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イタリアにおけるスローフード現地レポート
 
15 luglio 2004

最終回 スローフードの未来&食育について

池田 律子





果物の美味しい初夏を迎えたイタリア!でも、スーパーの価格表示の横にある「原産地名」に目をやりながらお買い物したことありますか?スペイン・チリ・アルゼンチン・ボツワナ・・・特に走りの果物のほとんどが今では、未熟な間に収穫され、傷まないように化学処理をされ、遥かな旅をしてきたもの達ばかり・・・当然お味の方は、太陽を浴び完熟状態で収穫されたものとは段違い。そういうものがまかり通っているのは、「安全で美味なもの」より「価格重視」なイタリアの消費者意識の低さによるのかもしれません。そんな国情ゆえ、少し高めでも地元産で、作り手の顔の見える食材のPR&啓蒙活動がこれからのSF活動のキーワードかもしれません。

唯一、反対に是非日本でももっと拡げげたいと思うのは、「小学校での食味活動」です。親の意識改革も重要ですが、「食」というものにより柔軟な受容性をもつ子供たちへの直接活動の方が効果的であると、フランスの有名シェフが初め(日本では、フレンチの有名な三国シェフの活動が知られています)、イタリアではSF協会が手がけていました。現在では、少人数の協会スタッフでの活動では限界があるということで、食味キットが開発され、自主的にレクチャーを受けた各教師がさらに工夫を加えながら各校で展開しています。たまたま、私のアパートの階下に30代の女性教師(南伊出身の彼女自身が2人の子持ちで、かつ、食に造詣が深い)が居て、今秋に一度実際の教育現場を見せてもらうことになっていますので、また何かの機会にご報告できたら幸いです。

もうひとつ、イタリアで直ちに開始しなければ手遅れになるといわれているのが子供の肥満対策です。なかでも、ファーストフードよりも危機的なのは、家庭で常飲されているジュース類に含まれる糖分だといわれています。以前SFOの高校で、肥満児対策として、自販機から(USAでは、構内の自販機販売の利益の一部が企業から高校に還元され、クラブ活動費などに当てられている)糖分が含まれている飲料を排除したというNEWSがありました。生徒たちには、実際に1本のドリンクに含まれている糖分を粉末にして見せたところ、その日から、ミネラルウォーターしか飲まなくなったそうです。こういうシンプルな食育活動は、まだまだSF協会でも未開拓分野でもあります。これからはぜひ、お買い物かごに無意識に食材を放り込む前に、今一度「え〜っと、これは・・・」と一呼吸置いてみてくださいね。21世紀を築いてゆく子供たちの未来の為にも・・・(終)

「これも絶滅しかけの甘い浜ニンジン」:ニンジンらしくない黄色い色をした甘味の強いプーリア地方伝統の砂地にできるニンジンも絶滅直前の品種です。その理由は、日本の山芋のように砂地に深く根を下ろすため手間がかかるので、育種業者がこの種を販売していないからで、この味を愛する浜に近い家庭菜園で細々と栽培されています。もしも、かの地で見つけたら生でかじってみてくださいね。ほとばしる旨味にびっくりするはず。

トップの写真:「こんな風景に出会えるプーリア」漫画のルパン3世にもでてきたような奇岩が聳え立つガルガーノ半島は、豊かな石灰質のためにとりわけ薫り高く濃厚な柑橘類の知られざる宝庫。スーパーの売り場で、産地をチェックするときの豆知識に!


著者プロフィール
池田律子(いけだ りつこ)

兵庫県西宮市生まれ。 甲南大学卒業後日本航空に勤務。1992年に退社し、イタリア国立ペルージア大学に留学。94年よりミラノで料理教室を始める。取材・執筆活動のほか、日本の百貨店でのイタリア展ほか食にまつわるイベントプロデュースを手がける。98年より日本でも料理教室を開催。    






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