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小都市をたずねる旅 -  ラ・ミア・トスカーナ バックナンバー
5 Luglio 2002
ホメロスの『オデュッセイア』をポケットに入れて



エオリエ諸島 Isole Eolie  
  


シチリア島 - リパリ
Sicilia - Lipari  




小森谷 慶子

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* シチリア旅行についての質問募集中! 連載で取りあげた町でもそうでない町でも、何でもご質問ください。寄せられた質問を集めて、10月号で小森谷さんが回答します。質問には住所、氏名、Eメールアドレスを明記の上、 jitra@japanitalytravel.com 「シチリア質問係」までメールでお願いします。


   
古代には風の神アイオロスの住処として考えられていたエオリエ諸島は、シチリアとイタリア半島の間のティレニア海に浮かぶ火山群島です。各島は、雨水の他、タンカーからの給水を受けているので、フロとシャワーの水をふんだんに使うことは出来ませんし、水道水は飲めません。とはいえ、今非常に注目されているリゾート地です。夏のヴァカンスシーズンを少し外れた時期を狙い、できれば1週間くらいのんびりと予定をとって訪れてほしい所です。海が荒れると船が運休しますから、天気予報を気にしながら、本島に戻る時もゆとりを持ってください。

船旅になるので、まず重いトランクは足手まといです。必要なものだけリュックやボストンバッグに詰めて、重いトランクは国鉄のミラッツォ Milazzo 駅に預けましょう。この駅から港へは、市バスで10分くらい。メッシーナ Messina のウーゴ・バッシ通り Via Ugo Bassi から港へ直行するバスもあります。港に面した通りには、シレマール Siremar、スナヴ Snavなど、複数の船会社の切符売り場が並んでいますから、目的地と発着時間を比較して切符を買います。主要のリパリ島まではヴルカーノ島経由で約1時間です。

●リパリ Lipari島
まずは群島の首都であるリパリへ。ここでは、石器時代にさかのぼる住居跡が出土している城砦地区 Castello に建つ考古学博物館 Museo Archeologico が見ものです。時代ごとに棟が分かれており、クラッシック期の壷類や演劇の仮面のミニチュア、宝飾品のセクションは特に見応えがあります。博物館のすぐそばのムニチピオ広場 Piazza Municipio には、地中海世界でも名の知れたレストラン、フィリッピーノ Filippinoがあります。私の本(新潮社『シチリアへ行きたい』)に料理の写真や名前が載っているので参考にしてみてください。エオリエ諸島では、トタニ Totaniという深海イカのグリルが美味しいですよ。不老長寿の神々の酒ネクターを思わせる芳醇なマルヴァシア Malvasia というデザートワインも是非味わってください。リパリには、白灰色の軽石の採石場 Campo bianco や、見晴台がいくつかありますから、観光も楽しめます。
  

 写真説明
上:サリーナ島からフィリクーディ島を望む
左下:フィリクーディ島のホテル「ラ・カンナ」‐赤いのはトマト
右下:ストロンボリ島のジノストラ村
(写真提供:小森谷賢二氏)
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●ヴルカーノ Vulcano島
リパリの南に浮かぶヴルカーノ島は、今でも硫黄臭い噴煙をくすぶらせている活火山です。ここのリゾートホテルのビーチは、素敵な黒砂です。この島では海のほかに、水着を着て屋外の泥んこ温泉につかる人もいます(更衣室やシャワーはなし)。山登りが好きな人には、硫黄の煙が吹き出ている火口までのトレッキングが楽しいでしょう。標高わずか391mですから半日で往復できます。ただし、足場はスリルに富んでいて、所々ジャンプしないと越えられない溝もあるので、しっかりした靴が必要。水も持っていくべきです。火口を一周すると粉塵でズボンの裾は真っ白になってしまいます。

●サリーナ Salina島
リパリの北にある、美しい双子山をのせたサリーナ島は、島の西端のポッラーラ Pollaraの浜(陥没した火口)で、映画『イル・ポスティーノ』が撮影されたことで有名になりました。植物相が豊かな農業の島で、ここのカッペリ capperi(ケッパー)の蕾、および実の塩漬けは、イタリアでNo.1と言われています。晩夏に山歩きをしていると、農家が戸板の上にブドウを干しているのを見かけますが、これは糖度の高いマルヴァシア酒をつくるためのものです。

●フィリクーディ Filicudi島とアリクーディ Alicudi島
サリーナ島の西には、フィリクーディ島と小さなアリクーディ島があります。フィリクーディ南端のグラツィアーノ岬 Capo Graziano には、丸い小屋の囲いが点在する青銅器時代前期の集落跡がそのまま残っています。悠久の時を感じる素晴らしい空間です。アリクーディは、車道がないのでロバが荷物を運んでくれます。モレッティ監督の『親愛なる日記』で電気のない島として登場したところです。

●パナレーア Panarea島
サリーナ島の東にあるパナレーア島は、若者に人気のリゾート地で、若者向けのペンションやブティック、レストラン、ディスコなどが揃っています。そのように繁華な市街地を抜けて、南端のミラッツェーゼ岬 Capo Milazzese を目指すと、やはりここにも青銅器時代中期の集落跡があります。眼下の入り江が美しい。この付近の海では、ミケランジェロ・アントニオーニの『情事』が撮影されました。

●ストロンボリ Stromboli島
さらに北に浮かぶストロンボリ島は、常時噴火を繰り返している活火山島です。ロッセッリーニ監督の『神の島ストロンボリ』では、古い因習の残る島として描かれていますが、今ではリゾート地化しています。
思いっきりプリミティヴな気分に浸ってみたい時は、ストロンボリ島西端の孤村ジノストラ Ginostraに隠棲してみてください。オデュッセウスの時代を旅しているつもりで、未開の生活を目一杯楽しみましょう。ここではお湯の出るシャワーやレストランなどを期待してはいけません。トイレに紙を流してもダメ。海水が汚れるから。車道もありません。アリクーディ同様、ロバのみが輸送手段です。民家の屋根についているレーダー装置のようなものは自家発電装置!そう、ここには電気も届いていないのです(ここ数年で何らかの変化があったら御免なさい)。懐中電灯をお忘れなく!食料品屋が一軒ありますから、ろうそくやワイン、水は手に入るし、飢え死にすることはありませんが、美味しい魚やロブスターにありつきたいと思ったら、漁師と仲良くなって漁に連れて行ってもらうことです。尚、ジノストラには海水浴場はありません。


エオリエ諸島データ 
Dati di Eolie 

■アクセス
最寄の空港はレッジョ・カラブリア Reggio Calabria。あるいはカターニア Cataniaかパレルモ Palermo。最寄の国鉄駅はミラッツォ Milazzo。港までは市バスが往復している。 トラゲット Traghetto(船)は、ミラッツォとナポリを往復する路線が主な島を経由。アリスカーフォ Aliscafo(水中翼船)は、ミラッツォからは頻繁に、またレッジョ・カラブリアからも出ている。夏季はパレルモ、チェファル Cefalù、トロペーア Tropea、ナポリ Napoliなどからの便もある。

■観光局 AAST
Corso Vittorio Emanuele 202, Lipari
電話:(国番号39)090‐9880095 Fax:090‐9811190
E-mail : aasteolie@netnet.it /infoaast@netnet.it   
HP:www.netnet.it/aasteolie   

■おすすめのホテルおよびレジデンス
(各島には、高級なものから値ごろなものまで各種ホテルのほか、民宿 Affittacamere(部屋貸し)もたくさんあります。観光局で是非リストを入手してください。港で民宿の主が客引きをしている場合もあります。島内観光の車やボートを出してくれるおじさんもいるので、港でリサーチしましょう)

●リパリ島
◇ホテル・ヴィッラ・メリグニス Hotel Villa Meligunis
電話:(国番号39)090‐9812426 Fax:090‐9880149
 E-メール:villameligunis@netnet.it

●パナレア島
◇ホテル・チンコッタ Hotel Cincotta
電話:(国番号39)090‐983014 Fax:090‐9880207


■おすすめレストラン
●リパリ島
◇フィリッピーノ Filippino
Piazza Municipio, Lipari 電話:090-9811002

◇エ・プレーラ E Pulera
Via Diana, Lipari 電話:090‐9811158

■注意 ヴァカンスではない遺跡めぐりの旅なら、日中は40度以上にもなる盛夏のシチリアは避けた方がいいかもしれません。夏場は強力な蚊が出ることもあるので、ホテルでは必ず電気蚊とりをつけてもらい、日中や草むらでは虫除けスプレーをお忘れなく。

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著者プロフィール

小森谷慶子(こもりや けいこ)
東京女子大学文理学部史学科卒。特に南イタリアを対象とするイタリア史研究者。著書は『魅惑のローマ』(グラフィック社)、『シチリアへ行きたい』(新潮社とんぼの本、1998年に国際ジャーナリズム賞審査員特別賞を受賞)、『ローマ古代散歩』、『ナポリと南イタリアを歩く』(いずれも新潮社とんぼの本)。ご主人で建築家の小森谷賢二氏が写真を担当。




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