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イタリアにおけるスローフード現地レポート
 
13 maggio 2004

PART III  スローフードと有機栽培の関係について

池田 律子






狂牛病騒動に後押しされて一気に火がついたスローフード運動の余波で、「健康のためには安全な食材を見極めて食べていかないとないとまずいんじゃないの?」という機運が一気に高まったイタリア!

そこで今、俄然注目されているのが「BIO=有機栽培」の食べ物です。でも、スーパーでもかなり割高だけに、「何で?」という人も多いはず・・・そんな答えを知りたくて、スーパートスカン・ワインの故郷として名高いトスカーナ州南部のスベレート村近郊のブリケッラBulichella農園に行ってきました。(ここの有機ワインが、近頃軒並み賞を取っているのをご存知ですか?そして今NHK BSが取材中です。6月に放映予定。)

実は、20年以上前から有機栽培にこだわり続けた主の宮川さんによると、今の時代にまじめに有機栽培をしようとすると途方もないお金がかかるという話を聞いてびっくり!たとえば、有機栽培の命ともいえる土に入れる肥やしの牛糞を酪農家からもらうには、農園側が自前で牛糞専用のトラックを用意しないと分けてもらえず、引く手あまただけに支払いは酪農家の言い値のキャッシュ!その上、牛の餌に混合されているホルモン剤を除去するために牛糞は畑で5年間野ざらしで寝かしてからしか、土に入れられないらしい。昔なら一番安上がりだったはずの土のリサイクルが今では高嶺の花なのだ。

でも、農薬を使わない農園ではその土と水が健全な証に、6月の初めになると満天の星と見まがうばかりの蛍が群舞し、肥料用の菜の花に集まる蜂から蜂蜜も採集できるという。

実は、米作地帯の北イタリアでも昔は蛍が飛びかい、辺りの小川で取れた鯰・川エビ・カワカマス・蛙と米を使った田舎料理が沢山あった。でも、何時のころからか、草抜きを省くために撒き出した農薬のせいでみんな姿を消してしまったらしい。ようやく最近、手間隙かけた有機栽培の米の安全性が理解され、割高でも売れるようになり、有機農家が増えた辺りでは、水辺の生物が復活し、素朴でローカロリー&高蛋白な郷土料理(川海老のピラフ・鯰のフライなど)も復帰の兆しにあるという。しめしめ。

もう一つ、昔人が保存のために編み出した、「オイル漬け」「塩漬け」「砂糖煮」「薫製」「乾燥」の知恵を今一度見直せば、保存剤なんていらないはずなのですが、いかがでしょうか皆さん?

パート4では、スローフードの未来・食育について日伊の取り組みをご報告したいと思います。

<関連情報>

・ブリケラ農園(アグリツーリズモもしている農園では、ワイン・オリーブ油も購入可能)
Azienda Agricola Bulichella 
Loc. Brulichella  Suvereto (LI)
TEL 0565-829892
FAX 0565-829553
email: bulichella@etruscan.li.it

写真キャプション

トップ:ムスカリの球根のフライ

これは、プーリアの有機アグリツーリズモでの郷土料理の一つ。そえられているのがお馴染みのムスカリ。その球根は昔からの食材で今また見直されています。

中段左:生活の知恵
薫製リコッタチーズ

中段右:食べれる野草の数々。いくつ知ってる?


著者プロフィール
池田律子(いけだ りつこ)

兵庫県西宮市生まれ。 甲南大学卒業後日本航空に勤務。1992年に退社し、イタリア国立ペルージア大学に留学。94年よりミラノで料理教室を始める。取材・執筆活動のほか、日本の百貨店でのイタリア展ほか食にまつわるイベントプロデュースを手がける。98年より日本でも料理教室を開催。    





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