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シエナの小さな村(ボルゴ)めぐり

15 febbraio 2012


第3回 
渓谷を見渡すモンタルチーノと         
サンタ・アンティモ大修道院の祈りの調べ 




 文と写真    吉川 雅子

それはまるで海岸に打ち寄せる波のよう。幾重にも連なりどこまでもつづくゆるやかな丘、そして ときどき姿をみせるかわいらしい糸杉の並木道。春には草花が一斉に咲きはじめ緑の丘はまるでカラフルなじゅうたんのよう。こんなパッチワークのような景色の中を車にゆられながらゆっくりと旅してみるのもいいものです。今回の小さな村のご紹介は、城塞のそびえ立つモンタルチーノ村とその麓にひっそりとたたずむサンタ・アンティモ大修道院です。

写真トップ@サンタ・アンティモ大修道院
写真上A世界遺産認定のオルチャオルチャ渓谷

シエナとローマをつなぐカッシア街道を南へ、イタリアでもっとも美しい田園風景と賛美されている南トスカーナ地方・オルチャ渓谷へと入っていきます。このすばらしい渓谷一帯は2004年にユネスコより世界遺産として認定をうけました。地域に点在する小さな村々(サン・クイリコ・ドルチャ、ピエンツァ、ラディコーファニ、カスティリョーネ・ドルチャ、モンタルチーノなど)とそれを取り囲む大自然、それはたとえばこの地域特有にみられるクレーテとよばれる粘土質土壌(これがなだらかに幾多にも重なった地形を築いている)であったり、カランコとよばれ雨水により侵食をうけた鋭い丘の窪み、また雨水が蒸発した後ミネラル塩などの成分が地上表面に残ってできたビアンカーネとよばれる白いドーム型の丘、これらが調和し合って織りなす壮大な景色は、言葉にならない感動を私達にあたえてくれます。  

 写真左Bクレーテとよばれる粘土質土壌、写真右Dカランコとよばれ雨水により侵食をうけた鋭い丘の窪

絵に描いた夢のようなトスカーナ独特の世界、ブドウ畑やオリーブの木々を遠くに眺め、途中あちらこちらに見えてくるかわいらしい小さな村(borgo)を楽しみながらバスにゆられることシエナから1時間、モンタルチーノに到着します。  

■モンタルチーノの文化
人口:約5280人、海抜:564m オルチャ渓谷、アルビア渓谷、オンブローネ渓谷と3つの渓谷に挟まれた小高い丘の上にモンタルチーノMontalcinoの村は位置します。この高さからお天気が良い空気の澄んだ日には80km離れたティレニア海・エルバ島また近くの街シエナ(カンポ広場やマンジャの塔)などをとてもきれいに鑑賞することができ幻想的なパノラマが夜空に浮かびます。

写真左Dモンタルチーノの全景  写真右Eサン・フランチェスコ教会

そしてこの村を代表するものといえばやはり「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」。イタリアを代表するガーネット色に輝く赤ワイン(DOCG)は地元の郷土料理(いのしし肉の煮込みなど)との相性も抜群です。そして意外と知られていないこの村のもう1つの特産品はハチミツです。毎年9月には国内や海外からの養蜂・ハチミツに関連する見本市が城塞内で開かれます。

またモンタルチーノの人々にとって欠かせない伝統行事「ツグミ祭りSagra del Tordo」は毎年10月の最終日曜日にとりおこなわれ小さな村は一年で最高の賑わいをみせ私達を楽しませてくれます。1957年に始まったこのお祭りの歴史はまだまだ浅いものの、そのいわれは中世の時代にさかのぼります。当時、周辺の山岳地で狩りを行っていた猟師。村の女たちは男たちの帰りを待って歓迎します。そして収穫物を調理してふるまい領主や住民などみんな一緒になって肉料理とぶどう酒で祝すという盛大なお祭りが行われていました。そのなかでも特に腕のある猟師たちが自分の力量を試すべく馬にまたがり弓矢を射って競っていたのだとか。 そんな当時の伝統行事を受け継いだのが「ツグミ祭り」です。モンタルチーノ村にある4つの地区コントラーダに分かれて競技され、また中世時代の衣装に身をつつんだ人々が太鼓のリズムに合わせながら列をなして村の中を練りあるいたり、アコーデオンの音色に合わせた中世時代のダンスなど、お祭りは盛大にとり行われます。各コントラーダからは、屋外レストランが出店され、この地方で食される郷土料理とペコリーノチーズ・トスカーナ産生ハム(塩味がつよい)・サラミなどおいしいモンタルチーノのワインと一緒に楽しむことができます。

写真上左Gモンタルチーノの塔  写真上右Hモンタルチーノの街角  

■モンタルチーノ 中世の歴史
標高564mという見晴らしの良い地理条件は中世当時に権力を有していた街にとって必ず手にいれておきたい場所のひとつでした。13〜14世紀にかけては幾度となくこの村の主権をめぐっての争いがシエナとフィレンツェの間で繰り返されます。そして1260年9月4日におこった教皇派(フィレンツェ)VS皇帝派(シエナ)の争い 「モンタペルティの戦い」 ではシエナ軍が勝利し、モンタルチーノはシエナ共和国の一都市としてその後発展をとげていきます。 やがて時はながれ1553年に再び勃発したシエナ対フィレンツェの争いにおいて、コジモ1世率いるメディチ家と同盟を結んでいたスペイン軍によりシエナの街は破壊されてしまい1555年4月21日ついにシエナ共和国は降伏してしまいます。しかしこの降伏をよしとしないピエトロ・ストロッツィ率いる一部の政府関係者とその家族(650の家族)が街をとびだしモンタルチーノへと駆け込み、「モンタルチーノにおけるシエナ共和国」として要塞をさらに強化しながら造幣施設を築いて新しい硬貨を発行するなど、なんとかたて直しをはかろうとしました。しかしその労もむなしく4年後の1559年結局シエナ共和国はフィレンツェ軍に降伏する形で戦いに終止符が打たれその後モンタルチーノはトスカーナ公国に併合されることとなりました。

写真上左Hモンタルチーノ市内のバールで。赤ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」と特産の生ハム類  
写真上右I モンタルチーノの五つの塔をつなぐ五角形の城壁

五つの塔をつなぐ5角形のどっしりとした城塞は1361年にシエナ政府によって築かれたものです。この壁にはシエナの紋章(白と黒)とフィレンツェ・メディチ家の紋章(6つの玉)の両方をみることができ、この街がもつ複雑な歴史を見て取ることができます。

モンタルチーノはとても小さな村ですが、すてきな織物(トスカーナ産)など、お店もいくつかありショッピングも楽しめます。また美術館にはシエナ派の画家を中心とした有名な美しいオペラが数多く展示され、見ごたえがあります。村にはこの地方の郷土料理を堪能できるレストランやエノテカなど、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの試飲をおこなっているお店もたくさんあります。ワイン好きな方、ぜひ飲みくらべしてみてください。街角できれいな紫色のブルネッロをつかったジェラートをいただきましたが最高でした。オススメです!

写真上Jサンタ・アンティモ大修道院周辺


■足を延ばして サンタ・アンティモ大修道院
モンタルチーノから北へ約9km、オリーブ畑とブドウ畑の間を縫うように白い田舎道と小さな村の田園風景がつづきます。そしてCastelnuovo dell' Abate(カステルヌオーボ・デル・アバーテ)という小さなボルゴを通りすぎると、目の前には大平原がひろがり、それにむかってまるでラストスパートをきる様に道がまっすぐにのびています。そしてその先にみえてくる白い大きな教会がサンタ・アンティモ大修道院Abbazia di Sant'Antimoです。

写真左Kサンタ・アンティモ大修道院のアプシス 写真右B同修道院の彫刻

この修道院の歴史は大変古くいくつかの伝説が存在しています。 簡潔に・・ フランスのカール大帝(フランク王の国王であり、神聖ローマ帝国の皇帝)が権力を放っていた時代に彼の命によってまず最初に小さな礼拝堂(8世紀頃)が建設されました。この場所にはもともとローマ人たちが築いた小さなヴィラがありその上に建設されたともいわれています。教会裏手にまわって半円形の放射状にでているアプシスの左方向をよくみると明らかにその1つだけが石を積み上げてつくられた異なる古い建築スタイルであることに気付きます。当初はこの小さな礼拝堂が1つあっただけでした。

後を継いだ息子ルドビコ・イル・ピオが当時の様子を日付入りで(814年12月29日)公文書に記録をのこしています。またローマ征服をめざしていたロンゴバルド族によって築かれ、その後フランク族によって舗装をうけたローマへとつづく街道「フランチジェナ街道」に位置していたこともあり中世の時代には大変栄え、12世紀には、ほぼ現在の姿になっていたと記録されています。しかし時代の流れとともに次第に廃退し1462年この大修道院は閉鎖されてしまいました。そして500年以上ものあいだ放置され人々から忘れ去られていたのです。

写真上MNサンタ・アンティモ大修道院

しかし1870年代、動きがでます。この修道院は国有財産となりアプシス等の手直しが行われました。本格的な修復作業がはじまったのは1970年代。シエナ司教の意向により激しく傷んでいた教会内部の天井や外壁、回廊などかなりの修復作業が行われました。そしてフランス・ノルマンディー地方の修道士達を新しく迎え、1979年アウグスティヌス派の修道会としてサンタ・アンティモ修道院は新しく生まれ変わります。その後1992年すべての修復作業が終了。現在は地元や海外からの修道士たちによって積極的な活動がなされています。

一日に何回も行われるミサ、しんと静まりかえる教会内では修道士達が唱えるラテン語・グレゴリオ聖歌が美しく響き渡り、その調べは平原にまで聴こえてきます。こころがあらわれるような、そしてなぜかとてもやさしい気持ちになれるようなひとときです。この修道院をおとずれるならぜひ午前中がおすすめです。アプシスの小さな窓からさしこむ朝の光をうけて教会内は黄金色に光り輝き祈りのグレゴリオ聖歌とともに幻想の世界へと導いてくれます。

写真上Oサンタ・アンティモ大修道院

この教会建築にはアラバスター(雪花石膏)という近くで採れる石が使用されていて光を通すこの石の性質と、トラベルティーノとよばれる白い大理石とがおりなす見事な光の調和が中央祭壇を取り囲む後陣の回廊を美しく照らします。また外壁、中央扉の上枠、教会内などに施されているみごとな彫刻も必見です。モンタルチーノから修道院まではバスがでているのでぜひ足をのばして行ってみてください。

著者プロフィール
吉川 雅子(Yoshikawa Masako)

大阪出身。クラブ活動だけに身をささげてきた学生時代、プロスポーツ選手としても活躍。しかし幼い頃からの夢をあきらめきれず医療職をめざし、看護師として約10年間の病院勤務経験をもつ。趣味だったイタリア旅行。そしていつか暮らせたら・・とあこがれつづけた20代後半。でも一度きりの人生、悔いなく生きたい!出会った人たちから学んだこと。大好きな仕事に一旦終止符を打ち渡伊を決意。現在は旅コーディネータをする傍ら中世史を学ぶ。シエナには2009年より在住。
Email : kurasutabi@libero.it



データ
Dati
モンタルチーノMontalcino村 (シエナ県 モンタルチーノ村 Comune di Montalcino)

■モンタルチーノ村への交通アクセス
<バスでのアクセス>
FSシエナ駅よりモンタルチーノ行き(114番)バスで約1時間10分(乗り換えなし)。 午前中に数便でています。
時刻表は駅構内またはシエナ・バス停留所・グラムシ広場地下のチケットセンターで確認してください。
TEL0577204328  (シエナ駅構内   チケットセンター)
   0577204225  (グラムシ広場地下 チケットセンター)
時刻表サイト http://www.trainspa.it/train04/extraurbano.pdf (2012年1月現在)

■インフォメーション
モンタルチーノ ツーリスト インフォメーションセンター
http://www.prolocomontalcino.it/

■サンタ・アンティモ修道院への交通アクセス
<バスでのアクセス>
モンタルチーノからサンタ・アンティモ行きのバスがありますが便数が限られています。インフォメーションセンターにて事前に時刻を確認してくだい。

■インフォメーション
サンタ・アンティモ修道院
Abbazia di Sant'Antimo    

http://www.antimo.it/ 
教会内見学可能時間 
平日    10.30 - 12.30 / 15.00 - 18.30
日曜・祝日 9.15 - 10.45 / 15.00 - 18.00
拝観料:無料  



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