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南イタリア小都市探訪  陣内 秀信
 
21 December 2000

第3回 モンテ・サンタンジェロ Monte Sant'Angelo

山上の聖天使の町





プーリアPuglia地方の海を見晴らすガルガーノGarganoの山の頂に、モンテ・サンタンジェロ(聖天使山)という名の可愛らしい町がある。カトリック世界でも最も名高い聖地の一つの発祥の地であり、大天使聖ミカエル(サン・ミケーレSan Michele)が祀られている。聖ミカエル信仰は、中世の早い時期に、ヨーロッパ中に広く、深く浸透した。その聖地は自然の洞窟を利用して創り出され、信仰の原初的な形態を思わせる聖なる場所である。

この町へのアプローチは、高所にある聖地に向かうのにいかにもふさわしい。マンフレドーニアManfredonia湾の美しい水面 を眼下に見ながら、バスは狭い坂道を山頂へ登っていく。八百メートルほど登った高台に、切妻屋根が連なる独特の家並みが姿を見せる。このモンテ・サンタンジェロは、聖ミカエルの聖所を中心に発達した町だが、小高い山の起伏に富んだ地形に沿って展開する町の空間全体もまた我々の心を魅了する。

町の北側の高台のエッジにつくられたこの聖所の起源は、五世紀末に溯るとされ、「聖なるグロッタ(洞窟)Grotta」のまわりにさまざまな時代に空間を拡張し、複雑に入り組んだ宗教コンプレックス(複合建築)を形成してきた。この聖所が歩んだ十五世紀の歴史をさまざまな建築空間や彫刻、壁画などに辿ることができる。

聖所には、尾根をゆくメインストリートの最も高い所から入る。前庭突き当たりの入り口から、八十六段の大階段を地中深く下がり、中庭を通 り、いよいよ聖なるグロッタの空間へ導かれる。天然の岩場の中につくり出されたこの洞窟は、その平面 の形もかなり不規則で、むき出しの岩がヴォールト状にかぶさる天井も大きく歪んでいる。その不自然な空間が自然の神秘的な力をいっそう感じさせ、そこで奇跡が何回も起こったという伝承も、なるほどと思わされる。

このグロッタのすぐ手前には、シャルル・ダンジューによってつくられた軽快な垂直性を強調するゴシック様式の礼拝空間がまさに対比的な美学をもって設けられている。だが、我々が今日目にしているこのような姿は、十三世紀のアンジュー家の時代に形づくられたもので、実はその下に、七〜八世紀のランゴバルド時代に溯る元々の古い空間が潜んでいる。地下の聖空間であることから「クリプタCripta」と呼ばれている。壁にはたくさんの書き残された文字があり、いかに大勢の巡礼者が訪れたかを物語る。こうして、時代とともに立派な人工空間が加えられたが、逆に原初の形態の聖なるグロッタの存在感が、より大きくなっていったのだ。

聖ミカエルの聖所を出て西に歩くと、この町の最も高い地点に聳える巨大なカステッロが姿を現す。この城もまた、モンテ・サンタンジェロの町の歴史の重なりを物語る生き証人といえる。最近の発掘で、鉄器時代のネクロポリス(墓地)の上にこのカステッロがつくられたこともわかったが九世紀前半に溯る古い城砦が最初の核になったとみてよい。その後城は拡大され、アラゴン家の時代に、トルコ人の侵略の恐れと大砲の発明による戦術の変化を背景として、一四九一年〜九三年、ルネサンスの築城論にもとづき、本格的な拡張、再構築を実現した。設計は、十五世紀の最も著名な軍事建築家フレンチェスコ・ディ・ジョルジョマルティーニFrancesco di Giorgiomartiniとされる。

重要な巡礼地として、人々を引き付けてきたモンテ・サンタンジェロも、古くからの伝統や名声にどっぷり漬かるだけでなく、近年は新たな文化の潮流を生み出しつつある。修復で蘇り、公開されたカステッロは、その重要な核となる。同時に、起伏のある小高い山の上に展開する、変化にとんだ町の空間そのものが、周辺の自然環境と一緒に、高く評価されるようになってきた。

個々の建物としては、切妻形式の単純な庶民の住居にすぎないものが、地形の変化を巧みに読みながら、妻側を正面 にしていくつも連なると、そこに何ともいえぬ集合の美学が生まれる。そして、白壁に瓦屋根がのる家並みの列が、斜面 にセットバックしながらいくつも平行に並ぶと、中世に起源をもつジュンノ地区のような美しいパノラミックな眺めが実現する。切妻屋根の三角形がちょうど鋸の歯のように連続的に繰り返され、独特のリズムを刻んだ町並み景観は、モンテサンタンジェロをおいて、他にはない。

外から眺めても素敵だが、坂や階段が多く、外階段やバルコニーが随所に登場する変化にとんだ空間を彷徨うのは、もっと楽しい。このような町の内部の何でもない空間が近年見直されてきた。空家が多かったそうした内部の地区にも徐々に生活感が戻ってきている。観光客でにぎわう尾根のメインストリートを避け、落ち着いた雰囲気とより個性的な環境をたのしめる内部のゾーンに最近、洒落たレストランがいくつもオープンした。モンタ・サンタンジェロを訪ねる楽しみは、今確実に大きく広がりつつある。
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モンテ・サンタンジェロ(Monte Sant'Angelo)
プーリア州 フォッジャ県

交通アクセス
国鉄FS利用:ローマからフォッジャへ行き乗り換え。マンフレッドManfreddo下車。所要時間4時間半から5時間半。マンフレッド駅からはバスがモンテ・サンタンジェロまで出ている。

車利用:北から高速道路A14で南下してくる場合はカステッロ・ディ・サン・セヴェーロCasello di San Severo かフォッジャFoggiaで下りる。どちらからも下りてからは60km弱。
ローマからの場合は高速A1→A30→A16と乗り継ぎ、カンデーラCandelaで下りてフォッジャへ国道で進む。フォッジャからは一旦マンフレッドManfreddoへと辿ってから。

インフォメーション
観光協会Ufficio Informazioni turistiche Pro Loco
電話番号:(国番号39)0884-565520 Fax 0884/568056

参考サイト
ガルガーノ国立公園HPwww.gargano.it/
上記サイト内にあるモンテ・サンタンジェロ公式観光ページ
www.gargano.it/citta/montesantangelo/cultura/turismo.htm

 



著者プロフィール

陣内秀信 (じんない ひでのぶ)
1947年、福岡県に生まれる。東京大学大学院工学系研究科博士課程終了。
専門は、イタリア建築・都市史。現在は法政大学工学部建築学科教授。
日本におけるベネツィア研究の第一人者。
著書に「ヴェネツィア ―水上の迷宮都市―」講談社
   「都市を読む *イタリア」法政大学出版局
   「都市の地中海」NTT出版局
   「イタリア 小さなまちの底力」 講談社
   「地中海都市周遊」中公新書 福井憲彦氏との共著

本原稿でとりあげている都市については、著書の「南イタリアへ! ―地中海都市と文化の旅―」講談社現代新書に、他の魅力的な都市とともにさらに詳しく紹介されています。

 


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