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シチリア「食」の旅
15 aprile 2010

第3回
イタリアで唯一、手作りクスクスが食せる街 トラーパニ



文・写真/佐藤 礼子 

シチリアの最西端の街、トラーパニはイタリアで唯一、「手作りのクスクス」が食せる街として知られます。イタリアでクスクス?とちょっと不思議に思われるかもしれませんが、トラーパニからチュニジアの首都チュニスまで約200キロ、トラーパニの端っことアフリカ大陸の一番近い場所を結ぶと約100キロ足らずというのだから、不思議はありません。

●クスクスの発祥は北アフリカ
クスクスはもともとチュニジアやモロッコなど北アフリカで発祥した北アフリカの主食。9世紀〜10世紀にかけて、シチリアの多くの地域はイスラムの支配下にありました。トラーパニも当時はイスラム支配下にあり、特にチュニジアに近かったことから手作りクスクスが伝わってきて、それが現在も尚、トラーパニの伝統食文化として根付きました。

トップ写真:@クスクス トラパネーぜ・・・ たっぷりの魚介のスープを染み込ませて食べます
写真左:A挽き割り粉 ・・硬質小麦の超粗挽き
写真右:Bクスクシエラ ・・パオラさんがお姑さんから譲り受けたという年代もの

クスクス トラパネーゼ(クスクス トラーパニ風)は3方向を海で囲まれたトラーパニを象徴するかのように魚介スープをタップリ染み込ませて汁だくで頂くのが定番。レストランでは通年食すことができますが、一般家庭ではキリスト教の祝日や日曜日などに手作りクスクスは作られます。

「クスクスを食べる時は朝早くから準備しないとね。」
と語るのは、トラーパニ近郊に住むクスクス名人、パオラさん。                  

●新鮮な魚のスープに染み込ませた味は格別
クスクス準備は、まずは魚介のスープを作るために市場で新鮮な魚を選ぶことから始まります。使う魚はカサゴ、ホウボウ、鯛など白身の魚が中心。数種類の魚を混ぜるのがベスト。魚を買ったら次はいよいよクスクス作り。クスクスの材料は硬質小麦の挽き割り粉。大きな平べったいお皿(またはボウル)に挽き割り粉を少量の水を加えながらひたすらグルグルと混ぜていくと、、、あら不思議。粉と粉が引っ付いて直径5ミリくらいのダマができ始めます。これがクスクス。一度に大量に作ることができないため、少しずつ少しずつ根気よく作っていきます。そして、クスクスを作り終わったらオリーブオイル、塩、コショウなどで調味をしてから、「クスクシエラ」と呼ばれるクスクス専用の蒸し器で最低1時間半(!)蒸します。蒸したてのクスクスは、まるで炊き立てゴハンのように美味しいのですよ。
写真左:Cクスクスを作る・・・ 粉と水を少しずつ足しながら混ぜます
写真中:D新鮮な魚・・・ トラーパニの魚市場ではすぐ近くの漁港から運ばれた新鮮な魚を購入することができます 写真右:Eクスクシエラで蒸す・・・ 1時間半、根気良く蒸します

さてようやく食べれる、、、と思ったら、いやまだまだ。蒸し上がったクスクスにタップリの魚介のスープを染み込ませて、フタをして、更に毛布でくるんで休ませること最低30分、、、、。そして、ようやく食す事ができます。新鮮な魚介から出たスープをタップリと吸ったクスクスはしっとりとしていて本当に美味。最初にトラーパニで食べた時、あまりの美味しさにビックリ。今まで私が思っていたクスクスの印象を大きく覆された事を覚えています。

●クスクス名人パオラさんの料理教室も
原材料がパスタ同様、硬質小麦なので北アフリカではクスクスはパスタに分類されます。そして、
イタリアで乾燥パスタを作るように、北アフリカではこれを乾燥させて保存食とします。ちなみに日本で販売されている箱に入ったインスタントクスクスは、蒸し上がったものを乾燥させたもの、だそうです。

私の主宰するラ ターボラ シチリアーナでは、クスクスを作り続けて50年、クスクス名人のパオラ ターボラ シチリアーナさんから直伝で教えてもらえるクスクス教室を開催しています。
ご興味のある方はホームページ(http://www.tavola-siciliana.com)をご覧下さい。

シチリア「食」の旅  著者プロフィール
佐藤 礼子 Satoh Reiko
ラ ターボラ シチリアーナ代表

東洋英和女学院大学卒業後、イタリア料理人の道を目指しイタリア料理店に入店。カメリエーレ、イタリア料理人を経た後、イタリアの郷土菓子に興味を持ち独自に研究を始める。その後、大手企業での洋菓子商品開発、店舗企画などを経験。イタリア食文化を勉強する為、2004年イタリアに渡る。スローフード マスターイタリアンクッキング ディプロマ取得後、シチリアにて研修を重ねる。10年を越える日本での食の仕事の経験と、1年半に渡るイタリアでの修行を終えて、2004年シチリア州トラーパニで「ラ ターボラ シチリアーナ」を設立。シチリア料理教室、食に関するコーディネート、通訳を手掛ける。又、各種メディアに執筆活動も続ける。
サイト: http://www.tavola-siciliana.com/index.html
Blog: http://trapani.exblog.jp/
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