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小都市をたずねる旅 -  シチリアの町を歩く バックナンバー
5 Aprile 2002
溶岩で飾られたバロックの町



カターニア Catania  
  


シチリア島 - カターニア
Sicilia - Catania




小森谷 慶子

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カターニアはシチリア第2の大都会だけれど、商業都市だからあまり歴史的な見どころはなさそう…そう思って素通りしている人が多いのではないでしょうか。カターニアは確かに広いのですが、実はこの旧市街には面白い見どころがたくさんあるのです。出来れば旧市街にホテルをとり、もっぱら徒歩で散策するといいでしょう。例えば、私のお気に入りのホテル・ロイヤル。エレベーターがなく、シャワーだけというのが嫌な人は、目抜きのエトネア通り北側にある4ッ星セントラル・パラスでもいいでしょう。設備の慎ましさを我慢できる人にはロイヤルの立地は最高です。まず、クラッシックな広間とバールに面して広いテラスがあり、暖かい季節にはここで朝食がとれます。そこから東に向かってスロープになっているサン・ジュリアーノ坂 Via Sangiuliano の突き当たりには青い海が光り、すぐ眼下の横丁は、バロックの教会が立ち並ぶクロチーフェリ通り Via Crociferi なのです。ゼッフィレッリ監督の映画『尼層の恋』を見ておくと感激もひとしおです。また、にぎやかで楽しい露店市場やドゥオモも近いし、島内で2番目に重要なベッリーニ劇場 Teatro Massimo Bellini へだって徒歩で行けます。

●見どころ
もとイエズス会の校舎であった Collegio や、カターニア大学 Università では、黒い溶岩と白い石灰岩でじゅうたんのような模様をつくっている中庭が見ものです。フェデリーコ2世の建てたウルシーノ城 Castello Ursino、『ノルマ』や『夢遊病の女』などを作曲したベッリーニの生家 Museo Belliniano、『カヴァレリア・ルスティカーナ』や『マラヴォリアの人々』で知られる真実主義の作家ジョヴァンニ・ヴェルガの家 Casa natale di Giovanni Verga など、見どころは全て旧市街にかたまっています。広壮な旧ベネディクトゥス派の修道院(現在はカターニア大学校舎で、自由に入れます)が建つ坂の上のダンテ広場あたりは、古代にアクロポリスでした。その斜面の南側には、ローマ劇場やオデオン、ローマ浴場のドーム跡などがさりげなく残っています。


   写真説明
上:エトナ Etna 山頂からのパノラマ
左下:アーチ・トレッツァのキュクロプスの岩
右下:ベッリーニ劇場
(写真提供:小森谷賢二氏)
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カターニアの守護聖女アガタ Santa Agata を奉るドゥオモは、1693年の地震で壊れた後、バロック様式で再建されましたが、後陣部分にはノルマン時代の構造が残っています。宝石におおわれた聖櫃でもある聖女アガタの像は、2月3日〜5日までのサンタ・アガタ祭りの際に取り出され、熱狂的な信者によって旧市街を担ぎまわされます。

●食べ物
食事をするなら、市場の近くや、クロチーフェリ通りの北側には学生向けの気さくな飲食店が夜遅くまでにぎわっています。近くにカターニア大学法学部の建物があるからです。ベッリーニ劇場の周辺にも、楽団向けのおいしい切り売りピッツァの店や多様なレストランがあります。私のお気に入りは、気取らない老舗のフィノッキアーロ Finocchiaro です。 カターニアには、ベッリーニのオペラにちなむ「ノルマ風 alla Norma 」というパスタがあり、ナス入りトマトソースに塩リコッタをふりかけたオーソドックスなものです。冬場には、エトナの南側でとれる血の色のオレンジがあります。小さいものは生ジュース spremuta にして、班に赤いタロッコ tarocco はそのまま果物としていただきます。

●近郊
もしもレンタカーで旅をしているならば、近郊の漁師町アーチ・トレッツァ Aci Trezza に魚介料理を食べに行ったらどうでしょう。カターニア駅前から公共バスもあります。ヴィスコンティ監督によるネオ・レアリズムの名作『揺れる大地』(1948年)の舞台となった漁村で、黒い岩礁が点々としています。おいしいウニのパスタ pasta ai ricci di mare を狙うなら、前々から予約しておく方が確実でしょう。私の知っているヴェルガ・ダ・ガエターノ Verga da Gaetano は、この映画で主人公の漁師と有名なキスシーンを演じた女の人のご主人が経営しており、店の奥には映画のポスターがいっぱい貼ってあります。
エトナ登山は夏場の晴れた日を選びましょう。レンタカーができれば半日ですむのですが、登山口まで公共バスを使おうとすると、(バスはレストランや土産物屋で働く人々のためのものなので)行きは早朝に1便、帰りは夕方に1便しかなく、丸一日つぶれてしまいます。また、エトナ山頂付近は夏場でもかなり寒いですので、厚手のセーターなどを用意しましょう。
もう少し遠出をするなら、他にも陶器の町カルタジローネ Caltagirone がお勧めです。カターニアから国鉄の鈍行で約2時間。バスもあります。旧市街のサンタ・マリア・デル・モンテの大階段の蹴上げには、名物のマヨルカ焼きタイルが張られていて壮観です。旧市街のウィンドゥというウィンドゥには様々な陶器が並び、絵付けの実演が行なわれ、橋のらんかんや市民公園も陶器で飾られており、町そのものが陶器の博覧会場といったところです。


カターニアデータ
Dati di Catania

■アクセス
カターニア国際空港から空港バス、もしくは市バス、あるいはタクシーで15分ほど。パレルモからはバスで約3時間と、国鉄よりも早い。他の都市との便も複数のバス会社が運行しており、ローマなど本土からの便もある。
■県観光局(APT)
Via Cimarosa 10 Catania (ベッリーニ公園の南。無休)
電話番号 :(国番号39) 095-7306222 Fax : 095-316407
E-mail : apt@apt.catania.it   
HPwww.apt.catania.it
空港内:電話番号(国番号39)095-7306266 - 
中央駅内:095-7306255 - 港:095-7306209   
■ホテル
ホテル・ロイヤル Hotel Royal
Via Roma 189
電話番号:(国番号39)0932-621944 Fax: 0932-623799
Via A. di Sangiuliano 337
電話:(国番号39)095-313448 Fax:095-325611
中庭に駐車場があるので、レンタカー旅行者にも便利

セントラル・パラス Central Palace
Via Etnea 218
電話:(国番号39)095-325344 Fax:095-7158939
裏路地から駐車場に入れる


■レストラン
フィノッキアーロ Finocchiaro
Via Euplio Reina 13 (Piazza Università から徒歩数分)
電話:(国番号39)095-7153573 - 7152877
ヴェルガ・ダ・ガエターノ Trattoria Verga Da Gaetano
(Aci Trezza の港に面している。木休)
Via Provinciale 119  
電話:(国番号39)095-276342

■ベッリーニ劇場 Teatro Massimo Bellini
電話:(国番号39)095-7150200 Fax:095-321830
E-mail : teatro.bellini@citiesonline.it
HP: www.teatromassimobellini.com

■郊外へ行くバス
国鉄駅前のバスターミナルから出発するが、バス券の購入先は、バールやバス会社の窓口などいろいろ異なるので、辺りにいる地元の人や運転手に尋ねるしかない。バスの時刻は各バス会社の窓口に貼ってある。

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著者プロフィール

小森谷慶子(こもりや けいこ)
東京女子大学文理学部史学科卒。特に南イタリアを対象とするイタリア史研究者。著書は『魅惑のローマ』(グラフィック社)、『シチリアへ行きたい』(新潮社とんぼの本、1998年に国際ジャーナリズム賞審査員特別賞を受賞)、『ローマ古代散歩』、『ナポリと南イタリアを歩く』(いずれも新潮社とんぼの本)。ご主人で建築家の小森谷賢二氏が写真を担当。




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