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シチリアの祭りを訪ねる旅
15 Novembre 2015

第 5 回
ピアッツァ・アルメリーナ
ノルマン人のパリオ祭   



  文と写真  桜田香織 


●町の起源と発展に寄与したノルマン人を讃える祭り
皆さんはピアッツァ・アルメリーナPiazza Armerinaという、シチリア内陸に位置する町をご存知でしょうか?ここには古代ローマ皇帝の別荘があり、世界遺産となっている素晴らしいモザイクで有名なので世界中から人が集まります。しかし街からは3キロ程離れている所にあるため、実際ピアッツァ・アルメリーナの街へ足を踏み入れる外国人観光客はほぼ皆無と言っても良いでしょう。所がここで何とも楽しいお祭りがあります、毎年8月中旬に行われる「ノルマン人のパリオ祭」がそれです。  

写真トップ@槍投げ競技の参加者達が、馬に乗って登場。 写真上A最終日会場となったスタジアム、遠くに大聖堂が見える。B中世の衣装に身を包んだ市民達による行進、勝者ノルマン人

この町には古代から人が住んでいましたが現在の町の起源と発展は12世紀、それまでシチリア島を支配していたアラブ人と戦い勝利を得た「ノルマン人」に帰すことができると言われています。その様子を再現し、ノルマン人を讃えるのが「パリオ祭」ですが、それだけではありません。「パリオ」というのには2つの意味があり、1つは競馬レースの意味、もう1つは競馬の勝者に与えられる聖母像を描いた旗の意味です。3日間に渡って行われるこのお祭りの一部は、町を4つの地域に分け、それぞれから4人ずつ選出された男性が馬上競技で競い合い、勝者となった地域が聖母像の旗を1年間保管するという、市民にとってとても大切なレースで構成されています。    

  写真下左C敗者アラブ人に扮する市民   写真下右D楽隊の演奏。

●中世衣裳の市民が旗(パリオ)を持って行列
まずは初日(8月12日)、中世の衣装に身を包んだ市民が守護聖人である聖母の描かれた旗(パリオ)を持って行進します。主役は当時の町の行政官とノルマン軍隊の指導者であるルッジェーロ伯爵、最後に行政官がレースに参加する合計16人の騎士達を祝福します。    

  写真下左E楽隊の見事なパフォーマンス。  写真下右F戦いの場面を踊りで見せてくれる。 

●ノルマンによる支配を告げる歴史的場面を再現
2日目はルッジェーロ伯爵が町の城門の鍵を受け取る日、アラブ人の支配が終了してこの日からノルマン人による支配が始まることを告げる歴史的な日。夕方から大聖堂前の広場で行われるのですが、楽隊の演奏、アラブ人とノルマン人に扮した人の戦いの場面、踊りなどなど、3時間近くもかかる長いイベントでした。   

写真下左Gノルマンの指導者、ルッジェーロ伯爵の登場。  写真下右H城門の鍵。
写真上左I町の行政官から城門の鍵を受け取るルッジェーロ伯爵。  写真上右J敗者アラブ人がルッジェーロ伯爵に忠誠を誓う場面。

いつでもギリギリに動くシチリア人が開始2時間前から場所取りの人で賑わいますから、どれほどみんなが大切に思っているかが伺われます。私も真夏の炎天下で汗だくになりましたが、衣装の素晴らしさ、色、音、迫力に圧倒され、時間を感じさせません。終了後はぐったりでしたが(笑)。

●馬上から槍投げで点数を競う祭りのハイライト
3日目はこのお祭りのハイライト。前日の大聖堂前からスタジアムへと場所を変え、赤、青、黄色、緑と、それぞれの地域の色をまとった騎士と馬が登場し、4人一組のチームが馬上からの槍投げで点数を競い合います。観客も自分の地域が勝つようにと祈りながら、真剣なおもむきです。   

写真上KL競技に使う的、アラブ人に扮した人形を使う所が面白い。

競技は4種類あり、簡単なものから徐々に難度が上がり、高得点を出せばその地域の人達からの歓声が、的を外せば他の地域の人達から歓声が上がる・・・、やる方も見る方もかなり体力が必要です。結果、今年は緑チームが勝利を得て、大切な聖母像の描かれた旗を1年間所持する権利を手にしました。

●イスラムからキリスト教への復帰を祝う
この一件あまり関係が無いように思われる「ノルマン人のシチリア島征服と槍投げレース」、何故お祭りはこのような形になったのでしょうか?これにはとても大切な意味があります。アラブ人支配時代、もちろん島にはイスラム教が入り込みました。当時は支配者が変われば改宗も義務付けられ、拒否すれば殺されることもあったほどです。シチリア島のアラブ人支配者は非常に頭が良く比較的緩やかな政治を行い、改宗した者には減税させるという処置を取った為多くのキリスト教信者があまり辛い思いをせずに残りましたが、それでも主導者はイスラムです。そこへノルマンが入り勝利を得たということは、島が再びキリスト教の手に戻ったということなのです。  

  写真上左M勝者緑チームの笑顔。   写真上右N聖母像が描かれた旗、パリオ。向かって左は教会に保存されている。 オリジナル、右は1年間緑チームの所属する地域が保管する旗。

●マリア様一色に染まる8月の3日間
現在の町の起源になると言われているノルマン人の登場、そして再び島がキリスト教になったこと、だからノルマン人を讃え、そのキリスト教の中でも最も愛されている「聖母」を守護聖人に持つピアッツァ・アルメリーナの市民にとって、町大切なパリオ、すなわち聖母像の描かれた旗を誰が所持するか。これらが全て繋がってこのお祭りが成り立っているのです。  

写真上左O観客も自分の地域のシャツの色      写真上右P思ったよりもプレスが参加、もちろん地元のテレビ局も。

1952年から毎年8月に行われ今年が63回目、12日から14日の3日間のお祭りが終わると翌日15日は「聖母マリア昇天の日」で祭日。イタリア中町のお祭りは宗教と切り離せない物がほとんどだと実感し、そのなかでこの町では8月中旬はマリア様一色に染まりました。  

写真上Q近くの家のベランダからも見物




著者プロフィール
桜田香織(Sakurada Kaori)

東京都出身。日本航空の国際線客室乗務員として勤務していた頃からイタリアに魅せられ、「いつかイタリアへ・・・」と夢見ながらイタリア語を学ぶ。休職して渡伊、フィレンツェに8年住んだ後縁があってシチリア島へ移り、パレルモ在住。通訳、TVコーディネーターをするかたわら趣味の写真にも力を入れ、2013年にはパレルモ市のイベントで写真展を実現。夫と連名で出版した「Settimana Santa in Sicilia-Cerca di Collesano」(シチリアのイースター週間・コッレザーノの聖金曜日)でも写真を手掛ける。シチリアの料理に深い関心を持ち、レシピだけではなくその歴史のリサーチを続けている。2014年度、NHK TVイタリア語テキストに連載を持ち、シチリアの魅力を伝えている。

シチリアの祭りを訪ねる旅 データ
Dati
■ピアッツァ・アルメリーナPiazza Armerina  
(エンナ県 ピアッツァ・アルメリーナ村 Comune di Piazza Armerina )

ノルマン人のパリオ祭  Palio dei Normanni
http://www.paliodeinormanni.it/
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