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シチリアの祭りを訪ねる旅
15 Maggio 2019

第 11 回
メッゾユーソの
「赤仮面」カーニバル    



  文と写真  桜田香織 


●カーニバルの宗教的意味は?
日本の皆さんが「カーニバル」と聞いて、真っ先に頭に浮かぶのはあの有名なリオのカーニバルでしょうか?あの派手な衣装を着て飲まず食わずで踊りまくり、死者も出るというお祭り。しかしカーニバルはただ楽しむだけのお祭りではありません。きちんとした宗教的な意味があるのです。キリストが十字架にかけられて、その三日後に復活した日を祝うイースター(復活祭)をご存知の方は多いかと思いますが、その前にキリストは40日間山にこもって断食を行った事に由来して、カトリック信者達は復活祭の前40日間、肉断ちをする習慣がありました。  

写真トップ@今年のマストロ・ディ・カンポの「赤仮面」を付けた新しい主人公
写真下左Aメッゾユーソの村   写真下右Bメイン広場に面する場所に、ギリシャ正教の教会(手前)とカトリックの教会(奥)が並んで建てられているという、面白い風景

現在ではそれ程(少なくともシチリアの私の周りでは)厳格に行われてはいませんし、全く気にしない人の方が多いくらいです。さて、短絡的に申し上げるとこのカーニバルは40日間の断食の前に大いに食べて楽しもうという発想から生まれています。確かに日本語に訳すと「謝肉祭」、文字通りお肉に感謝をしてそのあとの断食に備えるといった考え方です。    

写真下Cマストロ・ディ・カンポのカーニバルのポスター  

●パントマイム的なお芝居のカーニバル
前置きが長くなってしまいましたが、イタリアでもあちこちの町や村でカーニバルが行われています。一番有名なのはヴェネチアのカーニバルだと思いますが、大抵子供達が仮装して町を歩いたり、大きな装飾された山車が出たりというのが主流です。しかしこの「メッゾユーソMezzojuso」という村のカーニバルは少々異なります。パレルモから約40kmの内陸に位置するこの村は15世紀に多くのアルバニア人の移民が辿り着き、独自の文化が発展しました。ここのカーニバルはパントマイム的なお芝居で構成されています。  

写真下左D赤い仮面  写真下右E仮面を脱いだ去年のマストロ・ディ・カンポが、交代の為に仮面を持って行進
写真上左F今年のマストロ・ディ・カンポ   
写真上右G今年のマストロ・ディ・カンポに仮面を付けさせ、新しい主人公誕生

   
●赤いお面の男性がお妃様に恋をするストーリー
不思議な赤いお面を被った「マストロ・ディ・カンポ Mastro di Campo」と呼ばれる男性がお妃様に恋をし、最初は彼に見向きもしなかった彼女ですが次第に恋に落ちます。お妃を手に入れようと試みるマストロ・ディ・カンポに対して、王様は彼を遠ざけようと必死、激しい戦いが行われます。何度か命を落としそうになったマストロ・ディ・カンポですが、最後には王様を倒してお妃様を手に入れる・・・といった、おとぎ話にありそうなストーリーです。

写真下HIお妃様に恋をし激しく戦う「マストロ・ディ・カンポ」

●見所は村人100人が扮する登場人物
何と言っても見所は村人扮する100人を超える登場人物、30頭余りの馬がそれ程広くないメインの広場に次々と登場すること。伯爵、男爵に扮装した人、農民に扮装した人逹が馬に乗って歩き回ったり走り回ったり。   

写真下左J村人扮する登場人物、子供達   写真下右Kサラセン人に扮する住民
写真下左L王様とお妃様    写真下右M宮廷ダンスもあり

柵が設けてあるとはいえ最前列の見物客との距離はほぼないのも同然です。何故かサラセン人や時代を超えてガリバルディ隊まで現れるので、見ていて多少の混乱を感じることも確かなのですが、まぁそれはお祭りのご愛嬌ということでしょうか。              

●馬の上からキャンディやサラミを見物客に
そしてこの登場人物たちが馬の上からキャンディ、サラミ、パンなどを見物客に投げ与えるのです。これは物語とは関係がなく、単にカーニバルだから・・・という理由だそうですが、皆一切れのパンを手に入れようと必死で手を伸ばすのが見ていて笑えました。広場の真ん中で行われている物語を追うよりも、投げかけられるサラミやパンの方に興味が集中しているような感じも受けました。食べるものに弱いシチリア人です。   

写真下NO貴族や農民に扮した人達が、パンやキャンディなどを配る      

●15世紀の実話をもとにした物語
そもそもこの物語は15世紀に起こった実話だそうで(実話ではお妃様はマストロ・ディ・カンポに恋しなかったそうですが)、メッゾユーソでは200年も続くカーニバルのやり方です。主役を務める男性は例外を除いて毎年変わり、午前中に前年の主役から赤い仮面を譲り受ける儀式があります。何故赤い仮面なのかというと、マストロ・ディ・カンポはとても醜い男性だったそうで、その醜さを表しているとか。

●からくり人形のような主人公の動き
画像だけではお見せできないのが残念ですが、この主人公の動きがまるでからくり人形のようなコミカルな動きでとても面白いのです。このマストロ・ディ・カンポに選ばれるということはとても名誉な事だそうで、決め手はこのコミカルな動きが出来るかどうかポイントだとか。確かにストーリーは4時間半という長さ、その間中激しい動きを続ける彼はかなりの体力を必要とします。  

  写真下PQ広場で動き回るマストロ・ディ・カンポ

演じる方も大変ですが、身動きがとれないほどの混雑した中で、ずっと立ちっぱなしで見ている方も結構大変であります。そしてその間中パンやサラミも配り続けられます。同じようなシーンがなんども繰り返されますが、村の人達は飽きる様子もなく、雑談しながら楽しそうにしていました。  

写真下RS見物する村の人々

●村中が一体となって行うお祭り
人口3千人強の小さな村では、村中が一体となって行うお祭りによく出会います。準備にも時間をかけ、当日は出演者も見学者もそれぞれの楽しみ方で参加するのです。村人に愛されているこの一風変わったカーニバル、この先も途切れる事なく続いて欲しいと感じました。


著者プロフィール
桜田香織(Sakurada Kaori)

東京都出身。日本航空の国際線客室乗務員として勤務していた頃からイタリアに魅せられ、「いつかイタリアへ・・・」と夢見ながらイタリア語を学ぶ。休職して渡伊、フィレンツェに8年住んだ後縁があってシチリア島へ移り、パレルモ在住。通訳、TVコーディネーターをするかたわら趣味の写真にも力を入れ、2013年にはパレルモ市のイベントで写真展を実現。夫と連名で出版した「Settimana Santa in Sicilia-Cerca di Collesano」(シチリアのイースター週間・コッレザーノの聖金曜日)でも写真を手掛ける。シチリアの料理に深い関心を持ち、レシピだけではなくその歴史のリサーチを続けている。2014年度、NHK TVイタリア語テキストに連載を持ち、シチリアの魅力を伝えている。

シチリアの祭りを訪ねる旅 データ
Dati
■メッゾユーソ
(パレルモ県 メッゾユーソ市 Comune di  Mezzojuso)

■メッゾユーソの「マストロ・ディ・カンポ」カーニバル
Carnevale Il Mastro di Campo a Mezzojuso
https://www.siciliainfesta.com/



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