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シチリア「食」の旅
15 giugno 2010

第4回
地中海の古代マグロ漁 "マッタンツァ"



文・写真/佐藤 礼子 

私が住むイタリア・シチリア島の最西端の街、トラーパニでは5月〜6月にかけて、魚市場で日本ではまず見ることが出来ない「生マグロ」を眼にする事ができます。

●紀元前11-12世紀の壁画にも「まぐろ」の絵
ここトラーパニは「マグロ」で知られた街。かつては、トンナーラと呼ばれるマグロの加工場が近くの街を合わせ4つあり、カラスミ、オイル漬けなどのマグロ加工品が盛んに作られていました。ファビニャーナ島にあったトンナーラはマルサラワインの最大手Frolio社(フローリオ社)の手によって経営されていて、初めてマグロ缶が作られたことでも知られています。マグロは数千年も前から地中海全域で食べられていた、と言われます。実際に、ファビニャーナ島近くにあるレヴァンツォ島では、紀元前11〜12世紀のものと思われる壁画にマグロらしき絵が描かれています。

トップ写真:@トラーパニの魚市場:トラーパニの魚市場で売られるマグロ。マグロは部位ごとに、となりにはカジキも
一匹ドンと置かれています。 写真左:A船:かつてマッタンツァ漁に実際に使われていた船。 右:B網:マグロを海面に引き上げる為の網。とても太い縄が細かく編まれ、重量級のマグロが暴れても破けないくらい頑丈に出来ています。

●4隻の船でマグロを追い込むマグロ漁
トラーパニのマグロと言えば、古代から伝わるマグロ漁"マッタンツァ"が有名。4隻の船で四角く陣取りマグロを追い込んでいき、仕掛けておいた網を引っ張り上げます。マグロが海面に浮いてきたところを銛で刺すのですが、船で囲まれた海("死の部屋"と呼ばれます)はマグロの血で真っ赤に染まるそうです。かつては、マグロ漁の為に命を落とす人もいたほど過酷な漁だったと言われています。しかし、マグロの習性を功名に利用して追い込んでいくマッタンツァ漁が、古代から行なわれていたとは驚きでもあります。かつては1万匹以上も収獲していたと言われるマッタンツァ方式のマグロ漁ですが、現在はマグロの数が減ったことで1年に1〜2回しか見ることが出来なくなってしまいました。去年は結局一度もマッタンツァ漁は行われず、今年も行われるか否か、、、。 私がトラーパニに来た年2004年には数回行われていたのですが、伝統が消えてしまうのは寂しい感じがします。

写真左:Cマッタンツァの風景:近年のマッタンツァ漁の風景。
大きなマグロを船にあげるのに男が3人がかり。壮絶な漁であることが想像できます。
写真右:D赤身と尻尾:尻尾の部分は赤身と比べると取れる量が少ないため、希少価値とされています。脂分は少なめ。
写真左:Eマグロの精巣:Lattume(ラットゥーメ)と呼ばれ、フリットにして食べます。トロ〜リとした食感が美味。
写真右:F心臓:意外と大きいマグロの心臓。新鮮なせいか、今にも動きそうな感じが怖かったです。


●魚市場に大胆に並ぶ部位ごとの「生マグロ」
さて、今年も魚市場にマグロを見に行きました!地中海海域でとれるのは「黒マグロ」。部位ごとの大きなまな板の上に並べられています。大きく分けると、「赤身」、「トロ」、「しっぽ」の3部位に分けられています。その他、マグロの精巣(白子)や心臓なども並んでいる事も。「マグロは僕らの間では"海の豚"と呼んでいるんだよ。つまり、捨てる部位はなく、全てを食べるんだ!」と語る漁師のおじさん達。マグロは大きなナタのような包丁をトンカチで叩きながら捌かれていきます。トラーパニの魚市場では一般の人もマグロを購入することが可能。好きな部位を好きな分だけ購入できます。(20ユーロ(約2500円)/キロ)日本では貴重なトロですが、イタリア人的には「赤身」も「トロ」も同じ扱い。返って脂肪分の少ない赤身の方が好まれるくらいです。

写真左:Gトロ:日本で言えば「大トロ」に当たるくらいでしょうか。これでも20ユーロ/kgです。
写真右:Hトロのお刺身:口のなかでトロ〜ンと溶けました。

●お刺身にしても美味な新鮮なマグロ
地元の人たちは「その部分を何枚ちょうだい。」と言いながらお買い物。1cmくらいの厚さに切るのが基本。「どうやって食べるの?」と聞くと、「グリルにしてレモンを絞って食べるのよ!」という人がほとんど。もちろん「生で、、、」なんて人はいません。先日、魚市場で状態の良いマグロを発見。トロを一枚、赤身を一枚買ってお刺身にしてみたのですが、、それはそれは美味しかったこと、、、。

私がトラーパニで主宰するシチリア料理教室でも、この時期は生マグロを使った料理のレッスンが可能です。生のマグロを食べてみたい!という方、是非レッスンにご参加ください。
■ラ ターボラ シチリアーナのホームページ → http://www.tavola-siciliana.com/

シチリア「食」の旅  著者プロフィール
佐藤 礼子 Satoh Reiko
ラ ターボラ シチリアーナ代表

東洋英和女学院大学卒業後、イタリア料理人の道を目指しイタリア料理店に入店。カメリエーレ、イタリア料理人を経た後、イタリアの郷土菓子に興味を持ち独自に研究を始める。その後、大手企業での洋菓子商品開発、店舗企画などを経験。イタリア食文化を勉強する為、2004年イタリアに渡る。スローフード マスターイタリアンクッキング ディプロマ取得後、シチリアにて研修を重ねる。10年を越える日本での食の仕事の経験と、1年半に渡るイタリアでの修行を終えて、2004年シチリア州トラーパニで「ラ ターボラ シチリアーナ」を設立。シチリア料理教室、食に関するコーディネート、通訳を手掛ける。又、各種メディアに執筆活動も続ける。
サイト: http://www.tavola-siciliana.com/index.html
Blog: http://trapani.exblog.jp/
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