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小都市をたずねる旅 -  シチリアの町を歩く バックナンバー
5 Marzo 2002
バロックの迷宮イブラをさまよう



ラグーサ Ragusa  
  


シチリア島 - ラグーサ
Sicilia - Ragusa




小森谷 慶子

*本文最後に「シチリアへ行きたい」の本をプレゼント!
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拙著『シチリアへ行きたい』の表紙に写っている町、それが今回ご紹介するラグーサのイブラIblaという旧市街です。「島の中の島」とも呼ばれ、深い渓谷に囲まれた、まさに島のような町は、蜂蜜色のバロック建築と迷路状の街路を特徴とし、見知らぬ町に入り込んだという強い旅情をかきたてる、とっておきの町なのですが、ほとんど観光化されていません。イブラには観光バスが入れないので、団体ツアーが訪れることも稀なのです。バロック芸術に麻痺していた西欧でバロックの再評価が始まったのはつい最近のこと。これから観光地としての評価も高まっていくことでしょう。

そんなラグーサの神秘的な美しさにいち早く気付いていたのが映画人です。タヴィアーニ兄弟の『カオス・シチリア物語』(1984年)には、近郊の農園風景と、イブラの中心にバロック様式のファサードをそびえさせているサン・ジョルジョ聖堂Duomo di San Giorgio前の、ヤシの木の並ぶ広場が何度も出てきて、画面に独特の匂いをもたらしています。

●観光スポット
ラグーサは県庁所在地ですから、カターニア空港からバスもあるし、シラクーサからは鈍行の鉄道もあります。農業や酪農だけでなく、石油やタール石といった資源を産するために、町がシチリアで最も裕福な上、清掃が行き届いており、市民の生活レベルとホテルや商店のデザイン感覚が北イタリア並みなのです。しかもマフィアがいない都市として知られ、そのためか市民の表情が明るく、人柄が鷹揚なように思われます。町は、1693年の大震災以来、旧市街の復興と、新市街の建設が、共にバロック様式によって発展しました。教会のみならず、貴族の館の玄関のかなめ石やバルコニーなども面白い彫刻で飾られています。

   写真説明
上:ラグーサ・イブラ遠景
左下:ラグーサ・イブラのサン・ジョルジョ聖堂
右下:近郊のムーリ・ア・セッコ
(写真提供:小森谷賢二氏)
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サン・ジョヴァンニ聖堂Cattedrale di San Giovanniを中心とする新市街から旧市街のイブラへは市バスもありますが、車両用のつづら折れ道路を通らずに、新市街の西はずれにあるサンタ・マリア・デッラ・スカーラS.M.della Scala教会(本文中のタイトル脇写真)から谷底にあたるプルガトリオ教会Chiesa del Purgatorioまで、道路に隠された階段をひたすら下りていくのが面白いですよ。谷底にあたる通りの東側に面したコセンティーニ館Palazzo Cosentiniのバルコニーを支える彫刻をお見逃しなく!その西側には迷路状の裏通りが広がっていますが、鼻を利かせてひたすら西を目指せば、映画で見たサン・ジョルジョ聖堂前のドゥオモ広場Piazza Duomoに出ます。広場の隅の路地奥には、素朴な郷土料理を食べさせるウ・サラチヌ U Saracinuもあります。また、ドゥオモ広場から東へ目抜き通りを進むと、トルナトーレ監督が『明日を夢見て』(1995年)を撮影したサン・ジュゼッペSan Giuseppe教会前の広場もあります。

新市街に帰るには、夕方7時過ぎまで30分に1本くらいの割でバスがありますが、タバコ屋Tabaccaioで券を買うときに、何時にどこからバスが出るのか確認しましょう。イブラには住民が少ないので、夜は明かりのともる窓が少なく、町の家並みが黒っぽい固まりと化し、摩訶不思議な光景です。

●お土産と郷土料理
お土産には、ローマ時代の詩人ヴェルギリウスが讃えたイブラの蜂蜜や、シチリア一おいしいと言われるricottaやアーモンド粉の菓子、名物のモディカ牛の乳で作ったカチョカヴァッロcaciocavallo(カチョはチーズの意味で、馬<カヴァッロ>の背に荷をのせるように、昔は二ケずつ紐で縛って吊るして熟成した)がおすすめです。郷土料理としては、冬場ならオレンジのサラダinsalata di aranciaやマックmaccuという豆のポタージュといった野菜料理や、リコッタをつめたラヴィオリなどが美味しく、チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアCerasuolo di Vittoriaという芳醇な地元の赤ぶどう酒がおすすめです。デザートは、ムパナティッギmpanatigghiというギョーザ風ドルチェが有名。

●ラグーサ周辺の魅力
この町に泊まってラグーサ県下の田舎道をレンタカーでドライヴするのも乙なものです。ラグーサ、モディカModica、シクリScicli、コミソComisoといったバロックの町の郊外には、タヴィアーニ兄弟の映画にも何度も出てきますが、ムーリ・ア・セッコmuri a seccoという、モルタルを使わない石積み塀で仕切られた農地が広がり、広い中庭をもつマッセリーアmasseriaという大農場があったり、カルッボcarruboというイナゴ豆の木が濃い緑の影を作る牧場で、牛や馬がのんびり草を楽しんでいたりして、実に心がなごみます。


ラグーサデータ
Dati di Palermo

■アクセス
カターニア国際空港Aeroporto di Cataniaからバスで約2時間。あるいはシラクーサから国鉄で約2時間。シラクーサからはバスもある。
■県観光局(AAPIT Ragusa)
Via Bocchieri 38 Ragusa
電話番号 : (国番号39) 0932-621421 Fax : 0932-623476
E-mail : info@ragusaturismo.com
事前に依頼すれば、イブラ散策のためのガイドを紹介してもらうことも可能。なお、この観光局の建物(Palazzo La Rocca)は、サン・ジョルジョ聖堂の裏手にあり、バルコニーの彫刻が面白いバロックの館の一つです。   
■ホテル 共に快適で値ごろな四ツ星で、レストランもあり。

Mediterraneo Palace メディテラーネオ・パラス
Via Roma 189 電話番号:(国番号39)0932-621944 Fax: 0932-623799 新市街の商店街どおりに面していて、地下に駐車場あり。その裏手には考古学博物館があります。

Rafael ラファエル
Corso Italia 40 電話番号:(国番号39)0932-654080 Fax: 0932-653418 目抜き通りに綿糸、内装のセンスがよい小さなホテル。全室機能的なシャワーのみ。
■話題のアグリツーリズム
Eremo della Giubiliana エレモ・デッラ・ジュビリアーナ Contrada Giubiliana
電話番号:(国番号39)0932-669119 Fax: 0932-623891
町から約9km離れた五ツ星の農場ホテルで、16世紀には聖ヨハネ騎士団が泊まったこともある修道院であった。20ヘクタールもある敷地内には飛行場まで完備。

■レストラン U Saracinu ウ・サラチヌ
Via del Convento 9
電話番号(国番号39)0932-246976 (水休)
イブラのドゥオモ広場の一角

*その他の見どころ、詳細は小森谷慶子著 『シチリアへ行きたい(新潮社)』をご覧ください*

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著者プロフィール

小森谷慶子(こもりや けいこ)
東京女子大学文理学部史学科卒。特に南イタリアを対象とするイタリア史研究者。著書は『魅惑のローマ』(グラフィック社)、『シチリアへ行きたい』(新潮社とんぼの本、1998年に国際ジャーナリズム賞審査員特別賞を受賞)、『ローマ古代散歩』、『ナポリと南イタリアを歩く』(いずれも新潮社とんぼの本)。ご主人で建築家の小森谷賢二氏が写真を担当。

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