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"食い倒れ"スローフード留学記
 
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15 novembre 2007
Studiamo Slow Food in Italia

最終回
イタリアの食生活から学んだこと








粉川 妙
●女性シェフ・ミレッラの下で研修
いよいよ最後のレポートです。サルデーニャ島の夏のバカンスを終えた後、ウンブリア州スポレートのレストランで3か月間、研修の日々が続きました。

スポレート近郊は比較的丘が多く、オリーブ畑が広がるのどかな地域。以前旅行したとき、石畳の続く坂道や美しいフレスコ画の残るドゥオーモに感動し、スポレートでのステージ(研修)を決めたのでした。サルミ(ブタ加工食品)や黒トリュフで有名なノルチャ村まで近いのも魅力の一つです。

さて今回のステージ先は女性シェフ・ミレッラが仕切るレストラン「イル・パンチョッレ」です。40歳代前半のミレッラの手から生まれる料理はどれもエレガント。郷土料理をベースにハーブをふんだんに使うのがミレッラ風。旬のキノコも業者からいち早く調達し、メニューに載せます。

地元の名物麺ストランゴッツィは彼女の義母が毎日手打ちして届けてくれます。まさにマンマの味。当初「ふぞろいで縮れた麺だなぁ」と思いつつ味見してみるとビックリ。麺にソースがよく絡みなんとも美味ではありませんか。 

まかないが充実しているのはミレッラの親心かしら。一児の母であるミレッラは、日常の糧が心身を健やかに保つことを知っているのでしょう。とにかく彼女はサービス精神旺盛で、私がウンブリアの郷土料理を学びたがっているのを知ると、レシピを引っぱってきてはコラテッロ(羊の内臓の煮込み)やアクアコッタ(野菜のスープ)を作ってくれました。 

写真トップ:スポレートのメルカート広場
下左:イル・パンチョッレの皆と、中:地元のパン職人、右:ウンブリアのサグラ(たまねぎ市)

   

●ウンブリアの食を満喫
仕事がオフの日は、近郊の村で開催される「サグラ(収穫祭)」に出かけます。ウンブリアはサグラの宝庫。「トリュフ祭り」「カタツムリ祭り」「羊祭り」…収穫物は農作物に限らず地元産ならなんでもありです。特に興味深かったのは「黒セロリ祭り」。

黒セロリ祭りはトレヴィ村で10月一杯開かれます。期間中は毎日タベルナ(食堂)で黒セロリ料理が楽しめ、週末になると市やイベントが開催されます。
黒セロリというので茎が黒いのかと思いきや、普通のものと変わりません。茎に覆いをかけて栽培するのでこう呼ぶそうです。「日陰にすることで、繊維質の少ない茎になるんだよ」と村の男性。

新鮮な茎を地元産オリーブオイルをつけながら生で食べるピンツィモニオが最高。みずみずしくエグミがまったくありません。その他、黒セロリペーストのブルスケッタや黒セロリ入りラザーニャ、茎の肉詰めなど、心ゆくまで黒セロリのフルコースを堪能しました。

●イタリアで学んだ大切なこと
こうして私の一年半に渡る料理研修の日々は、あっという間に過ぎ去っていきました。
マルケ、トスカーナ、ウンブリアと中部3州で学んだおかげで、その違いも比較することができました。ちなみにこの3州、頑固に塩の入ってないパンを食べ続けている地域なんですよね。
多くのプレシディオ(スローフード協会が承認した守るべき伝統的な食や食材)を食べ歩き、地元の人々と話をし、よく働き、よく遊んだ一年半。豊かな食生活を維持し続けているイタリアから多くのことを学びました。

イタリアと日本、南北に長い国土や気候など似たところはたくさんあります。でも日本になくてイタリアにあるものといえば『ここでないと買えない食べ物』の多さではないでしょうか。 
ここのパン屋の焼きたてのフォカッチャ
ここの肉屋が仕入れてさばくステーキ用の肉
ここのチーズ屋が作るモッツァレッラチーズ
そんな『ここでしか買えない食べ物』に溢れた国、それがイタリアです。地元の人だけが密かに知っている、ローカルで大量生産でない食がイタリアには沢山あります。 

そして食の営みのなかで、忘れてはいけないのが「共に食べる」ということ。イタリアでは友人たちと食事する機会が多々ありました。週末に友人宅に招かれると、旦那さんが腕を振るうことも珍しくありません。お客は飲み物やデザートを持参し、食後も会話に花を咲かせます。
また親族の結びつきが強くクリスマス、イースターは大家族で過ごします。遠く離れて住む子や孫も、年2回は必ず帰ってきて共に食卓を囲むのがお約束。何を食べるかに目が行きがちですが誰と食べるかというのも、同じぐらい大切なことなのです。

食い倒れスローフード留学は幕を閉じましたが、現在、お気に入りの地・スポレートで新生活を始めたばかりです。これからも日々新たな食の発見をしつつ、イタリアでの暮らしを楽しみたい、と願ってます。

イル・パンチョッレ Il Panciolle
Via Duomo - Vicolo degli Eroli 1, Spoleto
Tel: 0743-45598
Web: www.ristoranteilpanciollespoleto.com
定休日: 水曜日
*スポレートへはイタリア鉄道利用が便利です。
ローマからアンコーナ方面の列車にのり約1時間半。
イル パンチョッレへはスポレート駅から徒歩20分、
ドゥオーモから徒歩5分

著者プロフィール
粉川 妙(こかわ たえ)
甲南大学文学部社会学科卒業。卒業論文『ブタと文化 〜文化人類学的考察から〜』。以後豚と人間の歴史や風俗を調査することをライフワークとする。製薬会社勤務を経てイタリアの食・文化を学ぶため留学を決意する。2005年スローフード協会の料理学校ITAL.COOK.に入学。06年12月末まで調理場にて実地研修(ステージ)予定。
ブログ『butakoの2年間の休暇 *イタリア料理への道*』http://butako170.exblog.jpにてイタリアの食文化や著者の日々の様子を配信中。

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