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小都市を訪ねる旅  シチリアの町を歩く
5 November 2001
シチリアで最もエレガンスを感じる町



シラクーサ Siracusa  

シチリア島 シラクーサ
Sicilia − Siracusa




小森谷 慶子
siracusa1

   
私はこの連載を、当然のごとく、大好きなシラクーサからはじめようと思います。洗練された建築、海に囲まれた絶対的ロケーション、そしてここに住む人々がかもし出す空気。あらゆる点で、私がシチリアで最もエレガンスを感じるこの町は、その生い立ちからして別格なのです。今でこそ落ち着いた小都市(人口12万余)ですが、紀元前3世紀、つまりアルキメデスが暮らしていた頃は40万、奴隷や外国人を含めれば100万くらい ―アウグストゥス帝時代のローマくらい― の人口をもつ大都市でした。ローマが強大化する以前、紀元前5〜4世紀には西地中海海域に覇をとなえる列強国でもありました。
   
観光のポイントは、何といってもオルティージャ島L'isola di Ortigiaと、陸側の考古学公園Parco Archeologicoに分かれています。考古学公園へは昼間にバスかタクシーで往復すればいいので、宿をとるなら絶対にオルティージャ島です!(駅の近くは不便だし、風情がありません)。青い海に囲まれた、ドゥオモのある旧市街オルティージャ島は、シラクーサっ子のロマンチックな散歩場所なのです。
   
オルティージャ島にはここ数年でホテルが急に増えました。私のお気に入りは、港を見下ろすルーフレストランでの朝食がうれしい"グランド・ホテルGrand Hotel"。古い建物ながら、機能とインテリアは実にモダン。メインフロアの客室は、高かった天井を利用してメゾネットになっており、下が居間、上が寝室です。フロントやレストランに飾られている、シラクーサの人気現代画家タランキーノTranchinoの幻想的な絵も魅力の一つです。
   
●朝はまず、島の東側にたつ露天市場Mercatoに行きましょう!魚介や肉、青果から衣料品まで山盛りです。市場を背にした"ポルティッチョーロ・ダ・ピエロPorticciolo Da Piero"というトラットリアでは、新鮮な魚介料理がカジュアルに味わえます。昼時は地元の人で満席になりますから早めにどうぞ。そのすぐ近くのバスターミナルからは、旧市街への市バスはもちろん、バロックの町ノートNotoや、小さなギリシア劇場のあるパラッツォーロ・アクレイデPalazzolo Acreideなど近郊への青バスも発着しています。島の心臓部を通ってオルティージャ島沿岸部を周回するミニバスも30分おきに出ています。

写真説明
上:エウリュアロス城砦 Castello Eurialo
右下:オルティージャ島の市場
左下:バロック様式のドゥオーモ ファサードは1963年震災後のもの
(写真提供 小森谷賢二氏)
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●日中のおすすめポイント。カラヴァッジョCaravaggioの絵に興味があるのなら、午前中にオルティージャ島のベッローモ美術館Galleria regionale del palazzo Bellomoへ。「サンタ・ルチアの埋葬Seppellimento di Santa Lucia」という大作があります。アントネッロ・ダ・メッシーナAntonello da Messinaの「受胎告知Annunciazione」もお見逃しなく。考古学に興味がある方は、陸側のパオロ・オルシ考古学博物館Museo Archeologico regionale "Paolo Orsi"へ。収蔵品の量と質からいっても地中海で最も重要な博物館の一つで、これで半日はかかってしまいます。古代ギリシア劇場や石切り場のある考古学公園は午後も開いていますのでご安心を。ギリシア劇場では、毎年5月半ばから7月にかけて観客席が設けられ、連日ギリシア古典劇を上演します(切符の購入は直接遺跡にて)。私もここで「オイディプス王」や「アガメムノン」などを観賞しました。
   
ところで、考古学公園の入り口には土産物の屋台がたくさん出ていますが、ここで売られているパピルスの大半は安価なエジプト産です。シラクーサさんのパピルスや額絵を売る店は、グランド・ホテル近くのポルタ・マリーナPorta Marinaに2件あります。ギリシア壷を描いたものなどはよい記念になるでしょう。お土産ついでに、甘いものなら菓子屋でシチリア名物のしっとりとしたアーモンド粉のクッキーBiscotti alla mandorlaを詰め合わせてもらいます。1ヶ月くらいは日持ちします。観光局のあるマエストランツァ通りVia della Maestranzaやその横道には、知的な本屋やモダンな画廊もあります。
   
●日が傾いたら、ドゥオモ広場Piazza del Duomoへ。バロック様式のドゥオモのファサードに黄金の西日があたって荘厳です。中に入ってみましょう。紀元前5世紀に女神アテナに捧げられたギリシア神殿が教会堂に改造されているのが分かります。ドゥオモを出てから、ギリシア本土から地底を逃げ延びてきた妖精アレトゥーサが変身したという泉のほとりFonte Aretusaや港の散歩道Foro Italicoで、赤い夕日が海に沈むひと時を過ごしてください。地元の人も三々五々集まってきます。
   
さて夕食です。シラクーサの人々が友達と食事に出かけるのもやはりオルティージャ島。冷凍ものは許さないという頑固な人々は、入り口に生魚を並べている老舗アルキメーデRistorante Archimedeに行きます。メカジキの細切れをつかったアルキメーデ風パスタが美味!食後には、香り抜群のみかんのシャーベットが絶対おすすめ。素潜りの記録保持者であるエンツォ・マヨルカEnzo Maiorca氏も時々顔を出す常連だそうですが、私はまだ会ったことがないので残念。そういえば、ここにもタランキーノの大きな絵があります。若者たちは、もっぱら向かいのピッツェリーア・アルキメーデへ。食後も是非、夜間照明のすてきなドゥオモ広場やアルキメーデ広場をそぞろ歩きして、食後酒などを召し上がってください。ノートやシラクーサのモスカート(マスカット種のデザートワイン)がそぞろ歩きをより楽しくしてくれることでしょう。


シラクーサデータ
Dati di Siracusa

■アクセス
カターニア空港から直接バスにて約1時間半。パレルモからは直行バスで4時間弱。ローマから列車もあり。

■観光局(シラクサ市内) AAST

住所:Via Maestranza 33, 96100 Siracusa
Tel.:(国番号39) 0931-65201 / 464255  Fax: 0931-60204
*地図や情報の入手に限らず、パピルスの繁るアナポ川を案内する船頭さんを紹介してくれたり、初夏のギリシャ劇場の情報などいろいろ相談に乗ってくれます。

■観光局(シラクーサ県内) APT

住所:Via S. Sebastiano 45, 96100 Siracusa
Tel.: (国番号39)0931-67710 / 481232

■おすすめのホテル・ペンション
Grand Hotel  本文中に出てくる4ッ星ホテル
住所:Viale Mazzini 12, Siracusa
Tel.:(国番号39)0931-464600  Fax: 0931-464611

Domus Mariae  海辺沿いの3ッ星 
住所:Via Vittorio Veneto 76, Siracusa
Tel.: (国番号39) 0931-24854   Fax 0931-24858

L'Acanto B&B  経済的ペンション
住所:Via Roma 15, Siracusa    Tel./Fax:(国番号39) 0931-461129
E-mail:lacanto@tiscalinet.it     HP:www.pc-serv.net/l'acanto

Grand Hotel Villa Politi カプチン僧の石切り場に建つクラッシックな別荘タイプ
住所:Via M. Politi Laudien 2, Siracusa 
Tel:(国番号39)0931-412121 Fax: 0931-36061

■おすすめのレストラン・トラットリア
Archimede
住所:Via Gemmellaro 8, Siracusa / Tel.:(国番号39)0931-69701 /  無休

Trattoria del Porticciolo da Piero
住所:Via Trento 22, Siracusa / Tel.:(国番号39) 0931-750246 /   月曜休み

*その他の見どころ、詳細は小森谷慶子著 『シチリアへ行きたい(新潮社)』をご覧ください*

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著者プロフィール

小森谷慶子(こもりや けいこ)
東京女子大学文理学部史学科卒。特に南イタリアを対象とするイタリア史研究者。著書は『魅惑のローマ』(グラフィック社)、『シチリアへ行きたい』(新潮社とんぼの本、1998年に国際ジャーナリズム賞審査員特別賞を受賞)、『ローマ古代散歩』、『ナポリと南イタリアを歩く』(いずれも新潮社とんぼの本)。ご主人で建築家の小森谷賢二氏が写真を担当。


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