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シチリア「食」の旅
15 Novembre 2012

第17 回 
最終回  トラーパニで必ず味わいたいもの ナンバー3



  文・写真/佐藤 礼子 

2009年12月から約3年に渡って西シチリアの食を紹介してきました。今日は最終号という事で、私が住む街トラーパニに来たら必ず味わっていって欲しいものナンバー3を紹介します。

写真トップ @シチリアのパン:近所のパン屋さんには時折こんな手の凝った飾りパンもならびます。直径約15センチでなんと0.5ユーロ!(約50円) 写真下左Aシチリアのパン:普段の食卓にのぼるのは一見普通のパン。ちょっと黄色くモチモチ食感が病み付きになります   写真下右:Bパン屋に並ぶ列:パン屋さんにはいつも焼きたてのパンを待っている人がたくさんいます。奥にある薪窯からパンが出てきたときの香は最高


●「挽きたて硬質小麦」で出来たゴマパン
私が主宰するラ ターボラ シチリアーナのお客様に「トラーパニ滞在中、一番美味しかったもの」とアンケートを取った集計結果、そのナンバーワンに選ばれたのは「シチリアのゴマパン」。一見、何の変哲もないパンなのですが、、、食べてみて驚くなかれ、外は香ばしく、中はモチモチとして、一度食べたら止まらない危険なパンなのです。その秘密は「地元で作られている挽きたての硬質小麦」。シチリアはローマ帝国時代に「ローマ帝国の穀物倉庫」と言われていたほどの小麦の産地。作られる小麦は乾燥パスタの原料にもなる「硬質小麦」。そして、トラーパニ郊外にある製粉会社から、挽いてから長時間経っていない鮮度の良い小麦をパン屋は仕入れます。

この「挽きたて硬質小麦」こそが美味しいパンの一番の理由なのです。挽きたて硬質小麦を使って少量のイースト(酵母)で長時間醗酵させ、たっぷりのゴマを乗せて薪窯で焼き上げたパン、考えてみれば美味しくないわけはありません。レストランに入ると一番最初に出てくるこのゴマパン、お腹が空いているからと言って、美味しいからと言って、食べすぎに要注意!    

写真左Cブジアーテのペースト トラパネーゼ:ペーストがたっぷり乗った一皿。揚げたナスと一緒に食べるのが昔からの伝統です。 写真右D赤にんにく:赤にんにくは皮の部分のみが赤。中は普通のにんにくと色は変わりませんが、その香の高さは、、、一度食べたら忘れられません。


●トラーパニの「にんにくパスタ」
さてナンバー2はトラーパニのコテコテ伝統料理。トラーパニの伝統料理と言ってまず一番に思い浮かべるもの、、、それは「ブジアーテのペースト トラパネーゼ」。なんだか舌を噛んでしまいそうな名前のこの一皿ですが、トラーパニのトラットリアならどこに行っても食せるであろう伝統の一皿です。「ブジアーテ」とはクルクルと巻かれた生パスタ、「ペーストトラパネーゼ(=トラーパニ風ペースト)」はトマト、バジリコ、ニンニク、アーモンドから作られたペースト。シンプルな組み合わせなのですがこれが想像を超える美味しさ!  


写真下Eにんにく:赤にんにくの収穫は6月末〜7月中旬。この季節、トラーパニの街中にはオート三輪の「にんにく屋」が出没します。  


トラーパニ近郊の小さな村ヌビアは非常に香り高い赤ニンニクの生産地。そのに赤ニンニクをふんだんに使ったペースト トラパネーゼは地元の人々には「にんにくパスタ」と呼ばれます。シンプルな材料の中に赤ニンニクのパンチとアーモンドのコクがアクセント。クルクルと巻かれた生パスタブジアーテにペーストが良く絡んで、それはそれは美味しい事、、、。トラットリアで必食です。

●フルーティな地元白ワイン
そして、最後に挙げるのはナンバー3、「トラーパニ近郊で造られた白ワイン」。西では白、東では赤を飲め、と言われるシチリアワイン。その言葉通り、シチリア西部の土壌は白ワインを作るのに非常に適していると言われます。シチリア西部のブドウ畑は海から非常に近い場所にあります。また、ちょっとした丘に登ってもそこには海からの風が吹きます。土壌から、そして風から、海のミネラルをたっぷりと含んだブドウが成り、そのブドウから造られた白ワインはミネラル分をたっぷり感じる非常にフルーティーなワインとなるのです。トラーパニ地方で主に造られている白ブドウは、グリッロ種、インツォーリア種、カタラット種の3種。中でもグリッロ種は糖度が高くブドウの風味もしっかりとしていて、個人的に大好きな品種です。

写真下F白ワイン:シチリアの西の端にあるトラーパニ。夕日を眺めながらこの地方の黄金色のワインを飲めば気分は夢見心地。 

「ワインはその土地で飲め」とよく言いますが、その土地で造られたワインを、その土地の食材を使った料理を食べながら、その土地の空気を感じて飲む、、、これほど贅沢な事はないと思っている私。日本でも世界全国のワインを買うことは出来ますが、ワインはその土地で飲むのが一番美味しく味わえるのです。トラットリアに入ったら是非、トラーパニ近郊で造られた白ワインを飲んでみてください。きっと食事もグンと美味しくなること間違いなしです。

17回に渡ってシチリア西部の食文化を綴ってきました。「シチリア島」と一言で言っても、地方によって、街によって多種多様の食文化を発見できるのは、シチリアが歴史上、ギリシャ人、フェニキュア人、アラブ人、ローマ人、ノルマン人、、、と多くの民族の支配を受けてきたから。それぞれの民族が残していった足跡を今でも垣間見る事が出来るのがシチリアの食文化の一番面白いところ。私はトラーパニに8年住んでいますが、まだまだ好奇心をくすぐられる事がたくさんあります。皆さんも是非シチリアに足を運んで、実際にシチリアの食を感じてみてください。きっと何か新しい発見ができるはず!

長い間に渡り「シチリア“食”の旅」をご愛読いただきましてありがとうございました。またどこかで、シチリアを通してお会いできる事を祈りつつ、、、、。

佐藤 礼子


■ ラ ターボラ シチリアーナ
http://www.tavola-siciliana.com/


シチリア「食」の旅  著者プロフィール
佐藤 礼子 Satoh Reiko
ラ ターボラ シチリアーナ代表

東洋英和女学院大学卒業後、イタリア料理人の道を目指しイタリア料理店に入店。カメリエーレ、イタリア料理人を経た後、イタリアの郷土菓子に興味を持ち独自に研究を始める。その後、大手企業での洋菓子商品開発、店舗企画などを経験。イタリア食文化を勉強する為、2004年イタリアに渡る。スローフード マスターイタリアンクッキング ディプロマ取得後、シチリアにて研修を重ねる。10年を越える日本での食の仕事の経験と、1年半に渡るイタリアでの修行を終えて、2004年シチリア州トラーパニで「ラ ターボラ シチリアーナ」を設立。シチリア料理教室、食に関するコーディネート、通訳を手掛ける。又、各種メディアに執筆活動も続ける。
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