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小都市をたずねる旅 -  かかとの先まで〜プーリア発見の旅 バックナンバー
15 Gennaio 2003
 



第1回 バーリ Bari を起点として 



 



小森谷 慶子
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昨年までのシチリアに引き続き、今年はプーリア Pugliaの町歩きについて連載をさせていただくことになりました。

南イタリアのアドリア海 Mar Adriatico 側を占めるプーリア州は、イタリアきっての農耕の地、そして食の宝庫です。見渡す限り麦畑、オリーヴ園、ぶどう畑が広がり、伝統的な農場を改造したアグリツーリズムなども増えています。もちろん海辺の町では新鮮な海の幸を満喫できますし、ワインの名産地でもあります。また、ターラント Taranto やブリンディシ Brindisi のような、古代史を語る上では欠かせない町の考古学博物館を巡ったり、各港町が誇るロマネスクの教会や、13世紀イタリアの天下をローマ教皇と二分したフェデリーコ2世 Federico II のお城を訪ねるといった楽しみもあります。

それではまず、プーリア観光の拠点となる州都バーリ Bari から始めましょう。

 写真説明
上:バーリ旧港の眺め
左下:バーリ城
右下:サン・ニコラ聖堂
(写真:小森谷賢二氏 )
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◆ 町の歩き方
バーリは人口が約35万の大都会で、農産物や家具などの国際見本市が行なわれる経済都市です。1990年のワールドカップのために建築家レンツォ・ピアノが設計したサッカースタジアムも有名です。日本からはバーリ国際空港に直接入るのが便利でしょう。空港から駅前まではバスがありますが、ここから直接ハーツやエイビスなどのレンタカーを借りて(国際免許が必要)、のどかな田園風景を楽しみながらアグリツーリズムに泊まり歩く旅も素敵です。

さて、ホテルですが、バーリはビジネスの町なので4ッ星クラスなら色々あります。駅の目の前に建つ「レオン・ドーロ Leon d'Oro」ならタクシーに乗り継ぐ手間が省けます。ホテルのレベルにうるさい人は、最高級の「パレス Palace」なら間違いがないでしょう。格は下ですが、カブール通りに面したクラッシックな「オリエンテ Grand Hotel Oriente」には風情があります。レンタカー旅行者には、国鉄駅南側の「ヴィッラ ロマナッツィ Villa Romanazzi Carducci」がお勧めです(※いずれも下記ホテルデータをご参照ください)。

バーリの市街地は碁盤の目のように整然としていますが、これはナポレオンの妹婿ミュラの時代に都市計画されたもので、目抜き通りのコルソ・カブール Corso Cavour にはオペラ座(火災にあって修復中)やカフェが並んでいます。この通りの中程にあるジェラート屋「デ・ガスペリーニ De Gasperini」はフルーツ味のもので有名です。実際、果肉がたっぷり!ドレスやバッグなどのブティックはスパラノ通り Via Sparano に集まっています。

◆ 観光の見どころ
市内観光の主眼となる歴史的建造物は全て、海に突き出た旧市街チッタ・ヴェッキア Città Vecchia に集中しています。但し、この周辺は『引ったくり scippo』のカモを探す二人乗りのバイクが爆音を響かせており、ちょっと用心が必要です。ネックレスやイヤリング、腕時計などははずし、バッグ類は持たず、足回りのよいカジュアルな格好になりましょう。実は、プーリアのバーリ、ターラント、ビトントといった都市の旧市街はあまり治安が良くないのです。もしもカメラやガイドブックを持っていきたいなら、スーパーの買い物袋のようなビニール袋に入れてさりげなく持つなど工夫した方が良いでしょう。夫がカメラを入れた大きなバッグを提げて歩いていると、バールの人も通りすがりのご婦人も「そんな物を持って旧市街を歩いてはいけない」と注意してくれました。地元の少女達はアクセサリーをジャラジャラつけているのですが、「私たちは知り合いだから大丈夫なの」と涼しい顔をしていました。とにかく用心が一番です。

旧市街の見学時間は2〜3時間は必要です。まず、フェデリーコ2世が聖フランチェスコを泊めて、女を遣わせて堕落させようとしたができなかったという碑文の出土した城 Castello を眺め、その東側に建つドゥオモの南隣の司教館博物館では、羊皮紙に書いた11世紀の祈祷書の巻物を見学することもできます。ドゥオモの北側の道を進むと、ドゥオモも顔負けの堂々としたサン・ニコラ聖堂 S. Nicola があります。ここの司教座も有名なロマネスクの作品です。後陣を占めるバロック様式の墓碑は、15〜16世紀にバーリ公であったミラノのスフォルツァ家の末裔にしてポーランド王妃であったボーナ女公のものです。イタリアの勢力分布図には意外性がありますね。なお、聖ニコラは小アジアのミュラの司教だった人で、聖遺物は11世にここにもたらされました。子供たちの守護聖人として、北欧のサンタクロースのモデルでもあります。旧市街のメルカンティーレ広場 P.za Mercantile の近くには地元の人向けの立派なトラットリアがあります。私は試しませんでしたが、市場にも近く美味しそうでした。新市街に戻るには、サン・ニコラ聖堂の左手を回りこみ、城壁に沿って旧港に面した魚市場のある海岸通を戻ると良いでしょう。

ところで、プーリアには素晴らしいロマネスクの聖堂がたくさんあるのですが、見学するにはいくつかのポイントを押さえておくと良いでしょう。まず、ロマネスクの聖堂は必ず西を向いているので、ファサードの写真を巧く撮りたいのであれば、昼過ぎが良いでしょう。午前中では逆光になるし、夕方ではファサード彫刻の陰影に乏しい平たい写真になってしまいます。但し、聖堂は正午から4時か5時までは閉まってしまいます。また、主祭壇の下には必ず立派なクリプタ cripta (地下墓所)がありますので見逃さないようにしましょう。

なお、バーリからはスッド‐エスト線 Sud-est やアプロ・ルカーネ線 Apulo-Lucane などの私鉄やバスが発着していますので、南イタリア観光の起点となります。日帰りで楽しめる見どころもいくつかあります。例えば、洞窟レストランのあるポリニャーノ・ア・マーレ Polignano a Mare、ロマネスク聖堂のあるビトント Bitonto、フェデリーコ2世の城があるジョイア・デル・コッレ Gioia del Colle等。沿岸部のロマネスク都市については別の機会にお話します。

バーリ・データ 
 Data di Bari

■アクセス
日本からならミラノ、もしくはローマ乗換えで直接バーリのパレーゼ Palese 空港へ。国鉄だとトリノ、ミラノ、ヴェネツィア、ボローニャ、ローマ等から寝台車や特急がありますが、気の遠くなるような時間がかかります。ナポリからのバスもあります。
空港からはバーリ駅までバスがあります。

■インフォメーション
◇バーリ観光局 APT Bari
(駅前)P.za Moro 32/a Bari
電話:(国番号39)080-5242244

◇バーリ考古学博物館 Museo Archeologico Provinciale
P.za Umberto I, Bari
電話:(国番号39)080-5211559/79

◇バーリ絵画館 Pinacoteca Provinciale
海岸沿いの東よりに建つ県庁舎内。近代絵画の中にティントレットやヴェロネーゼもある

■おすすめのホテル
◇レオン・ドーロ G.H. Leon d'Oro
P.za Moro 4, Bari
電話:(国番号39)080-5235040 FAX:5211555

◇オリエンテ G.H. Oriente
Corso Cavour 32, Bari
電話:(国番号39)080-5244011 FAX: 5243914

◇ホテル・パラス Hotel Palace
Via Lombardi 13, Bari
電話:(国番号39)080-5216551 FAX: 5214199

◇ヴィッラ・ロマナッツィ・カルドゥッチ G.H. Villa Romanazzi Carducci
Via Capruzzi 326, Bari

■新市街のおすすめのレストラン(いずれもオペラ座 Teatro Petruzzelli 周辺)
◇アイ・ドゥーエ・ギヨッティーニ Ai 2 Ghiottini
Via Putignani 11, Bari 電話: 080-5232240

◇ピッチンニ Piccinni
Via Piccinni 28, Bari 電話:080-5211227

◇ソルソ・プレフェリート Sorso Preferito
Via De Nicolò 46, Bari 電話:080-5235747

■バーリの歴史的祝祭
5月前半に守護聖人聖ニコラ祭があります。

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著者プロフィール

小森谷慶子(こもりや けいこ)
東京女子大学文理学部史学科卒。特に南イタリアを対象とするイタリア史研究家。著書に『魅惑のローマ』(グラフィック社)、『シチリアへ行きたい』(新潮社とんぼの本、1998年に国際ジャーナリズム賞審査員特別賞を受賞)、『ローマ古代散歩』、『ナポリと南イタリアを歩く』(いずれも新潮社とんぼの本)。今春には『シチリア歴史紀行』(白水社)を出版予定。ご主人で建築家の小森谷賢二氏が写真を担当。




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