃から観光業も発達してきました。コスタズメラルダは今や世界中で知られる有名高級リゾート地となりましたが、サルド人の中にはコスタズメラルダはサルデーニャであってサルデーニャではない、と言う人も多いのです。「造られた」観光地であり、サルデーニャ独自の伝統文化が見られないということでしょう。サルデーニャを知るには内陸部・ヌオーロNuoro県のあるバルバッジャBarbagia地方を訪れるのが一番だと思います。

島中、町中をほんの少し離れただけで、自然がいっぱい、広々とした大地に春はカラフルな花が咲き乱れ、その中を放牧された羊やヤギ、馬や牛たちがのんびりしている光景は珍しくなく、心癒されます。また、ヌラーゲNuragheと呼ばれる石の古代遺跡が至るところに点在していたり、町の遺跡が残っていたりと考古学好きの方が心躍らせる光景があちこちで見られます。

写真左:C各地でみられる羊の群れ、右:D「聖エフィジオ祭」の行列風景

●艶やかな民族衣装の楽しい各地の祭
サルデーニャは夏の観光地と思われがちですが、四季を通じて楽しめるところです。一年中暖かいようなイメージがありますが、内陸部では冬は雪が積もりますし、スキー場もあります。冬にはカーニバル、春秋には豊作祭り、その他宗教的なお祭りも一年を通じて多く、お祭り毎に伝統的な民族衣装を着け、独特のフォークロアダンスをする人々を見かけます。島でも町村によって異なる衣装、特に女性の衣装はほれぼれするほど艶やかです。それにサルデーニャの女性はエキゾチックな美人が多いですよー!

ところでサルドSardo人(サルデーニャ人)の気性ですが、他の州の人たちから頑固、石頭、と多々言われ、特に男性はその傾向があるようで、私は密かにイタリアの九州男児と呼んでいます(笑) 正義感が強く、イタリアのカラビニエーリ(国防省警察官)の中でも特に優秀な人材はサルド人だと言われています。 一方、男女ともホスピタリティ溢れる人情家の人が多く、お家に招かれると引き止められてなかなか帰れないほど!そのためスケジュールを立てていても容易に次に移れないのが玉に瑕・・・。

●海の幸・山の幸に恵まれた食の宝庫
さて、数あるサルデーニャの楽しみ方の中で何と言っても外せないのは"食"です。素晴らしい自然環境による天然の素材に加え、前述のように古くはいろいろな国に支配されていた歴史があるのでそれぞれの時代のそれぞれの国の食文化の良いところが集まって類稀なる食の宝庫となっています。海の幸、山の幸の両方に恵まれ、それらを引き立てる数多くのパン、パスタの種類。どれを取っても滋味深く濃い確固たる味わいがあります。

例えば海の幸ではマグロ、ロブスター、ウニ、珍しいところではホシザメ、イソギンチャク、etc。海の幸ではないですが、ボラのカラスミBottargaも有名ですし(日本では食べませんがボラ自体も白身のお魚で臭みもなく、美味しいです)、ウナギもよく食べます。一方、山の幸では羊を筆頭に豚、猪、牛、馬などあらゆる種類の肉類やその加工品(サラミやハム、ソーセージなど)。また、秋には数種類のキノコや栗。野生のアスパラガスやアーティチョークなどの季節野菜も見逃せません。
海の幸にしろ、山の幸にしろ、食べ方は至ってシンプルでそのまま焼いて食べることが多いですがそれも素材の良さがあるからこその調理法だと思います。

サルデーニャの食卓に欠かせないものの一つにチーズがあります。ペコリーノ・サルドPecorino Sardoの名で知られる羊のチーズやヤギのチーズ、赤牛のチーズ、etc。それらのチーズとよく合うのがサルデーニャ特産のハチミツ、特に苦みのあるコルベッツェロCorbezzolo (西洋ヤマモモ)のハチミツは独特の味わいがあります。

写真左:Eサルデーニャの代表的なパン「パーネ・カラサウ」
右:Fサルデーニャ独特のパスタ「フレーグラ」 

●多彩な小麦文化
加えて小麦文化の素晴らしさ!良質の硬質小麦(サルデーニャでは硬質小麦しか作っていません)のセモリナ粉から作られるパン、パスタの美味しいことと言ったら!
代表的なものはパンで言えばパーネ・カラザウPane Carasau。元々羊飼いが放牧のため遠征するのに持って行く保存食として生まれたパリッパリの極薄パンで楽譜パンという名の方が知られているかも。食感はポテトチップスのようで病みつきになる美味しさです。
パスタでサルデーニャらしいものと言えばフレーグラFregulaでしょう。クスクスによく似た粒々パスタで極々小のものから少し大粒のものまで用途によって使い分けます。手間がかかるので今ではなかなか家庭で作ることは少なくなったそうですが、フレーグラ作り名人の友人はTVを見ながら眠気覚ましに作るそう。彼女の家に行くといつも持ってお帰り、と持たせてくれるので、我が家には常にフレーグラがあります(笑)

また、伝統的なお菓子も忘れてはならない存在です。食後のお菓子としてはちょっと重いなと思いながらも結局いつも平らげてしまうフレッシュなペコリーノチーズを包んで揚げたラビオリをハチミツまたは砂糖をかけて食べるセアダスSeadas。お祭りに行くと必ず屋台で見かけるハチミツとナッツのヌガー、トローネTorrone。アーモンド粉をベースに作られる、食べるのがもったいないほど繊細で可愛い形の焼き菓子たち、etc。どれも思いの外、甘さが控えめなのでついつい後を引きます。

●美味しいワインと地ビール
その他、全体的にピリッと強い味わいのある良質のEXヴァージンオリーブオイル、"サルデーニャの赤い金"と呼ばれるサフラン、フランスと肩を並べるほど食べられているエスカルゴ、そしてあまり知られていませんが、アロマティコAromaticoと呼ばれるインディカ種の香り米などのお米作りも盛んです。

それら数々の食の宝には当然ながら美味しいワインがつきもの。カンノナウCannonauを代表とする赤ワイン、ベルメンティーノVermentinoで知られる白ワインはご存知の方も多いと思いますが、それ以外にも島独特のブドウの品種も多く、従ってワインの種類も豊富です。ワインに加え、サルド人たちはビール好き。特に地ビールのイクヌーザIchunusa (古代フェニキア人によってかつてサルデーニャはそう呼ばれていた)の消費量はワインよりも多いとか・・・??? アルコール類ではそれ以外にも独特のミルトMirto酒などの食後酒も数多くあります。

等々、サルデーニャの食に関して語りだしたら止まりません(笑) さて、最初に述べたように島の中でも方言が違うように"食"も各地方によってかなり異なります。(中には同じものでも呼び名が違うことも) 次回からは島を大きく5つに分けてそれぞれの地域の特色、食にまつわるお話などをご紹介していきます。それによってあなたもサルデーニャに恋するかも・・・。


サルデーニャ「食」の旅  著者プロフィール
藤田智子 Fujita Tomoko
Delizie d'Italia 代表。 

大阪市内で洋風家庭料理の店を4年ほど営んだ後、2000年よりピエモンテ・アスティ郊外の アグリツーリズモに住み込み厨房を手伝いながら家庭料理を学ぶ。 その後イタリア各地のアグリツーリズモを周り、家庭料理を習得する。2003年 前年に訪れたサルデーニャに魅せられ、ベースをサルデーニャに移す。 その後、サルデーニャと日本を行き来し、サルデーニャ文化を広めるため、 "食"をテーマに現地の料理教室や滞在のアレンジを行う。 また、企業向きの取材コーディネートなども手がけている。「 サルデーニャに興味のある方、お越しになりたい方はぜひご連絡下さい! 」
サイト: http://www.delizie-italia.com
Blog: http://delizie.blog50.fc2.com/
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