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シチリア「食」の旅
15 dicembre 2009

第1回 古代フェニキア人から伝わる
トラーパニの手作りの塩



文・写真/佐藤 礼子 

皆さんこんにちは、そして初めまして!地中海最大の島、シチリア島の最西端の街トラーパニより、シチリア西部の食文化をお届け致します。
まず第1回目は「古代から伝わる塩作り」についてです。

●「白い小山」の続く大塩田地帯
トラーパニから南下してマルサラに向けて走る海沿いの道に、7月〜8月にかけて塩の白い小山を見ることができます。そう、ここ一帯は大塩田地帯。ここでは、古代から伝わる製法で、今もなお"手作りの塩"が作られています。

トップ写真:@塩田の風景(広大な塩田の中にある風車)
写真左・右:AB塩の収穫風景(炎天下で真っ黒に日焼けした男たちが塩を収穫する)

塩の歴史は古く、古代地中海の民、フェニキア人から伝わると言われます。シチリアは地中海のど真ん中に位置するという立地条件から、多くの民族からの侵略・支配を受けてきました。フェニキア人は現在のチュニジアあたりに居住し、高い文明を持っていたことで知られます。
2千年以上前の話、当時、トラーパニ近辺を支配していたフェニキア人達はトラーパニからマルサラにかけての一帯が、"風"、"気温"、"湿度"という塩作りには欠かせない3大要素が揃い、その上、地中海はマグネシウムやヨードなどの天然成分が豊富に含まれている、こんな事実に目を付けました。そして、条件が揃った理想の地での塩作りを始めたのです。塩作りが始められたのは紀元前の話ですので、そこからもフェニキア人の高水準の文明が伺えます。

写真左:C大きな塩の山をつくる
右:D瓦を載せている最中(一つ一つ手で瓦を載せていく。塩の山が瓦で覆われると、冬がやってくる)

●2000年前とほぼ同じ製法で今も
2千年前に始まった塩作りですが、マルサラに近い塩田「Ettore e Infersa(エットーレ エ インフェルサ)」では今も変わることなくほぼ同じ製法で作られています。
塩作りが始められるのは3月20日前後。海にもっとも近く海面と同じ高さの一番目の塩田に、海水を地中海の風を利用した風車を回して引き込みます。(現在は電動のポンプを使用)一番目の塩田で蒸発して塩分を増した海水は、「Acqua Madre(アックア マードレ=母なる水)」呼ばれ、5月中旬頃、2番目の塩田に引き込まれます。ここで更に水分を蒸発させて塩分が高まった海水は、6月下旬頃、収穫用の3番目の塩田に移されます。(3番目の塩田は収穫の為、一番陸地に近い場所にあります)そして、7月、最終的に結晶化した塩が6〜10センチ程度になったら収穫がはじまります。塩水を移動させるのは、次々と海水を引き込んで沢山の塩を作るため。

写真左:E冬の塩田、右:Fまるでクリスタルのように白く輝く塩の結晶。

●ほのかな甘みの漂う最高の調味料
Salinaio(サリナイオ)と呼ばれる塩職人がスコップで塩を収穫し、まず小山が作り上げられ、さらに、機械を使って大きな山となります。塩の収穫は9月下旬まで続き、その後、雨・風・埃を防ぐためのテラコッタをかぶせられ(10月から)、一冬を越し、えぐみやアクが取り除かれます。
こうして手間と時間をかけて作られた塩の結晶はとても美しく、そして、ほのかにな甘さが漂う最高の調味料となるのです。

「サラリー」の語源は「塩=Sale(サーレ)」から由来することはご存知でしょうか?古代の兵士への給料は当時栄養源として希少価値であった塩で払われていたそうです。その事から「給料」の事を「サラリー」と呼ぶようになったのです。
塩田は車がないといけない場所にあり個人でアクセスするのは至難の業。私の主催するラ ターボラ シチリアーナでは、塩田の見学ツアーを行っています。塩田ののどかな風景を見ながら、古代のロマンに浸ってみてはいかがでしょう?
詳しくはこちらのサイトをご覧下さい → http://www.tavola-siciliana.com/kengaku/index.html

シチリア「食」の旅  著者プロフィール
佐藤 礼子 Satoh Reiko
ラ ターボラ シチリアーナ代表

東洋英和女学院大学卒業後、イタリア料理人の道を目指しイタリア料理店に入店。カメリエーレ、イタリア料理人を経た後、イタリアの郷土菓子に興味を持ち独自に研究を始める。その後、大手企業での洋菓子商品開発、店舗企画などを経験。イタリア食文化を勉強する為、2004年イタリアに渡る。スローフード マスターイタリアンクッキング ディプロマ取得後、シチリアにて研修を重ねる。10年を越える日本での食の仕事の経験と、1年半に渡るイタリアでの修行を終えて、2004年シチリア州トラーパニで「ラ ターボラ シチリアーナ」を設立。シチリア料理教室、食に関するコーディネート、通訳を手掛ける。又、各種メディアに執筆活動も続ける。
サイト: http://www.tavola-siciliana.com/index.html
Blog: http://trapani.exblog.jp/
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