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16 giugno 2008

最終回 シチリアの美味、魚の保存食

岡田幸司



シチリア→島→美味しい"フレッシュな"魚が食べられる!
・・・っという図式は、必ずしも島全土にあてはまる言葉ではないようです。
シチリア島といっても四国よりも少し大きな面積ですし、日本ほど細やかな物流が発達しているわけではないので、"何処ででも"というわけにはまいりません。

・・・というよりは、根本的な考え方が違うような気がします。
つまり、そこにないものを無理して持ってこない、という事です。とびきりフレッシュなものは海沿いの一部で、それ以外は加工したもの(保存食)で、という風に。
そこで発達した昔ながらの知恵がオイル漬けであり、塩漬けであるのです。

●マグロの保存食の数々
シチリアの西、トラパニから高速艇に乗って20分もすればFavignana:ファヴィニャーナという島に着きます。このあたりは昔から地中海を回遊するマグロが辿り着く事から、最高の漁場であり、追い込み漁:Mattanza:マッタンツァ(写真右)が今も行われる場所として有名です。見学ツアーなどもあるようですが、最近はめっきり少なくなり、行ったからといって必ずお目にかかれるものでもないようです。

島の船着場にはTonnara:トンナーラと呼ばれる加工場があり、ここで様々に解体され加工されて出回ります。もちろん、フレッシュなものもありますが、やはりオリーブオイル漬けにしたものや塩漬けにしたものが目に付きます。大昔から変わらぬ基本的な保存方法で、乾燥したイタリアならこれだけで常温に置いていても随分と長持ちするものです。

オリーブオイル漬けのものは要するに"ツナ缶"ですが、日本のスーパーで良く目にするものとはやはり一味も二味も違います。(お値段も数段違いますが・・・)
特に、地中海で採れるTonno Rosso:トンノ・ロッソはいわゆる本マグロで、そのトロにあたるVentresca:ヴェントレスカはかなり美味です。
またMusciame:ムシャーメと呼ばれる赤身の塩漬け熟成やLattume:ラットゥーメと呼ばれる白子の塩漬け熟成もあり、これらは珍味として少しずつ楽しむのに最適です。

それから卵の塩漬け熟成は言わずと知れたBottarga:ボッタルガ、カラスミです。
隣のサルデーニャ島のボラのボッタルガに対し、シチリアのそれはマグロであり、パンチの効いた感じが特徴で、削ってパスタにかけるとたまりません。
ちなみに、カラスミといえば日本でも馴染み深いものですが、どうやらルーツはこの地中海にあるそうです。
高価で希少ゆえに、なかなか日本ではお目にかかることの少ない物達ですので、現地で是非試していただきたいですね。

写真左:瓶に入ったオリーブオイル漬けのマグロ、右:アチューゲ塩漬け工程
 

●"塩梅"によって違う出来上がり
さて、トラパニへ戻って、ずっと反時計回りに海沿いを南下していくとSciacca:シャッカという街に辿り着きます。ここではAcciughe:アチューゲ(アンチョビ)と呼ばれるヒシコイワシ(カタクチイワシ)の塩漬け・オリーブオイル漬けが有名です。いったん塩漬けした後、オリーブオイルに漬けたものが日本では使いやすく一般的ですが、シチリアでは塩漬けも良く目にする事ができます。
もちろん、海沿いの町ではAlice:アリーチェと呼ばれるフレッシュなヒシコイワシを使った料理も数多くあり、特にFinocchi:フィノッキ(フェンネル)と合わせたパスタはお勧めです。

ところで、アンチョビは日本で言う梅干や漬物と良く似た感じがあります。素材が良いものを使えば良いに越した事はないのですが、処理の仕方や塩加減、熟成具合による、いわば"塩梅(あんばい)"とでもいうべき加減で随分と違いが出てくるのです。ほろりと柔らかく、とろりと溶けるようなタイプは、オリーブオイルに溶いて使う一般的な使い方では勿体無いほど美味しいものです。

大きく海を隔てた日本とイタリアですが、発酵食品を多用しているという接点があり、何か共通する旨味センサーのようなものがあるような気がします。
地方それぞれの地理的、気候的条件を異にし、今尚その土地の良さをアピールし続けるイタリアにあって、南の島、シチリアとて例外で無いばかりかさらに強目?!なスタンスであればこそ進化し続けたこれら保存食達は、確固たる美味として愛され続けています。

そしてまた、Artigianale:アルティジャナーレと呼ばれる手仕事で作られる自然なものたちが日本のそれよりも大切にされているために、訪れる旅人の目にも割合たやすく触れることが出来る環境にある事も幸せな事だと思います。


著者プロフィール
岡田幸司(おかだ こうじ)
建築構造設計をしていた前職時代に「住んでみないとわからないだろう」というシンプルな発想のもと、インターンシップに登録して赴任した先がシチリアの田舎町でした。
そこで一番私を虜にしてしまったのが何と"食文化"。"シチリアにやられてしまった"私はその後の人生に大きな舵を切ることになりました。
現在はイタリア食材厳選のお店「ピアッティ」を運営しています。http://www.piatti.jp/

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