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サルデーニャ「食」の旅
15 marzo 2010

第4回 コスタズメラルダを含む島の北側〜北東
最高級リゾート地と伝統的郷土料理



文・写真/藤田智子 

サルデーニャのことは知らなくても高級リゾート地「コスタズメラルダCosta Smeralda」というのは聞いたことがあるのでは・・・? 今回は「コスタズメラルダ」を含む島の北側〜北東をご紹介します。

1.サルデーニャ第2の都市、サッサリ
今回はカリアリに次ぎサルデーニャ第2の都市、サッサリから出発しましょう。
海とオリーブの木に囲まれたなだらかな卓状地の上にある肥沃な農業地に位置するサッサリは昔からの伝統と新しい部分がうまく調和の取れた町です。

トップ写真:@ポルト・ロトンドで行われる「イカ祭り」での子供たちのゲーム
写真左:Aサッサリ名物のカタツムリ、右:Bトマトソースで煮込んだカタツムリ料理

●「ろうそく祭り」とカタツムリが有名
サッサリで有名なのが毎年8月14日に行われるロウソク祭り(La Festa de li Candelieri)。
もともとサッサリ人がペストの災いから開放されたことを聖母マリアに感謝して行われた行事だそうで木製で作られた巨大なロウソクをカステッロ広場からサンタマリアベルテム教会の祭壇下まで運ぶ宗教行列です。その独特な奉納の形は昔から変わらず毎年、大衆の代表者・巡礼者・左官・石工職人・菜園家・洋裁師・靴職人・農民・家具職人の9つのグループに分かれ、それぞれにリボンなどでカラフルに飾り付けたローソクを支え、身体をリズミカルに踊るように動かしながら運んで行きます。

あまり知られていませんが、サルデーニャはフランスと争うほどカタツムリを大食する原産地で、特にサッサリ圏ではカタツムリの殻の遺跡が見つかっているほど大昔からあらゆる種類のカタツムリが食べられており、カタツムリを使った一皿は伝統的な料理となっています。そのためロウソク祭りを始めお祭りなどの行事には主にトマトソースで煮込んだカタツムリ料理が並びます。

また、豚足ならぬ子羊の足を食べるという習慣がサッサリで生まれ、それが島全体に広がりました。 それは昔サッサリには子羊の皮なめし工場がたくさんあり、足先だけが残ったため、それをきれいにし、湯がいて辛みのあるニンニクソースで煮込んだものだそうです。私もまだ味わったことがないんですが。
う〜ん・・・苦手かも (?) 他にロバも伝統的な食材として使われます。

写真左・右:CD黒白縞模様の美しいサッカルジャ教会

2.サッサリから内陸をオルビア方面へ
サッサリから国道597号線に入り、オルビア方面に10Kmほど進むと道路脇の田園に唐突に現れるのがサンティッシマ トリニタ ディ サッカルジャ(Santissima Trenita di Saccargia)教会。サルデーニャのロマネスク様式の教会の中でも最高傑作と言われており、ピサ様式の影響だと言われている玄武岩の黒・石灰石の白の縞模様が大変美しく、目を惹きます。12世紀頃にカマルドリ会修道士により建てられた修道院の後に建てられた教会で隣りには高さ41mの鐘楼が建っています。また、後陣には13世紀の聖人のフレスコ画が残っています。"サッカルジャ"の語源は教会正面の柱廊に象られた"サッカ アルジャ"(Sa acca argia)-斑点のある雌牛と言う説と柱頭の牛の像から"サ バッカルヅァ"-牛舎と言う説などがあり、今だに解明されていません。

もう少しオルビア方面に進んだところにある町、オスキリ(Oschiri)。ここではカリアリ周辺と島の南地方でアッセミーニの郷土料理としてご紹介した"サ パナーダ"が同様に郷土料理として有名です。アッセミーニではウナギを使ったものが伝統的(羊肉を使うものもありますが)ですが、オスキリのサ パナーダは子牛・子羊・豚肉などの肉類を単一または混ぜ合わせて使うのが伝統的。8月にはパナーダ祭りも行われます。アッセミーニ、オスキリの人たちは共に当然のようにうちの方が美味しい!と言いますがさてさて??、機会があれば食べ比べてみて下さいねー(笑)。
写真左:Eベルキッダのワイン博物館、右:Fカステルサンド郊外にある象の形に侵食された岩

●ベルキッダのワイン博物館
さらにオルビアに向って走るとワイン博物館があるベルキッダ(Berchidda)に到着。町から少し離れた見晴らしの良い高台に博物館はあり、ワインの歴史や作り方などを見学後、ズラッとワインボトルが並んだ棚の中から試してみたいワインを2種類ほど試飲させてくれ、購入することも出来ます。 この辺りは日本でも有名なDOCGワインのヴェルメンティーノ ディ ガッルーラの生産地でベルキッダの近くのモンティ(Monti)では毎年8月の第一日曜日にヴェルメンティーノ祭りが行われ、ワインはもちろん郷土料理も味わえ、音楽あり、踊りあり、の賑やかさで年々見物者が増えています。

3.美しい海沿いを眺めながら東側に
さて、ここまではサッサリから海沿いではなく、少し中に入った道を通って島の東側に出る経路でしたが、ここからはちょっと遠回りですがもうひとつの美しい海沿いを眺めながら東に向う経路をご紹介します。

サッサリからは少し西側に北上、そして前回の最終目的地、西海岸の最北端スティンティーノからは東に進むとイタリア本土のジェノバとの間にカーフェリーが行き来をしている港、ポルトトレス(Porto Torres)があり、ここから東に向って美しい海を眺めながら海岸沿いをドライブ。ほどなくカゴ細工で有名なカステルサルド(Castelsardo)が見えてきます。12世紀にジェノバの貴族により創設されたときにはカステルジェノベーゼ、その後スペインに侵略されたときにはカステルアラゴネーゼと名前を変え、1776年にようやく今のカステルサルドの名前になりました。カステルサルドの郊外の道路脇(!)には象の形に侵食された岩があり、観光名所となっています。

●島の北東 サンタ・テレーザ・ガッルーラ
再び美しい海沿いを進み、一気に島の北東の先端の港町、サンタ テレーザ ガッルーラ(Santa Teresa Gallira)を目指します。ここから臨むトルコ石色〜エメラルド色に輝く海の美しさと言ったら!
ボニファーチョ海峡に面し、フランス領のコルシカ島との間にはフェリーが運航しています。歴史上、この辺りはジェノバと交易があったのでジェノバで有名なファリナータ-ひよこ豆の粉を水で溶いてクレープのように薄く焼いたもの-も未だによく食べられています。

サンタ テレーザ ガッルーラを今度は南東に少し行くと熊の形に侵食された岩、カポ ディ オルゾ(Capo d'Orso)があることで有名な港町パラウ(Palau)があり、ここからフェリーでマッダレーナ諸島(Arcipelago della Maddalena)に渡りましょう。

写真左・右:GHマッダレーナ諸島の海

●優雅な港町 マッダレーナ島
マッダレーナ諸島はマッダレーナ・カプレラ・サント ステファノ・スパルギ・ブデッリィ・ラッゾリィ・サンタ マリアの7つの諸島からなり、諸島の県庁のあるのがマッダレーナ島でサルデーニャの中でも一番美しい景色が見られると言われています。マッダレーナ島からはイタリアを統一した英雄"Giuseppe Garibaldi"のお墓があるカプレラ島(Caprera)へは細い陸続きで渡れます。マッダレーナ島には著名人の別荘や貸別荘があり、優雅な港町という感じですが、一方、軍の基地にもなっています。

4.コスタズメラルダへ
さてさて、パラウに戻り、南下、いよいよコスタズメラルダに入ります〜。
昔からのサルデーニャのイメージ-トルコ石色の海色、純白の砂浜のリアス式海岸-が続く島の北海岸、町で言うとアルツァキェーナは1962年からアラブの大富豪アガ カーンにより地中海一の観光地"コスタ ズメラルダ"(エメラルド海岸)として開発され、世界中にその名が轟くようになりました。サルデーニャの人々にとっては"コスタ ズメラルダ"はつくりもの、サルデーニャであってサルデーニャではない、とも言われますが、それにより観光業が発達し、人々の生活が変わったとうのは否めません。

●ポルト・チェルボでVIP気分に
コスタズメラルダの中でも中心となっているポルト チェルボ(Porto Cervo)。有名著名人、VIPたちの別荘や豪華なリゾートホテル、ミラノのモンテナポレオーネ通りにあるようなブランド店が立ち並んでいます。ちなみにここにあるブティックではセールがないとか・・・?ここで買われる人たちは値段なんて関係ない、ってことなんでしょうね〜。夏場になると一気に宿泊料金も2倍3倍に上がり、ますます近寄りがた〜くなってしまうコスタズメラルダのホテルですが、お茶だけでも出来るところもあるので(エスプレッソ一杯もお高いですが!) VIP気分を味わいに行くのは良いかも、です。
写真左:Iポルト・ロトンドの「イカ祭り」の大きなフライパン、右:Jイカ祭りでふるまわれる揚げ立てイカフライ

●イカ祭りの楽しいポルト・ロトンド
コスタズメラルダの外れにあるポルト ロトンド(Porto Rotndo)ではここ何年か11月1日の諸聖人の祝日にはイカ祭りというイベントが行われており、サンマルコ広場ででっか〜いフライパンでイカフライを揚げてパンとグラスワインかお水がついて5EURで振る舞われます。バンドが入り音楽が流れる中、バザーやちょっとした子供たちのゲームがあったり、と賑わいます。ちなみにこのイカは基本的にオルビア湾で獲れたものです〜。

サンマルコ広場近くでぜひ見て帰っていただきたいのは2009年に新しくなった教会。ガラス張りで外からも中の様子が見えるようになっているんですが、木彫師マリオ チェロリ(Mario Ceroli)による内装は教会のイメージを覆すような斬新なデザインでよく見るとたくさんの人型が円形に並んでいます。教会が出来て一番最初に知り合いがそこで結婚式を挙げたんですが、サルデーニャの昔からの伝統的で重厚な教会で挙げる結婚式ももちろん素晴らしいですが、ここでの式はすご〜くモダンで素敵でした!う〜ん、やっぱりこの辺り、コスタズメラルダはコテコテのサルデーニャとは違うってことでしょうかね。

写真左:K料理自慢マンマの「スカンピ(手長海老)」、右:L「ムール貝料理」

ポルト ロトンドでは知り合いの料理自慢のマンマが予約すれば美味し〜い魚料理を食べさせてくれるのでたまに行くんですが、食材はほとんどがオルビア湾で獲れたもの。例えばスカンピ(手長海老)、ムール貝、タコ、石鯛、オマール海老、前述のイカ、etc・・・。
また、魚介料理以外で伝統料理としてはズッパ ガルレーゼ(Zuppa Gallurese)-堅くなったパンにブロードを染み込ませたっぷりのペコリーノチーズをのせてオーブンで焼き上げた一品で、"ズッパ"と聞いてスープを思い浮かべて頼むととまったく違うものが出て来てびっくりするかも・・・。 ドルチェではアッチュレッディ(Acciuleddi)-復活祭に作られる小麦粉にラードを入れて作った生地を三つ編みに編んで油で揚げ、ハチミツを絡めた、カリントウに似たお菓子や薄い生地にアーモンドペースト砂糖・卵白などを合わせた中身を入れ、砂糖衣で仕上げるコプレッタス(Copulettas)などがあります。

●コスタズメラルダの玄関口オルビア
コスタズメラルダの玄関口となっており、オルビア-テンピオ県の県庁でもあるオルビア(Olbia)。オルビア港からはチビタヴェッキアやリボルノへのカーフェリーが出ており、オルビアのコスタズメラダ空港はカリアリに次ぐ国際空港で、最近改装され広くモダンになりました。その中にはサルデーニャの工芸品でもあるコルクのお店があり、バックや靴、洋服までありました!

写真左:Mコルクの木、右:N野生のフィコ・ディインディア

●コルクの産地カランジャヌス
そう、島の北、ガッルーラ地方は特にコルクで有名で車で走っていると皮を剥かれたコルクの木を目にすることが多々あります。中でもオルビアの西に位置するカランジャヌス(Calangianus)はワインボトルのコルク栓製造の国内シェアが90%にも昇ります。また、イタリアで唯一コルク職人になるための学校がある町です。
カランジャヌスと並びコルクで有名なテンピオ パウザニア(Tempio Pausania)はオルビアと共にオルビア-テンピオ県の県庁でコルク以外に花崗岩でも知られている町です。また、リンバラ山の斜面の花崗岩の泉から湧き出ているミネラル含有の高い硬水も有名でペットボトルに詰めて売られています。

●野生のフィコ・インディア
コルクの木と共によく見かけるのが野生のフィコ ディインディア(Fico d'India)-ウチワサボテンの木。
島中にあるんですが、この辺りでは特に多いようです。夏になると黄色〜朱赤の実がなり、手袋をして刺に気をつけてもぎ取り、皮を剥くと中はパッションフルーツのように種がびっしりと入った実。甘酸っぱいかと思いきや、よく熟していると甘〜いんですが、その見分け方が難しい・・・。色が濃いからよく熟してる、と言うワケでなないそうです。この実は生で食べるだけでなく、煮詰めて、煮詰めて〜、モストコット(ブドウの絞り汁を煮詰めたもの)のようなジャムのようなものを作ることもあり、ドルチェなどに使います。

●興味深い郷土料理と食習慣
サッサリ〜ガッルーラ地方を代表する島の北〜コスタズメラルダを含む北東をほんの一部ですがご紹介してきましたが、この地方の伝統的な食材と言えば豊富な海の幸を思い浮かべます。が、海辺から少し内陸に入ると起伏のある斜面、広大な緑の大地が広がる中、昔から"stazzi"と呼ばれる畑や酪農、ワイン作りなどに従事する人々のための白い家々が点在しており、彼らの食べる料理が郷土料理として今尚残っています。前述のズッパ ガルレーゼ然り、羊やロバの料理然り・・・。

一方、魚介の煮込み料理などが考案されたのは最近になってからで、市場に出せないような魚介を集めて作り出したのが始まりだと言われています。
カリアリ周辺と島の南地方のときにサンティアンティオコでは貝から獲れる海のシルクが有名、と書きましたが、その昔はガッルーラの海岸でもその巨大な二枚貝-GnaccareまたはPinna Nobilis-を獲って食用にしていたそうです。かなり深い海底に生息するこの貝は大きなウチワサボテンのようにも見え、生でサラダにして食べると最高の美味だったとか。ただ、残念ながら現在では保護にため獲るのを禁止されています。

また、この地方の人たちは甘い味が好きで料理にはよくハチミツを使います。一番驚いたのはレタスやチコリなどのサラダ野菜にハチミツをつけて、と言うか、葉っぱを一枚広げてクルンと容器のようになったところにハチミツを入れて(!)、そのまま食べる、というもの。私はやっぱりフツーにオリーブオイルをつけて食べる方が好きでしたけど・・・

コスタズメラルダが出来てからというもの、一躍ヨーロッパ有数の最高級リゾート地として有名になり、世界中の美味しいお料理も楽しめるようにもなりましたが、伝統的な郷土料理はいつまでも残していって欲しいですね〜。


サルデーニャ「食」の旅  著者プロフィール
藤田智子 Fujita Tomoko
Delizie d'Italia 代表。 

大阪市内で洋風家庭料理の店を4年ほど営んだ後、2000年よりピエモンテ・アスティ郊外の アグリツーリズモに住み込み厨房を手伝いながら家庭料理を学ぶ。 その後イタリア各地のアグリツーリズモを周り、家庭料理を習得する。2003年 前年に訪れたサルデーニャに魅せられ、ベースをサルデーニャに移す。 その後、サルデーニャと日本を行き来し、サルデーニャ文化を広めるため、 "食"をテーマに現地の料理教室や滞在のアレンジを行う。 また、企業向きの取材コーディネートなども手がけている。「 サルデーニャに興味のある方、お越しになりたい方はぜひご連絡下さい! 」
サイト: http://www.delizie-italia.com
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