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シチリア「食」の旅
15  febbraio 2012

第13 回
山の上の中世の街
エリチェに伝わる修道院菓子



  文・写真/佐藤 礼子 

トラーパニの近郊、地中海のすぐ近くにから聳え立つ標高750mの頂上にある街エリチェ。そこでは古くから伝わる修道菓子が現在も作られています。

●シチリア名産アーモンドのお菓子
かつて修道院はリキュール、石鹸、お菓子などを作ってそれを売る事で修道院の運営費をまかなっていました。お菓子は当然、その土地にある食材を使って作られるわけなのですが、シチリアでは「アーモンド」を使った修道院菓子が多く作られていました。それはシチリアがアーモンドの名産地だから。

写真トップ 写真@本物の果物と見間違うほど精巧につくられたお菓子 フルッタマルトーラ(イチゴ)
写真左Aエリチェのお菓子屋「マリア グラマティコ」  写真右B店内: 細長い店内には所狭しとアーモンド菓子が並びます


実は私がシチリアにやってきた理由の一つが「エリチェの修道院菓子が学びたかったから」。エリチェで作られる修道院菓子達はシンプルながらに非常に美しく、そしてどことなくかわいらしい。でもアーモンド菓子があまり知られていない日本ではそれを勉強する事はほぼ不可能でした。ならば「現地に行って勉強しよう!」と思ってエリチェの街にやってきたのが2005年の事でした。私がエリチェに数多くあるお菓子屋さんの中から選んだのは「マリア グラマティコ」。ここはマリアおばあちゃんが幼い頃に修道院で学んだお菓子を作っているエリチェの老舗。    

写真左C「パスタレアーレ」:美しく飾られらたマジパン菓子、写真中D「マリア グラマティコ」 マリアおばあちゃん:現在も工房でお菓子を作り続けます、 写真右E「パッリーナ」:火を通さない生アーモンド菓子 手前はオレンジ風味、奥はピスタチオ風味


●エリチェの老舗「マリア グラマティコ」
マリアグラマティコの狭い入り口をくぐって店内に入ると、まずはフンワリと甘〜い魅惑な香りが漂います。そして細長いショーケースには大きなお皿に山盛りになったアーモンド菓子の数々。エリチェの修道院菓子はアーモンドをベースにシチリアのレモンやベルガモットから抽出した天然の香りを加えたものが中心で、アーモンド、砂糖、卵白、アロマ、、、と材料はこれだけなのに、これほどのバリエーションを作ることができるのか、、、と最初は驚きました。

その中でも私のお気に入りはパスタレアーレ。「王様のお菓子」という名のこのお菓子、名前の通りすごく手の込んだもの。滑らかな真っ白なマジパンを四角、三角、丸など、色々な形の型でくり抜き、その間にチェードロ(シチリアの巨大レモン)のコンフェチュールを挟みます。その上に同じくマジパンでお花や葉をかたどった飾りを乗せていきます。一晩休ませたら、最後にグラス(糖衣)をかける、、、。これを作るときは工房で働くスタッフ全員が2日がかりで作る、というまさに「王様のお菓子」と言っても過言ではないほどのお菓子です。

●本物の果物とみちがう「フルッタ マルトラーナ」
そしてここで忘れてはいけないのが入り口を入ってすぐ左にあるアンティークの棚に並んだフルーツ達、、、あら?本物かしら?と一瞬思ってしまうほど精巧に作られているのは「フルッタ マルトラーナ」。これは元々はパレルモにあるマルトラーナ教会に付属する修道院で作られていた修道院菓子でしたが、今ではシチリア全土に波及しシチリア名物とまで言われるようになりました。  


写真左Fフルッタマルトラーナ(アンズ)     写真右Gフルッタマルトラーナ(栗)


シチリア島内数々のお菓子屋さんでこのフルッタ マルトラーナを見てきた私ですが、何と言っても断トツで美しいのがここマリアグラマティコ。オレンジ、洋ナシ、イチゴ、レモン、マンダリン、栗、、、、精巧なのは形だけではなく、フルーツの染みや色のグラデーションも本物のように再現されています。「食べられるのですか?」と良く質問されますが、全てマジパンで出来ているのでもちろん食べられます。

●伝統を伝えるマリアおばあちゃん
私がこのお店で働きたい、とマリアおばあちゃんにコンタクトを取った時、

「あなたみたいに若い子が外国からやってきて、私達の伝統を学んでくれるのはとても嬉しい事だわ。さもないと伝統が途絶えてしまうから。ノートとペンを持ってきて、しっかりと私達の伝統を勉強するのよ。」
と、優しく私を迎えてくれた事は今でも忘れる事ができません。ここシチリアでも土地の伝統を継ごう、という若者が年々減っていて、このままでは伝統が途絶えてしまう、、、と心配だといつも語っていたおばあちゃんは、私がシチリアの食文化を日本に紹介する仕事を始めた時も、とっても喜んでくれました。

写真中Hエリチェのお菓子屋さん「マリア グラマティコ」のショーウインドウ

「エリチェで美味しいお菓子屋さんは?」と地元の人に聞くと必ず返ってくる答えが「マリア グラマティコだよ」。シチリアに行く機会があったら是非、山の上の街のお菓子屋さんに寄ってみてください。美しい宝石のようなアーモンド菓子に出会う事ができます。

<店舗データ>
Pasticceria Maria Grammatico
パスティッチェリア マリア グラマティコ

住所: Via Vittorio Emanuele 14-Erice, TP
Tel: 0923 869390

■ ラ ターボラ シチリアーナ
http://www.tavola-siciliana.com/



シチリア「食」の旅  著者プロフィール
佐藤 礼子 Satoh Reiko
ラ ターボラ シチリアーナ代表

東洋英和女学院大学卒業後、イタリア料理人の道を目指しイタリア料理店に入店。カメリエーレ、イタリア料理人を経た後、イタリアの郷土菓子に興味を持ち独自に研究を始める。その後、大手企業での洋菓子商品開発、店舗企画などを経験。イタリア食文化を勉強する為、2004年イタリアに渡る。スローフード マスターイタリアンクッキング ディプロマ取得後、シチリアにて研修を重ねる。10年を越える日本での食の仕事の経験と、1年半に渡るイタリアでの修行を終えて、2004年シチリア州トラーパニで「ラ ターボラ シチリアーナ」を設立。シチリア料理教室、食に関するコーディネート、通訳を手掛ける。又、各種メディアに執筆活動も続ける。
サイト: http://www.tavola-siciliana.com/index.html
Blog: http://trapani.exblog.jp/

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