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小都市をたずねる旅 -  シチリアの町を歩く バックナンバー
6 Maggio 2002
とっておきのスポットへの拠点



トラーパニ Trapani  
  


シチリア島 - トラーパニ
Sicilia - Trapani 




小森谷 慶子

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5月といえばシチリアはもう夏!冬場にイキイキと咲き誇っていた小さな草花に代わり、黄金色の麦畑に真っ赤なケシが咲く夏!へたをするとアフリカから吹く砂塵混じりのシロッコという、ドライヤーのような熱風のために、空が白くかすんで太陽もおぼろになってしまうこともありますが、それも一興。真っ青な海にはまだリゾート客が押し寄せず、一足早く小麦色になることも可能です。今回は、島の西端に尖って突き出したトラーパニを拠点とした県下の見どころを紹介します。駆け足のグループツアーでは省かれがちですが、旅情たっぷりなので、是非個人で挑戦してみてください。本当は、パレルモの空港からレンタカーを借りるとよいのですが、トラーパニからマルサーラまではバスや列車があります。

●エリチェ Erice
まずお勧めしたいのは崖の上の町エリチェ。標高700メートルのヴィーナス神殿跡からは、光る塩田とエガディ諸島の島陰が眼下に眺められます。あるいは、霧が湧いて下界が見えないのもファンタジック!トラーパニの国鉄駅の南側からエリチェ行きバスが出ています。日帰りも可能とはいえ、できれば旧市街に宿をとってゆっくりしたいものです。エリモ Elimo やモデルノ Moderno といった風情のある3ッ星ホテルがエリチェにはあります。この町で素晴らしいのは石畳! 旧市街の城壁の基礎はフェニキア人によるものです。崖の先端には、ヴィーナス神殿の跡地がありますが、ここでは巫女さんが売春のような儀式を行っていたそうで、古代ローマ男性のあこがれの旅先だったようです。また、この土地では魚介ソースをかけて食べるクスクス Couscous が名物です。手間がかかる料理なので、値段はセコンド一皿よりも高めですが、満足度は充分。メニューにない店もありますから注意しましょう。お土産は、市心のトゥリパーノ Tulipano というお菓子屋さん自家製ドルチェ。いろいろ試した私に言わせれば、アーモンドのクッキーにヌガーなど、とてもおいしくて値ごろな店の一つです。
  
 写真説明
上:セリヌンテのアクロポリスのC神殿
左下:エリチェの母教会 Chiesa Matrice
右下:トラーパニの青空市場
(写真提供:小森谷賢二氏)
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トラーパニでは、旧市街で最もにぎやかなトッレアルサ通り Via Torrearsa の北端にある魚市場が面白いでしょう。また、カテドラルの建つヴィットーリオ・エマヌエーレ通り Corso Vittorio Emanuele はバロック建築の目抜き通りです。復活祭前の聖金曜日に行われるミステーリ(キリストの受難劇)の祭列は、スペイン支配化の17世紀にさかのぼる伝統をもち、ことのほか有名です。

●トラーパニ港から
港は旧市街の南岸にあり、エガディ諸島 Isole Egadi への船や水中翼船 Aliscafo、パンテッレリーア島 Pantelleria への船が出ています。5月には、エガディ諸島のファヴィニャーナ島 Favignana で"マッタンツァ Mattanza"というアラブ時代からの伝統的マグロの囲い込み漁が行われる日があります。日本のテレビや雑誌でも紹介されたことがありますが、狭められた網の中でマグロの群れがもんどりうち、それをカギで引き上げる血みどろの漁です。5月はマグロが産卵のために地中海中央のシチリアをぐるりと回遊するので、この季節ならマグロのステーキを食べられるかもしれません。名物であるマグロの卵巣を塩漬けにして干した、ボッタルガ Bottarga di tonno は、島内の市場や食品店で手に入るので、お土産にしてもいいでしょう。炒めたニンニクとイタリアンパセリを合えたシンプルなパスタに、細かく刻んだボッタルガをふりかけて混ぜて食べると最高です。

●神殿を訪れる
トラーパニの国鉄駅の南方からは、セジェスタ Segesta の神殿へのバスも出ています(約1時間、休日は便が少ないので注意)。ここの山頂には劇場もありますし、山道から見下ろす神殿も素敵です。 セリヌンテ Selinunte の神殿群を訪れたい方は、カステル・ヴェトラーノ Castel Vetrano まで電車かバスを利用し、そこからローカルバスに乗るのですが、本数が多くありません。黄金の浜で日光浴するつもりで、最寄のマリネッラ・ディ・セリヌンテ Marinella di Selinunte のガルツィア・ホテル Garzia あたりに一泊するのも悪くないかもしれません。なお、のんびりしたレンタカー旅行社なら、神殿のための石材を切り出したクーサの石切り場 Cave di Cusa を訪れることができるでしょう。紀元前5世紀に行われていた円柱切り出し作業が中断されたまま残っています。

●モツィア島 Mozia
古代カルタゴの基地だった小さな島で、遺跡が発掘されています。船着場の周囲には塩田が広がり、素晴らしい景観です。塩の収穫は夏なので、初夏には白い塩の小山がキラキラ光っています。島は、最近整備拡張された博物館の見学を含めて、2時間半くらいで一周できます。博物館では1979年に島内で出土した大理石のギリシア彫刻、青年像 Giovinetto di Mozia が見事! 春には花が咲き乱れ、ハチが飛び交うので、長袖とズボンで訪れた方が良いでしょう。この島の船着場へは、トラーパニからはバスがなく、マルサーラ Marsala へ向かうローカル線のスパニュオーラ Spagnuola 駅で下車して2km程歩いて戻るか、マルサーラの市心のポポロ広場から平日に出ているバスに乗ります。マルサーラには、マルサーラ酒工場の他、フェニキア船の残骸を展示する考古学博物館やローマ時代の遺跡もありますし、カテドラルも立派です。


トラーパニデータ
Dati di Catania

■アクセス
パレルモからトラーパニまではローカル線で2時間10分。パレルモ駅の東側バルサモ通り Via Balsamo にあるバスターミナルから、ほぼ毎時セジェスタ社のバスにて約2時間。エリチェにはさらにASTのバスで約1時間。
マルサーラへは、国鉄ローカル線の他、サレーミ社Autoservizi Salemi がパレルモ、マザーラ・デル・ヴァッロ、カステル・ヴェトラーノ(セリヌンテ最寄駅)を結ぶバスを走らせている(問い合わせ電話番号 イタリア39-091-6175411)。セジェスタへは本数が実に少ないが、タラントラ社がパレルモのマリーナ広場からバスを出しているので、うまくいけばパレルモからの日帰りも可能(電話 イタリア39-0924-31020)。 ファヴィニャーナ島までは水中翼船で約1時間。

■県観光局(APT)
Via San Francesco d'Assisi 27 Trapani
電話番号 : (国番号39) 0923-545511 Fax : 0923-29430
E-mail : apttp@mail.cinet.it /apttp@xomeg.it   
HPwww.apt.trapani.it/ www.cinet.it/apt   

■ホテル
トラーパニ市内では、駅の横の クリスタル Crystal (4ッ星 電話:0923-20000)や、旧市街の無料小型バスが発着するヴィットーリオ・エマヌエーレ広場に面した ヴィットーリア Vittoria (3ッ星 電話:0923-873044)などが小ぎれい。 また、麓の漁港ラ・トンナーラ・ディ・ボナージア La Tonnara di Bonagia には、特殊なマグロ漁のための船倉を改造した4ッ星ホテル La Tonnara di Bonagia が出来て話題になっている (電話:0923-431111 Fax: 0923-592177 E-mail: tonnarabonagia@framon-hotels.com )。
エリチェでは、エリモ Elimo - Via Vittorio Emanuele 75 電話:0923-869377 Fax:0923-869252)や、モデルノ Moderno (Via Vittorio Enamuele 63 電話:0923-869300 Fax:0923-869139) の2軒。モデルノはブオン・リコルドのお皿組合のレストランが入っている。 本文登場のマリネッラ・ディ・セリヌンテのホテル・ガルツィア Garzia (電話:0924-46024, 46045 Fax:0924-46196)


■レストラン
気取らない魚介の郷土料理の店2軒
ペッペ Peppe : Via Spalti, Trapani
電話:0923-28246
トラットリーア・デル・ポルト Trattria del Porto
:Via Ammiraglio Staiti 45, Trapani 電話:0923-547822

◆郷土ワインは県下のDOC、アルカモ Alcamo が有名。デザートワインとしては、マルサーラ Marsala や、芳醇なモスカート・ディ・パンテッレリーア Moscato di Pantelleria など。

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著者プロフィール

小森谷慶子(こもりや けいこ)
東京女子大学文理学部史学科卒。特に南イタリアを対象とするイタリア史研究者。著書は『魅惑のローマ』(グラフィック社)、『シチリアへ行きたい』(新潮社とんぼの本、1998年に国際ジャーナリズム賞審査員特別賞を受賞)、『ローマ古代散歩』、『ナポリと南イタリアを歩く』(いずれも新潮社とんぼの本)。ご主人で建築家の小森谷賢二氏が写真を担当。




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