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小都市をたずねる旅 -  ヴェネト見聞録バックナンバー
16 Giugno 2003

第三回 ヴェネツィア貴族の館めぐり

ヴェネト州−リヴィエラ・デル・ブレンタ(ヴェネツィア県)
Veneto−Riviera del Brenta(Provincia di Venezia) 

                  



三浦 和美
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東方交易によって巨額の富を蓄えたヴェネツィア共和国の貴族達が、ヴェネツィア本土から離れた“陸地Terra Ferma”に次々と豪奢な邸、ヴィッラVillaを建てていったのは、16世紀から18世紀頃。その目的は投資、ステータス・シンボルだけでなく、長旅での苦痛や危険を忘れて肉体と精神の休息の場を求めたこと(早い話、脱!ストレス)とされ、ヴィチェンツァ、パドヴァ、トレヴィーゾなどヴェネト州各地に散らばっています。なかでも、ヴィッラ群が集中しているリヴィエラ・デル・ブレンタはヴェネツィア・パドヴァ間に点在する、マルコンテンタMalcontenta、ミーラMira、ドーロDolo、スートラStra等、ブレンタ運河沿いの町々の総称。運河の水辺に競うように建ち並ぶこれらのヴィッラでは、初夏から晩秋にかけてこの地で遊休し、昼は狩や乗馬、夜は晩餐会・舞踏会に興じたという当時の貴族の贅沢な暮らしぶりを垣間見ることができます。

☆ みどころ
ヴィッラ・フォスカリ(ラ・マルコンテンタ)Villa Foscari(La Malcontenta) − Malcontenta
ヴィッラのある町と同名、マルコンテンタMalcontenta(不満)という別称を持つこのヴィッラ、その由縁は、姦通の疑いで主人からここに追放されたフォスカリ夫人(ニコロ・フォスカリの妻、エリザベッタ・ドルフィン、あるいはアルヴィーゼ・フォスカリの妻、エリザベッタ・ロレダンのいずれか)を意味するという説、度重なるブレンタ川の氾濫で悩まされた運河周辺の住民を指すという説があります。1555年、当時の天才建築家アンドレア・パッラーディオAndrea Palladioの設計によって完成以来、ヘンリーV世(1574)、エリザベスU世(1966)など多くの王侯貴族がここに滞在してきました。“問題の”フォスカリ夫人とされる絵が描かれているのは、神話をモチーフにしたフレスコ画が美しい2階のホールを入ってすぐ右側の部屋。立入り禁止の3階部分では、1974年に再びこのヴィッラの所有者となったフォスカリ家が今でも優雅に週末を過ごしているそうです。
オープン:4〜10月の火曜と土曜9:00−12:00、その他の日は要予約、Tel:(国番号39)041−5470012

ヴィッラ・ヴィッドマン・フォスカリ・レッツォーニコ Villa Widmann-Foscari-Rezzonico− Mira
1719年、ペルシャ出身のセリマンSeriman家によって建てられたこのヴィッラ、その後18世紀末に所有者となったヴィッドマン家によってロココ調の装飾に改装されました。比較的こじんまりとしたヴィッラで、ストラヴィンスキーやガブリエーレ・ダヌンツィオも泊まった邸内は、フラッシュなしであれば撮影が許可されています。ヴェネツィアン・ヴィッラにおいて建物同様、重要視された”庭“、ここでは妖精や乙女の像が愛らしい庭園の散策をお薦めします。 オープン:5〜9月10:00−18:00(火−日曜)、4月と10月10:00−17:00(火−日曜)、11〜3月10:00−17:00(土曜と日曜のみ)、閉館時間30分前まで入場のこと、月曜休館 Tel:(国番号39)041-424973  

写真説明
上:トップVilla Foscari(La Malcontenta)
左下:厩舎でさえこんなに立派!Villa Pisani
右下:ヴェネチアン・ヴィッラの庭園美を堪能!Villa Widmann
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バルケッセ・ディ・ヴィッラ・ヴァルマラーナBarchesse di Villa Valmarana−Mira
ヴィッラ・ヴィッドマンと運河をはさんで向かい合っているこのヴィッラ。“バルケッサBarchessa”という言葉は、当時、舟や農機具などを保管していた建物のことで、実はここには肝心のヴィッラ本体がありません。1866年サヴォイア王家の発布した固定資産税がヴィッラなどの贅沢な建物に重くのしかかり、税金を払いしぶった所有者ヴァルマラーナ家が1908年、ヴィッラを取り壊してしまったからです(なんとも、もったいない話ですね)。今ではヴィッラの横にあった2つのバルケッサの部分だけが残されていますが、内部はティエポロTiepoloの弟子、ミケランジェロ・スキアヴォンMichelangelo Schiavonのフレスコ画で鮮やかに彩られています。英国詩人バイロンが滞在していたミーラの町、運河を泳ぐ水鳥の姿も微笑ましく、ゆったりとした時が流れています。
オープン:9:30−12:00/14:30−18:00(火−日曜) 月曜休館 Tel:(国番号39)041-4266387

ヴィッラ・ピザーニVilla Pisani − Stra
ヴェネツィア総督アルヴィーゼ・ピザーニAlvise Pisaniの栄華を象徴するかのようなヴィッラ・ピザーニ。部屋総数114室、広大な公園内には厩舎、ラビリント(迷宮)があり、まず、そのスケールに圧倒されます。庭の部分は見学無料、有料の2階部分は見張り(?)のおばさまが、見学コースを一緒に連れ添ってくれます。衰退したヴェネツィア共和国はナポレオンに乗っ取られてしまい、このヴィッラはその後、ハプスブルク家が所有。1807年11月29日にナポレオンが泊まった第81番目の部屋には、彼が寝たというNの頭文字入りのド派手な天蓋付き黄金ベッド、隣の部屋にはナポレオンの(以外にも乙女チックな)トイレが置かれています。また、1934年、このヴィッラでヒットラーとムッソリーニが初めて会見したことで、歴史上、重要な場所であるといえます。スートラの町はイタリアの靴生産を一手に引き受ける“靴の町”、靴の博物館(Museo della Calzatura)や靴のスパッチョなどが近所にあります。 オープン:4〜9月9:00−19:00(火−日曜)、10〜3月9:00−16:00(火−日曜) 月曜休館 Tel:(国番号39)049-502074  

写真説明
左下: 高貴な方の見た夢は?Villa Widmannの天蓋付きベッド 
右下:ボリューム満点!新鮮度で勝負、アドリア海のシーフードフライ
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☆ おすすめ
その昔、ゴンドラまたはブルキエッロBurchiello(小さな船室付きの船)で貴族達はヴィッラを訪れました。これを再現した(?)終日・半日の船旅ツアーは楽チンですが、11月から3月の間は催されていません。いっそのこと、車またはバスで移動、貴族になった気分で優雅にヴィッラに泊まりながら、ゆっくりとヴィッラ巡りというのはいかがでしょう?ヴェネツィアのローマ広場とパドヴァ市内を結ぶバスが頻繁に通っているので、ここを拠点としたヴェネツィア、パドヴァ観光も可能なうえ、ヴェネツィア本土の同クラスホテルを下回る料金でリッチな雰囲気を味わえるというのは悪くない話です。レストランもホテル同様、ヴェネツィアより値段はおさえめ。お財布をあまり気にせず、アドリア海の新鮮な幸を思う存分、満喫できそうです。定番のイカ墨や海の幸のパスタやリゾットはもちろん、イタリアの他の地方では以外とお目にかからない帆立のグラタンCape Sante al Gratinやこの地方の珍味、季節もののモエーケMoeche(初夏と秋に甲羅落ちする柔らかい蟹)を是非トライしてみて下さい。

☆ 催し物
毎年9月の第2日曜日に行われるのが、ヴェネツィア貴族の装束も鮮やかなリヴィエラ・フィオリータRiviera Fiorita。出発点スートラからゴール地点マルコンテンタまで船やゴンドラが華麗に流れていくお祭りです。


リヴィエラ・デル・ブレンタ・データ 
Dati di Verona

■アクセス
飛行機:ヴェネツィア空港よりタクシーで30−40分。
バス:ヴェネツィア・ローマ広場−パドヴァ間のACTVバスがリヴィエラ・デル・ブレンタ地区を経由。
ACTVのHP: http://www.actv.it Tel:(国番号39)041-410098
鉄道:ヴェネツィア−パドヴァ間の地方線(Regionale)利用、Mira, Dolo各駅下車。駅から町の中心まではやや距離があるので、あらかじめホテルに送迎を頼んでおくことが望ましいでしょう。
車:高速Autostrada のA4、出口Dolo-Mirano。
船:ヴェネツィア、パドヴァより下記各社の船旅ツアーを利用。
イル・ブルキエッロIl Burchiello
Tel:(国番号39)049-8774712 Fax:(国番号39)049-8763044
HP: www.ilburchiello.it e-mail:info@ilburchiello.it

イ・バッテッリ・デル・ブレンタI Battelli del Brenta
Tel:(国番号39)049-8760233 Fax:(国番号39)049-8763410
HP: www.antoniana.it e-mail: battelli@antoniana.it

デルタ・トゥールDelta Tour
Tel:(国番号39)049-8700232 Fax:(国番号39)049-760833
HP: www.deltatour.it e-mail: deltour@tin.it

■インフォーメーション
ヴェネツィア観光インフォーメーションAPT di Venezia
Castello, 4421, Venezia
Tel:(国番号39)041-5298711 Fax:(国番号39)041-5230399
HP: www.turismovenezia.it e-mail: apt-06@mail.regione.veneto.it
オープン:9:30−18:30(毎日)

リヴィエラ・デル・ブレンタ観光インフォーメーションAPT di Riviera del Brenta
c/o Villa Widmann Foscari
Via Nazionale, 420, 30030 Mira(VE)
Tel:(国番号39)041-424973 Fax:(国番号39)041-423844
オープン:ヴィッラ・ヴィッドマンと同じ

■おすすめのホテル
スタッフがとても親切な16世紀の貴族の館、ホテル・ヴィッラ・フランチェスキHotel Villa
Franceschi☆☆☆☆
Via Don Minzoni, 28 ,30030 Mira Porte(VE)
Tel:(国番号39)041-4266531 Fax:(国番号39)041-5608996
HP: www.villafranceschi.com e-mail: villafranceschi@tin.it

18000平米の広大な庭にはプール、アンティークな家具使いが粋な18世紀のヴィッラ、パーク・ホテル・ヴィッラ・ジュスティニアンPark Hotel Vill Giustinian☆☆☆
Via Miranese, 85,30035 Mirano(VE)
Tel:(国番号39) 041-5700200 Fax:(国番号39) 041-5700355
HP: www.villagiustinian.com e-mail: info@villagiustinian.com

ムラノグラスのシャンデリアが優雅な18世紀のお屋敷、ヴィッラ・ドゥカーレVilla Ducale☆☆☆
Riviera Martiri della Liberta`, 75 ,30031 Dolo(VE)
Tel:(国番号39)041-5608020 Fax:(国番号39)041-5608004
HP: www.villaducale.it e-mail:info@villaducale.it

貸自転車、水上スクーター、ピンポン、バーベキューなど娯楽設備がそろったアグリツーリズム、カ・マルチェッロCà Marcello
Riviera Bosco Piccolo, 110, 30030 Malcontenta di Mira(VE)
Tel:(国番号39)041-420339/(国番号39)338-7605622(携帯) Fax:(国番号39)041-698355
HP:www.camarcello.com e-mail: info@camarcello.com

■おすすめのレストラン
おしゃれをして出かけたいエレガントなシーフード・レストラン、リストランテ・マルゲリータRistorante Margherita
Via Nazionale, 312, 30030 Mira Porte(VE)
Tel:(国番号39)041-420879 Fax:(国番号39)041-4265838
HP: www.villa-margherita.com e-mail: hvillam@tin.it
休業日:火曜夜と水曜日

地元客でいつも満員な魚料理の専門店。豊富なアンティパストが特に魅力、トラットリア・ナリンTrattoria Nalin
Via Novissimo A.S., 29, 30034 Mira(VE)
Tel:(国番号39)041-420083  Fax:(国番号39)041-5600037
定休日:日曜夜と月曜日
想い出のお皿Buon Ricordo協会のレストラン。“総督のリゾットRisotto del Doge”がお薦めのお皿、リストランテ・イル・ブルキエッロRistorante Il Burchiello
Via Venezia, 40, 30030 Oriago(VE)
Tel:(国番号39)041-472244  Fax:(国番号39)041-429728
HP: www.burchiello.it" e-mail: ristorante@burchiello.it
定休日:月曜日、火曜夜、1月と7月に15日間ずつ

■ショップ等
シルクのブラウス、家具、ビーズの小物にいたるまですべてがオーナーで建築家のフォスカリ氏によるデザイン。ヴィッラ・フォスカリ1階にあるショップ、ラ・マルコンテンタLa Malcontenta
Via dei Turisti, 9, Malcontenta di Mira(VE)
Tel:(国番号39)041-5470012
オープン:ヴィッラ・フォスカリと同じ

レンタカーもバスも面倒くさい!という方におすすめなのが英語の通じる運転手付きリムジン、チー・エッセ・アci esse a
Via Lario, 13, 30030 Malcontenta(VE)
Tel:(国番号39)041-5470555  Fax:(国番号39)041-698283

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著者プロフィール

三浦和美(みうらかずみ) 
山口県出身。法政大学卒業後、外資系銀行を経て2年半ロンドンに滞在。JTBローマ支店、全日空ローマ支店に勤務後、14年住み着いたローマを離れ、現在ヴェネト州ヴィチェンツァ在住。セリエA入団を夢見る長男は14歳。



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