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シチリア「食」の旅
15 febbraio 2010

第2回
イギリス人の作ったシチリアの伝統、マルサラワイン



文・写真/佐藤 礼子 

「マルサラワイン」、皆さん、耳にされたことはありますか?「あ〜、料理酒ね。お菓子にも使うわね。」という声が聞こえてきそうですが、いやいや、マルサラワインはここトラーパニ地方では列記とした「飲む為のワイン」なのです。

●原型はワインにアルコールを添加したお酒
このマルサラワイン、実は偶然の賜物として作られたのです。1700年代後半、イギリス商人ジョンウッドハウスはシチリア西岸部を航海中、アフリカ大陸からの風、シロッコを受けた悪天候に見舞われ、急遽マルサラというシチリア西岸部の街に避難することとなりました。ここのレストランで偶然飲んだ地ワイン、これが当時イギリスで流行していたポートワインやマデラワインに似ていたため、イギリスで売れるのでは?と考えました。しかし、当時の航海は数ヶ月と長期に渡り、そのまま持って帰ってはワインが腐ってしまう、、、それではアルコールを添加してはどうだろうか?そう、ワインにアルコールを添加したもの、これがマルサラワインの原型なのです。(日本ではアルコールを添加することを「酒精強化」と呼びます) 

トップ写真:@ワイナリー内部 ・・・ ずらりと並ぶオークの樽
写真左:Aマルサラ2種:左がスペリオーレ、右がヴェルジネ、若干の色の違いがわかりますか?
右:Bマルサラワイン用ブドウ ・・・ マルサラワインには主にグリッロ種のブドウが使われます

●創業1837年のフローリオ社
マルサラワイン最大手のワイナリー、Frolio(フローリオ)社を訪ねてみました。Frolio社はビンツェンツォ・フローリオによって1833年に創業。それまでイギリス人が牛耳っていたマルサラワイン市場にイタリア人として始めて参入したのでした。フローリオ一族は当時、シチリア王をしのぐとも言われるほどの財を持ち、ワインのみならず、造船、陶器、マグロ産業など様々の事業を展開していました。創業当初はそれまでイギリス人独壇場であった市場になかなかうまく入り込むことができなかったFrolio社ですが、「甘口マルサラワイン」という新しいタイプのマルサラワインを発売した頃から、売り上げは急激に伸び、一気に「マルサラの雄」となるのでした。Frolio社の酒蔵を見学すると、ズラリと並ぶ木の樽。眠っている樽の数はイタリアでも一位、二位を争う。
写真左:C蒸留器 ・・・ 昔実際に使っていた添加用のアルコールを作るための蒸留器
右:D昔のボトル: 時代によって色々なボトルが作られていました

●オークの樽で熟成が鉄則
マルサラワインの原料は、@白ワインA白ワインから蒸留した添加用アルコールBブドウジュースを1/3になるまで煮詰めたモスト コットCブドウジュースに蒸留したアルコールを加えたミステッラ(甘みとアルコールの調整)。この4つの材料から、fine(フィーネ)、speriore(スペリオーレ)、riserva(リゼルヴァ)、versine(ヴェルジネ)と4種のマルサラワインが作り出されます。(製法はFrolio社のもの)イギリス人が最初に作ったマルサラワインの原型は、@とAを混ぜ合わせただけのシンプルなもの。(ヴェルジネ)

酒精強化ワインであることに加え、もうひとつのマルサラワインの大きな特徴は木の樽で寝かせること。最初に4つ(又は2つ)の材料を合わせた後は、必ずオークの樽の中で熟成されます。ワイナリー内に一歩足を踏み入れると、強烈に漂う甘〜いマルサラワインの香り。それだけで夢を見させてくれそうです。
辛口のヴェルジネは、マグロの燻製や魚のアンティパストと一緒に食前酒として、甘口のスペリオーレはカンノーリやカッサータなど、強烈な甘さのシチリア菓子と共に、、、これがシチリアでの流行。

私の主宰するラ ターボラ シチリアーナでは、マルサラワインの通訳付き見学ツアーも行なっています。ご興味のある方はホームページ(http://www.tavola-siciliana.com)をご覧下さい。

シチリア「食」の旅  著者プロフィール
佐藤 礼子 Satoh Reiko
ラ ターボラ シチリアーナ代表

東洋英和女学院大学卒業後、イタリア料理人の道を目指しイタリア料理店に入店。カメリエーレ、イタリア料理人を経た後、イタリアの郷土菓子に興味を持ち独自に研究を始める。その後、大手企業での洋菓子商品開発、店舗企画などを経験。イタリア食文化を勉強する為、2004年イタリアに渡る。スローフード マスターイタリアンクッキング ディプロマ取得後、シチリアにて研修を重ねる。10年を越える日本での食の仕事の経験と、1年半に渡るイタリアでの修行を終えて、2004年シチリア州トラーパニで「ラ ターボラ シチリアーナ」を設立。シチリア料理教室、食に関するコーディネート、通訳を手掛ける。又、各種メディアに執筆活動も続ける。
サイト: http://www.tavola-siciliana.com/index.html
Blog: http://trapani.exblog.jp/
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