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シチリア「食」の旅
15 Aprile 2013

 四季編  <春>   
春の訪れを祝う復活祭 



  文・写真/佐藤 礼子 

イタリアの南に浮かぶシチリア島。おそらくイタリアで一番早く春の声を聞くことができる土地でしょう。

イタリアは暦の上では3月21日から春になります。今年は雨が多く比較的寒い冬となったものの、3月21日を境にググっと気温も上がり、ポカポカの小春日和となったシチリア。シチリアは春の声を聞くと太陽の陽射しの色が変わり始め、一気に夏へと向かい始めるのを感じる事ができます。春の田舎には野の花が咲き乱れ、小麦畑はまるで緑のカーペットのよう。  

写真トップ@カッサータシチリアーナ:この派手なドルチェも元々は復活祭のドルチェです。  写真左A緑の絨毯:田舎道を車で走っていると延々と続く緑の絨毯とお花畑。春のシチリアも美しい。   写真右B桃の花:濃いピンクの桃の花。7月には実を付けます。


畑を歩いていると、アプリコット、プラム、桃など初夏の果物の花も咲いていて、オレンジ、レモンも旬が終わったばかりなのに、またすぐに花をつけ始めます。又、オリーブも4月中旬から下旬にかけて小くて白い可憐な花を咲かせ始めます。とにかく春のシチリアは1年で1回だけ新緑が萌えお花が咲く季節。この時期は田舎道の散歩がとっても気持ちいい!

農民市場に繰り出してみると、ソラマメ、グリーンピース、イチゴ、、、春の旬を既に感じる事ができます。カルチョーフィ(アーティチョーク)、フェンネル、ブロッコリー、オレンジなど、冬の野菜や果物もまだまだ並んでいて、こちらはそろそろ旬も終了間近。オレンジは今の時期、激安で購入する事ができます。ケースで買って毎朝フレッシュジュースを楽しめる季節です。    

写真左C早生イチゴ:農民市場に3月中旬から登場したイチゴ。トラーパニ近郊はイチゴの大生産地でもあります。 
写真右D激安オレンジ:ワンケース5ユーロ!この価格なら惜しみなくジュースにすることができます。


●キリストの復活を祝うと共に、春の訪れを祝う「パスクワ」
さて、春のお祭りと言えば復活祭(イタリア語では“パスクワ”)。イースターと言った方が皆さんにはなじみがあるかもしれません。復活祭はキリストの復活をお祝いするお祭りで、イタリア人にとってはクリスマスと同じくらい重要な宗教行事。復活祭は移動休暇で3月下旬〜4月中旬にかけての日曜日に訪れます。キリストの復活を祝うと共に、春の訪れを祝う行事でもあります。

写真左E復活祭の行進1:子供から大人まで、トラーパニ市民が一丸となって行進に参加します。 
写真右F復活祭の行進2:トン級に重いと言われるミステリ。担いでいる人達の表情からもその苦難が見受けられます。


私の住む街トラーパニでは、復活祭には盛大な復活祭の行進が行われます。行進が行われるのはキリストが死んだと言われる聖金曜日の午後2時から。木や布でできた彫刻でキリストの最後の一日の20シーンを表現し(“ミステリ”と呼びます)、それをお神輿のようにシチリアのゴツイ男達が担ぎ、24時間、街を練り歩きます。1シーンに付き、50人くらいのバンドとそれに由縁のある衣装をまとった子供や大人が一緒に練り歩くため、この日は街中、どこに行ってもパスクワの行進に出くわすこととなります。物悲しい音楽に合わせてたくさんの人が行進する姿は、キリスト教徒ではない私でも心を打たれるものがあり、土曜日の午後2時に迎える最後のシーンはとても感動的です。

●マンマのご馳走が並ぶ日曜日のテーブル
土曜日にこの行進が終わり、そして翌日日曜日は復活祭を家族全員で祝うのが習慣。テーブルにはマンマが作ったご馳走が並びます。シチリアでの定番は「パスタ アル フォルノ=パスタのオーブン焼き」。パスタを茹でてソースで絡めたものをオーブン皿に入れ、更にチーズ、卵、ハムなどを重ねてオーブンで焼く、というシチリアのお祝い料理の定番です。

写真左G復活祭のアンティパスト:卵は復活祭のシンボル。前菜にはこんな卵料理をよく食べます。 写真中Hラザーニャ:私がいつもお世話になるお宅の今年のパスタはラザーニャ。やっぱりマンマが愛情を込めて作るラザーニャはとっても美味しい。 写真右I羊とジャガイモのグリル:復活祭には欠かせない羊料理。ローズマリーで臭み消しをしてあります。

ラザーニャやカンネッローニもパスタ アル フォルノの仲間です。そして忘れてはならないのが羊料理。キリスト教の教えでは羊はとても穏やかな性格から善人を洗わすと言われ、キリスト自身も羊で表現されます。羊はトマト煮込み、ロースト、など、メイン料理として食卓に並びます。

●復活祭のお菓子の定番「コロンバ」と「カッサータシチリアーナ」
さて、たっぷりとご馳走を食べた後はドルチェ。復活祭の定番のお菓子と言えば「コロンバ」。これはシチリアだけではなくイタリア全土で食べられる鳩(コロンバ)の形をした発酵菓子。クリスマス菓子のパネットーネにも似ていて中には干しブドウやオレンジの砂糖煮が入っているのが定番。鳩は平和を象徴し、平和への願いを込めてこのお菓子ができたと言われています。シチリアの復活祭のお菓子と言えば「アニェッロ パスクワーレ」。羊をかたどったマジパンのお菓子です。このお菓子、羊の形をしていますが決してお飾りではなく、食後にナイフで切って皆で食べます。頭の部分にナイフを入れる際には、必ずお決まりで「キャー」と言いながら食べるのも又、楽しい行事の一つでもあります。

シチリアを旅していれば一度は見かけるであろうド派手なドルチェ、「カッサータシチリアーナ」も復活祭のドルチェ。今ではシチリア名物ともなり1年中お菓子屋さんの店頭に並んでいますが元々は復活祭の時だけに食べられていたもの。赤や緑のフルーツの砂糖煮が上に飾られているのは、アラブ人由来の伝統と言われています。中にはスポンジケーキとリコッタが詰められています。

写真下Jコロンバ ファルチート:復活祭のお菓子コロンバにクリームをサンド。これが意外に美味!

今年は3月31日が復活祭。現在、復活祭も終わり、増々春爛漫のシチリア。今の時期、暑さが苦手という方には、シチリアを訪れるのにベストシーズンかもしれません。5月中旬には既に夏がやってくるシチリア。私もこの短い春を存分に満喫したいと思います。


シチリア「食」の旅  著者プロフィール
佐藤 礼子 (Reiko Sato)
シチリア料理・菓子 スペシャリスト  イタリア政府公認オリーブオイルテイスター

東洋英和女学院大学卒業後、イタリア料理人の道を目指しイタリア料理店に入店。カメリエーレ、イタリア料理人を経た後、イタリアの郷土菓子に興味を持ち独自に研究を始める。その後、大手企業での洋菓子商品開発、店舗 企画などを経験。イタリア食文化を勉強する為、2004年イタリアに渡る。スローフード マスターイタリアンクッキング ディプロマ取得後、シチリアにて 研修を重ねる。10年を越える日本での食の仕事の経験と、1年半に渡るイタリアでの修行を終えて、2004年シチリア州トラーパニで「ラ ターボラ シチ リアーナ」を設立。シチリア料理教室、食に関するコーディネート、通訳を手掛ける。2012年には「イタリアで一番おいしい家庭料理 シチリアのおうちレシピ」(講談社)を出版。又、各種メディアに執筆活動も続ける。

ラ ターボラ シチリアーナHP:http://www.tavola-siciliana.com/index.html
シチリアの風景と旅ブログ「シチリア時間2」: http://trapani.exblog.jp/
シチリアの食ブログ「シチリア食通信」:http://cucisici.exblog.jp/

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