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シチリア「食」の旅
15 settembre 2010

第5回
青りんご?青いトマト?爽やかなオリーブオイル
ヴァッリ トラパネージ D.O.P



文・写真/佐藤 礼子 

トラーパニの街を車で走り抜け、街を出るとすぐに目に入ってくるのが一面のオリーブ畑。国道沿いにも無数のオリーブの木の葉がシチリアの眩しい太陽にキラキラと輝いています。

●北アフリカから伝わったオリーブの栽培方法
この世に存在する唯一の"果実"を絞って作ることができる植物性油脂であるオリーブオイルは、何千年も前から現在と大きく変わらない製法で作られ続けています。紀元前6世紀ごろにはパレスチナ(現在のシリア)では既にオリーブオイルが作られ壷にオイルを貯蔵していた、といわれます。当時の用途は「食」ではなく、体に塗ったり(美容)、薬(健康)として使用されていたようです。オリーブオイルが食され始めたのは紀元前2世紀ごろの古代ギリシャ時代といわれます。その後、ギリシャ、中東、エジプトで既に栽培されていたオリーブの木は、前2世紀にはシチリアや北アフリカに、前1世紀にはイタリア南部、プロヴァンス、マルセイユにとギリシャ人を通して地中海全域に広がっていきました。トラーパニ近郊にはおそらく北アフリカからオリーブの栽培方法と精油方法が伝わってきたことでしょう。

トップ写真:@たわわに実るオリーブ
写真左:Aオリーブ畑 Valli Trapanese地区のオリーブ畑 標高200m地帯からの絶景
写真右:Bオリーブ3種 左から、ノッチェッラーラ種、ビアンコリッラ種、チェラスォーラ種

●トラーパニのDOPオリーブ「ヴァッリ・トラパネージ」
トラーパニ近郊のオリーブ畑にはValli TrapanesiD.O.P(ヴァッリ トラパネージ D.O.P)という称号が与えられています。D.O.Pは「統制原産地呼称」と日本語では訳され、欧州連合の定めた農産物および食品に対しての与えられる商標です。D.O.Pの認定を受けている製品はすべて、管理された生産地および生産者のもとで作られなければなりません。オリーブは1000を越す種があると言われていますが、Valli Trapanesi D.O.Pで認定されているのは、「ビアンコリッラ種」、「チェラスォーラ種」、「ノッチェッラーラ種」の3種。それぞれ、葉の色と形、身の色と大きさ、熟成時期などが異なり、もちろん出来上がったオリーブオイルの香りや味も異なります。

●食材と料理でオリーブオイルを使い分け
ビアンコリッラ種は、とても爽やかなフレッシュなオリーブの青い香りがする軽めのオイル。実の色も鮮やかな明るいグリーンです。軽めのあっさりしたオイルなので魚料理にとってもよく合います。チェラスォーラ種は、ビアンコリッラ種に比べると、オリーブの青い香りをしっかりと感じ、辛味も少しあります。青りんごの香りがする!とも言われています。実の色はビアンコリッラ種より深いグリーンをしています。豆料理との相性は抜群で、パスタやサラダにも気軽に使える日常使いのオイルです。ノッチェッラーラ種はビアンコリッラ種よりもチェラスォーラ種よりもオリーブの青みをしっかりと感じ、辛味も強いです。こちらも青りんごに加え、青い昔のトマトの香りがします。グリルした肉にグルリと一回しかけただけで、おもてなしの一皿もグッとグレードアップすること間違いなし。

オリーブオイルはどれが良いとか悪いとかではなく、どんな食材でどんな料理を作るのか、、、料理によって使い分けるのが「通」の使い方です。シチリアのオイルは「太陽が強いから味もすごく強いのだろう、、、」と思われる方が多いかもしれませんが、実際にはとってもスッキリした爽やかなオリーブオイルが多く、食材の味を殺さない、料理に使いやすいオリーブオイルが多いです。
写真左:C収穫1:一粒一粒手で収穫します
写真右:D収穫2:少し高いところはこんな熊手を使って手を伸ばして収穫。それでも届かないところは梯子を使います。

●1年を通して丹念に育てられたオリーブの実
1年に1回のオリーブの収穫は、トラーパニ近郊のオリーブ畑は標高が低いため(0m〜200m程度)とても早く、10月中旬には始まるオリーブ農園も少なくありません。収穫は年に1度ですが、良質のオリーブの実を育てるには、剪定や害虫対策など、1年を通して畑を注意して見る事が必要となります。そして1年に1回陽の目を見る絞りたてのエキストラバージンオリーブオイル。日本だと高価なものとなりますが、彼らの仕事を1年を通してみていると、その価格にも頷けます。

●「オリーブの木 オーナー制度」をスタート
去年から、トラーパニの敏腕オリーブオイル生産者のアルベルト・ガッルッフォ氏と私で面白い企画を始めました。それは「オリーブの木 オーナー制度」。アルベルト氏が所有する農園の一本一本の木を皆さんでオーナーになっていただき、年に1度、皆さんのお好きな名前が入ったのオリジナルボトルに入れてご自宅までお届けするという企画です。アルベルト氏は「美と健康を日本の皆さんにお届けしたい」、という願いから、美の女神"Venus(ヴェヌス)"、健康の神"Salus(サルス)"の名前を付けました。「シチリアに自分のオリーブの木が一本、、、」と想像するのもとってもロマンチックです。2009年から試験的にスタートしたこの企画、昨年お申し込みされた方からは大好評を頂き、2010年から本格的に募集を開始しました。ご興味のある方、ホームページをご覧下さい。

■オリーブの木オーナー制度 Venus et Salus → http://www.venusetsalus.com/


シチリア「食」の旅  著者プロフィール
佐藤 礼子 Satoh Reiko
ラ ターボラ シチリアーナ代表

東洋英和女学院大学卒業後、イタリア料理人の道を目指しイタリア料理店に入店。カメリエーレ、イタリア料理人を経た後、イタリアの郷土菓子に興味を持ち独自に研究を始める。その後、大手企業での洋菓子商品開発、店舗企画などを経験。イタリア食文化を勉強する為、2004年イタリアに渡る。スローフード マスターイタリアンクッキング ディプロマ取得後、シチリアにて研修を重ねる。10年を越える日本での食の仕事の経験と、1年半に渡るイタリアでの修行を終えて、2004年シチリア州トラーパニで「ラ ターボラ シチリアーナ」を設立。シチリア料理教室、食に関するコーディネート、通訳を手掛ける。又、各種メディアに執筆活動も続ける。
サイト: http://www.tavola-siciliana.com/index.html
Blog: http://trapani.exblog.jp/
http://www.japanitalytravel.com
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